ハルイロダイラントウ
春風がそよぐ、爽やかな場所。
しかし、打ち捨てられたように静かな場所。
雨風に晒され続けた故に、所々朽ちているベンチ。
人が寄りつかなくなってしまったのは、どこか寂しさを感じずにはいられないからだろうか?
時に捨てられたような、どんな大学にもあるような一角に雛井は居た。
燃え尽きたジョーの様な雰囲気を纏い、どこまでも沈んだ表情で。
そして、死人の様な顔をゆっくりと上げる。
そこには、ゴスロリ2人組が居た。
雛井兼貞に、弟妹の類は居ない。従兄弟も、年上ばかりだ。兄などと呼ばれる筈はない。
自分を年上と見てそう呼んだのだろうか?いや、バカな。どう見ても相手は自分と同じ位の年齢だ。
まともな神経をしていたら、「お兄様」とか言わない。せめて「先輩」だ。
そこまで考えて、雛井は思った。
ああ、こいつらもか………
また、変態なのか?今度は何だ?あれか?女装が趣味とかか?それとも、前世が見えちゃったりするのか?もういい。どうせお前らもこっちの都合そっちのけで、好き勝手やるんだろ?何か言うだけ無駄なんだろう?
もう…いいや……
「好きにしてくれ。」
そう言って、雛井は首を垂れた。
ちょっと、ペースが落ちてます。ごめんなさい。
読みにくい個所など、コメントで指摘していただけると嬉しいです。キュンとします。