おまけ 知りすぎているチェイズ
戦争が始まる前のある日常の一幕。
ホムラは魔物図鑑を熱心に読む。
ブラックシープの毛から服が作られてるなんて知らなかった。
こんな風に人と共存している魔物もいるのね。
それにしても、どうやってこの糸から服を作っているのかしら。
「チェイズ…」
ホムラが言い終わる前にチェイズは新たな書籍を差し出す。
「ホムラ様、こちら服飾の書籍です」
「凄い!なんで分かったの!?」
「これくらい簡単なことです」
◆
その日の夜。
ホムラはベッドで横になるが、なかなか寝付けずにいた。
服飾の本を夢中になって読んだからかな。
ホムラは温かい飲み物をもらおうと起き上がる。
「チェイズ…」
「こちらです」
チェイズはホムラに温めたミルクを差し出す。
「チェイズ、さすがね。ありがとう」
ミルクを受け取ると、ゆっくり飲み進める。
身体も温まり、眠気が押し寄せてきた。
「美味しい…。これでよく寝れそう。ありがとう、チェイズ」
「それは良かったです。おやすみなさいませ」
「うん、おやすみ」
ホムラは安心したように眠りについた。
◆
翌日。
ホムラは二着のドレスを身体にあて、姿見鏡で見比べる。
どっちのドレスがいいだろう。
でも、どっちもゼイン様の前で着たことあるし、デザインも少し古い気もしてきた。
うーん、どうしよう…。
「チェイズ〜…」
「新しいドレスをご用意致しました」
「わあ、ありがとう!綺麗なドレス!これにするわ!どちらも着古したなって思ってたの!」
ホムラは遊びに来たゼインとログに、これまでのチェイズの振る舞いについて機嫌良く話す。
「チェイズはね、私が言う前に私の思ってることを叶えてくれるの!」
「え?それなんかおかしくね?」
「うーん、ちょっと変わってるような…」
「普通ではないですか?」
「いやいや、普通じゃないって!」
ホムラもチェイズも当たり前のような顔をしている。
いくらずっと傍にいるからってそこまで分かるものか?
俺がおかしいのか?
そのとき、レイムがホムラの部屋に入ってくる。
「ゼイン!訓練の時間だぞ!」
ちょうど良いところに!
レイムさんにも聞いてみよう。
「さあ、訓練だ、訓練!」
「レイムさん、聞いてくれよ!」
レイムはゼインからここまでの経緯を聞く。
「普通じゃないか?俺だってホムラが何を求めてるのは何かわかるぞ」
レイムはホムラに手土産のスイーツポテトを取り出す。
「ほら、ホムラ。このお菓子食べたかったやつだろ?」
「違うわ」
チェイズがリーチェのケークを取り出す。
「こちらですね」
「そうそう!これよ!さすがチェイズね!」
レイムは衝撃のあまり、口を開けたまま言葉を失っていた。
シリルはてくてくとレイムに近寄ると、慰めるようにポンポンと足を叩いた。
「シリル…。君ってやつは…」
レイムはその優しさに涙が出そうになる。
すると、シリルは彼の手にあった菓子を見事に平らげた。
「美味しかったニャ」
そう言うと、シリルはあっさりと離れていった。
ゼインは暫くの間、意気消沈したレイムを励ます羽目になった。
…俺、いつまで慰めればいいんだろう。




