表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/69

19 脱衣場、鳴り響くサイレン

 何時までこうしてればいいのか。

 世良は今、風水蓮華や芳坂優佳達と外へ出ている。バベルの情報を集めているのだろう。しかし、これ以上はもう……


 シャワー室の中は湯気が充満している。俺はシャワーで汗を流しながら、焦りを覚えていた。

 どうにかしなくちゃいけないと思う。だが、どうにも身動きできない。できることと言えば、レベル上げくらいしかなかった。


「おい、真瀬。石鹸取ってくれ」

「あ、うん。あれ……?」

「ごめん、マっちゃん。石鹸今俺が使ってるー」

「露草、テメェいい加減にしろよ。勝手に人の盗ってんじゃねぇっつうの」

「あはは、ごめんごめん。ほら、マっちゃん。返すよー」


 薄いわずかな敷居を隔てて、三人の声が聞こえてくる。

 それを聞いて、俺の中にまた焦りが募っていく。苛立ちと置き換えてもいい。

 ここで、こんなことをしている場合じゃない。俺は動かなくちゃならないんだ。でも、どうすればいい? 世良がバベルの本拠地を吐くとは思えないし、俺の身の回りに手がかりがあるわけでもない。

 俺は、こんな状況で足踏みしていて……

  

 俺はシャワーを止めて、身体をタオルで拭く。水気を取って脱衣所へ向かった。


 香凜に逢いたい。

 香凜に、俺を という存在を肯定してほしい。

 この欲求は、何だろう。ナロやナエに言われたことを、気にしてるんだろうか。だから俺は、香凜に俺の存在を認めて欲しいのか?


 着替えが終わって、タオルをビニール製の袋の中に入れた。気が付くと、他の三人も脱衣所に来ている。殆ど服を着替え終わっていた。


「なー、兄ちゃん。風呂上がりだしコーヒー牛乳飲みに行こうぜ」

「ああ、わかった」


 露草はいつも、俺を風呂上がりの一杯に誘ってくる。こいつはコーヒー牛乳が好きらしい。俺も別に、嫌いじゃない。

 秘密のアジトだというのに、ここには食品が豊富にある。定期的に食料を仕入れているようだ。


 その時、不意に。


 脱衣所の中に、サイレンがけたましく鳴り響いた。


「なんだ、この音」


 荒上が顔をしかめて天井を見上げる。不快な音だ。しかもどうやら、ここだけじゃなくてこの施設全体で響いているらしい。


「け、警報装置の音だよ。世良さんが前に、説明してた……」


 自信なさげに、真瀬が言う。こいつはいつもそうだ。常に自信がなさそうに喋る。


「初めて聞いた。てーかさー、絶対誤作動でしょ。後でおっちゃんに文句言わなきゃね」


 露草がそう言った、直後。

 どん、と低い音が響き、そして地面が数度、強く揺れた。

 今のは何だ。地震じゃない。そう、まるで誰かが何かを破壊した時のような……


 俺はその場から走り出した。音のした方へと向かう。


「待って! 俺も行くよ!」


 露草の声が後ろから聞こえてきたが、俺は足を緩めずそのまま走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいな、と思ったら「小説家になろう 勝手にランキング 」のクリックお願いします
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ