春の乱闘、一時の休息。
ギャースカギャーギャー
眼前には理不尽が広がっている。
ザワザワヒソヒソ
いつの間にかギャラリーが集まって居る。
そして、遂に状況が動いた。いや、正確には止まったのか………
「おい………」
それは、低い低い唸るような声………
「貴様ら………」
その場を凍り付かせるような静かな、しかし圧倒的な殺気を含む声………
「そこに直れ。」
「ど、どうしたんだ兼貞。彼女に向かって殺気を飛ばすなんて。」
乱入女は、うろたえながらも雛居に話しかける。が、次の瞬間
ゴンッ「ぐあっ」
雛居の拳が脳天を直撃。女、撃沈。恐るべし『雛居、怒りの拳骨』
「黙れ。何時発言を許可した?」
底冷えのする雛居の声が、再び場を支配する。
「ぶーぶー、おーぼーだーぁ!ここは、何時から新兵の教育キャンプになったんだー!」
そして空気の読めない桃山
「黙れ。」ゴッ
「ぐぇ………でも、ちょっと快かにぎゃっ」ゴヂッ
変態、沈黙。
「あわわわわ、お、お兄様!?」
「ああああ兄様、い怒りをお静めに。」
ゴンッ「み゛っ」
ゴンッ「に゛ゃっ」
「誰が、貴様らの兄か。」
死屍累々、四つの物言わぬ躯が転がっている。頭にたんこぶつけて。
最後に残ったのは、赤木一人。
「はははっ、雛井君は強いな。流石は俺が惚れた相手ダッ!」
赤木沈黙。
そう、暴力とは虚しいだけである。
雛井の望んでいた未来は、今この瞬間終わりを告げたのだから。