おまけ 居眠りマイロ伯爵
政務官達が使う共用室。
ここでは歴史的書物を読む者もいれば、様々な議論を交わす場でもある。
戦争を終えた後、政務官らは大忙しだった。
戦争被害を受けた市民への支援、街の景観修復のための予算の捻出、やることは山積みだ。
もちろん私も日々業務に追われ、睡眠時間を削って取り組んで…いる…。
「zzz…んにゃ」
まずい。
今眠っていたか?この私が?業務中に?
いかん、気が緩んでいる。
というより、変な声出してしまった気がする。
周りに聞かれていないか?
聞かれてしまったら恥の上塗りすぎる。もうこの城には居られない。
瞬時に周囲に目を配るが、誰も私の様子を伺っていない。
誰にもバレていないと、ホッと胸を撫で下ろす。
マイロは気を取り直して業務に取り組む。
しかし、マイロの期待を裏切るように、その場にいた政務官らは彼の居眠りを目撃してしまっていた。
マイロ伯爵が寝ていた…!
寝言言っていたぞ…!
きっとお疲れなんだ…。
目のクマも凄いしな。
休むように勧めたほうがいいのだろうか。
黙々と作業を進める部屋とは思えないほど、それぞれの思考が飛び交っているなか、迷いなく自分の思いを発言する男がいた。
「マイロ伯爵!お疲れの様子だな。少し休憩したらどうだ?」
動きを止めるマイロ。
み、見られていた…しかもレイム様に…!
いつからそこに…!
しかもサンドイッチを食べながら…!ちょっと良い匂いだし!
しまった…!つい取り乱してしまった。
今はベクター家の者として、自らの非はきちんと謝罪せねば。
マイロは深く頭を下げる。
「レイム様、大変申し訳ありませんでした。業務中に居眠り等、私の怠慢以外に他ありません。今後はこのようなことがないように誠心誠意勤めて参ります」
「…マイロ伯爵、寝ておられたのか?」
「え?」
「貴殿が休憩なく仕事をしていたようなので、休憩してはどうかと思ったんだ」
マイロは開いた口が塞がらない。
な、何だと…。
それでは謝り損ではないか。いや、居眠りをしたのは間違いないのだ。二度と同じ過ちを犯さぬよう努めねば。
マイロは心を改め、残業をしすぎないように注意し、しっかりと睡眠時間を確保するようにした。
◆
また別の日。
共用室で作業を進めていると、部屋の隅で堂々と居眠りをするレイムの姿があった。
寝てる!しかも、堂々と…!
マイロの気配に気がつき、目を覚ますレイム。
「ん…ああ、マイロ伯爵。おはよう」
そんな悪びれもなく…!
国の頂点に立つ御方が居眠り等、周りに示しがつかない。
私が言えた口ではないが、この部屋に殿下へ進言できるのは私くらいだろう。致し方ない。
「レイム様、こんな所で居眠りをするのはよろしくないのではないですか?」
「適度な仮眠は作業効率を高めるんだ。マイロ伯爵も試してみるといい。ではな」
そうなのか!?
仮眠をとった方が作業効率が上がるなら、私も仮眠をとった方がいいのか…?
まさかレイム様は私の仕事が遅いと感じられたから、仮眠をとるように勧められたのか?
マイロは考えすぎのあまり作業が滞り、更に不眠症まで引き起こしてしまったのであった。
※後日、誤解が解け、マイロ伯爵は無事安眠できるようになりました。




