春の海、静かに荒れて。
「うふふ、はい、じゃあ兼貞君の歓迎会を始めまーす。」
「わーい!」
「ダーリン、いらっしゃい!」
現在、大学近くのアパームの大家さんルームは変態の巣窟と化していた。
机をぐるりと囲む変態たち。俺、大家さん、ホモゴリラ、脳みそ桃色山、謎の新妻、エキセントリック双子。
その順番で食卓を囲んでいる。食卓の中央には、ぐつぐつと煮え立った鍋が湯気を立てている。
「じゃあ、自己紹介しましょう。まず、私からね。」
と大家さん。
「私が大家の長門芳恵よ~。困った事が有ったら何でも言ってね~。」
のんびりとした口調と割烹着が相まって、この混沌とした空間に癒やしを与えてくれる。
その微笑みは、もはや天使。この混沌とした部屋の最後の良心。もう拝み崇めてしまいたい。
次に変態一号ことホモゴリが自己紹介を始める。
「次は俺だな。赤木主税。君を心から愛する男だ!!」
………心からとか言ってるが、今日初めてあったんじゃねぇか!!
大体、修行に行くとか言ってたのはどうしたんだよ!!
てか何で着てるのがピンクのタンクトップなんだよ!ぱっつんぱっつんじゃねェか!!!
肌がてかってるよ!!お前はボディビルダーか何かか!!!
そんな具合に突込みどころ満載な彼だが、突っ込んだら負けな気がする………
よって理性を総動員して、突っ込み衝動をこらえる
「因みに、初夜は優しくして欲しいな!!!」
「きもいわっ!!!」
顔を若干赤らめて、しなを作るゴリラ。
筆舌に尽くしがたい誰得な光景に、突っ込まずには居られなかった。
「突っ込み上手な兼定君には、俺のハジメテを貰って欲しいな!!!」
「はい、そこまでよ?兼定君が泣きそうになってるでしょ?」
「む?しかし大家さん。俺のこの気持ちは止められなぶわっひゃぁ!!!」
………大家さんが、聞きわけの無い子にお仕置きをしました。
鍋の中にあったアツアツの蒟蒻を、目にもとまらぬ早業で赤木の口に放り込んだ。
のたうち回る赤木。微笑みを絶やさない大家さん。唖然とその状況を見つめる俺。
………俺の歓迎会は、開始早々大変騒がしい物となった。