おまけ スタングの功績
夕食まで暇を持て余していたゼイン。
下段のベッドで寝転ぶスタングを覗き込む。
「なあ、おっさん泥棒だったんだろ?今まで何盗んできたんだよ」
「何だよ、急に」
「暇だから」
スタングも同じく寝る以外にやることがなかったので、ゼインの話題に乗ることにした。
「そうだなあ。金目の物以外だと、キラキラした鈴とかあったな。まん丸な石とか」
「何でそんなの盗んだんだよ」
「だって、カッコいいだろ」
平然と言ってのけるスタングに言葉を失う。
ガラクタとしか思えないが、どの辺がカッコいいのかよく分からなかった。
「あと、切れない剣とかもあったなあ。でも装飾が龍になっててカッコよかったんだよ」
「そんなのいる?宝石とか盗ればいいだろ」
「そういう物は警備が厳重だからな。簡単に盗れるやつだけとっていた」
おっさんの鉄を曲げる能力は戦闘向きじゃないからな。
小物ばかり盗って食い扶持を繋いでいたのだろう。
「でも、あんなにカッコよかったのに、どれもあんまり買い手がいなかったんだよ。不思議なもんだよなあ」
「おっさんの感性がズレてることは分かった」
「え」
「おっさんは細工師には向いてないな。客が欲しい物が分かんなきゃ商売にならない」
盗んだ現物達を見れば、ゼインだってきっと納得するほどのカッコ良さだと証明できたのに。
ここまで言われて引き下がるわけにはいかない。
「なんだと!見てろよ!お前がいつか買いたいって思えるカッコいい物を作ってやるよ!」
そう意気込むスタングは紙にデザイン画を起こしていく。
ゼインは軽く息を吐く。
そもそもここを出られるか分からないのに、図面を書いたところでどうしようもない。
おっさんはやることができたようで何よりだけど。
俺は暇なままか。
仕方がないので、ゼインは夕食までひと眠りつくことにした。
「できた!」
おっさんの声に目を覚ます。
「ゼイン、こんなのどうだ!」
寝ぼけ眼でスタングのデザイン画を見る。
輪っかの周りにいくつも線が伸び、その先端に連なった丸が描かれている。
「ナニコレ」
「首飾り」
「却下」
「えー、カッコいいと思うんだけどなあ」
文句を言いながら、再び机に向き合うスタング。
すぐに諦めると思ったのに意外だ。
本当に職人気質なのかもしれない。
いつかおっさんがまともな作品を作れるようになる日が来るのかもな。




