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31 四人の敵

 ナロとナエの言葉を借りるなら、こいつらは守護者(ガーディアン)、ってわけだ。

 敵は四。こっちは二。数の上では不利だ。けど、どうなんだろう。相手の武装を見る限りだと、そこまでレベルが高いわけでもない。


 四人の武装は〈(スタッフ)〉、〈(ガン)〉、〈大剣(ブレード)〉、〈(ハンマー)〉。アバターの姿は男が三人、女が一人。〈大剣〉を持っているのが、女だ。

 俺達が使用できる武装は、アルカディアでの事件が起こる直前のデータを引き継いでいる。つまり、あの時の〈オメガ〉のステータスがほぼそのまま適応されているんだ。

 変わるのはレベルと固定能力(アビリティ)くらいか。あと、能力のストックとか武装の変更ができる。


「一人で二人しとめりゃいい。いけるな?」

「ああ。問題ない」


 荒上の言葉に、俺は頷いた。武装を〈(ブーツ)〉から〈小型剣(タガーエッジ)〉に切り替える。

 そして、アバターに向かって、俺達は突っ込んだ。


「止まれ!」


 アバターのうちの一人が叫んだ。けど、止まるわけなんてない。

 〈銃〉から弾丸が放たれた。俺達は瞬時にその射線から身体をずらし、それを避ける。

 〈大剣〉と〈槌〉を持ったアバターが前に出てきた。強くそれを振りかぶる。隙だらけだ。なんで小回りの利く相手に、こんな大振りな戦い方をするんだ?


 俺達はそれを軽々と避け、アバターの腹部に攻撃を叩き込んだ。俺は〈小型剣〉の刃を、荒上は〈(ナックル)〉の一撃を打ち込む。


 アバターが吹っ飛んだ。瞬間、敵のアバターがレベル3の金属性魔法(エクストラ・アビリティ)を発動。無数の金属片が俺達を襲う。


「もう一人の方は頼むぜ」


 荒上はそう言って、〈疾走(ダッシュ)〉を発動した。魔法の間を縫って、〈杖〉を装備したアバターに殴り掛かる。

 俺は〈対魔法障壁〉で魔法を防ぎながら、前に出た。これくらいなら余裕で耐えられる。


 〈疾走〉を使って〈銃〉を持つアバターとの間合いを詰めた。引き金が連続して引かれるが、しかし狙いがまともに定まっていない。避けるのは容易かった。

 アバターの懐に潜り込んだ。その表情が見える。頬が引きつっていた。怯えているのか、混乱しているのか。

 俺は〈小型剣〉でそいつの身体を刻んだ。悲鳴が響く。続けて蹴り。そして吹っ飛んだそいつの身体に向け、攻撃能力を発動した。


「〈金剛次幻魔剣(こんごうじげんまけん)〉」


 黄金の刃が衝撃波と共に放たれた。〈銃〉を持った男に、その刃が叩き込まれる。そいつはろくに抵抗もできず、軽々と吹っ飛んで行った。

 俺は殺気を感じてその場から飛びのく。直後、俺のいた場所に〈槌〉の一撃が振り下ろされた。間一髪だ。

 俺はすぐさま方向転換、その男の背後を取る。その背に〈小型剣〉を突き刺した。悲鳴。男の腕が背後へ、つまり俺へと振りかぶられる。

 それはそれをしゃがんでかわし、〈魔法剣(エクストラ・ブレード)〉をジェネレートした。それを振ってその男を一閃。そして、魔法を発動する。


「ヴィル・レ・モクゾルガ」


 地面から生えた大量の木々が、男をからめ捕った。男の身体が地面から浮き、天井付近に押し付けられる。そして、暴れる男の身体を木々が貫通した。


 〈銃〉を持ったアバターに目を向ける。そいつは今まさに、起き上がろうとしていた。

 俺は武装を〈(アロー)〉へと換装。光の矢を生成し、そしてそれを放った。

 〈銃〉を持ったそいつはその場から飛びのこうとしている。しかし、襲い。そいつの肩を光の矢が貫いた。続けて俺は矢を放つ。そいつの四肢が貫かれて、そしてうずくまった。


 俺の背後で、何かが燃える音がする。後ろを振り向くと、大量の木々が燃えていた。さっき、木でからめ捕った男が火属性の魔法で燃やしたんだろう。あの男に絡んでいた木は燃えて、その身体が自由になっている。

 今、男が地面に着地した。荒い呼吸をしながら、俺へと〈魔法剣〉を構える。


「グラファ・リウ・カイズルド!」


 男が水属性レベル6魔法を放った。水の女神が俺に向かって迫ってくる。

 俺は武装を〈大剣〉へと換装。そして、攻撃能力を発動した。


「〈爆風螺旋斬(ばくふうらせんざん)〉」


 俺は〈大剣〉を振った。その切っ先から竜巻が発生し、水の女神に直撃する。

 竜巻と女神が拮抗した。だが、それも一瞬で終わる。

 水の女神が飛沫になって飛び散っていった。竜巻はそのまま前へと進み続け、そして男の身体に直撃。男の身体が吹き飛んで、壁へと叩きつけられた。

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