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【ローファンタジー】

現代っ子の望むスキル

作者: 小雨川蛙

 

 ある時、一人の少年が女神の下へ召喚された。

 混乱する少年に女神は告げた。


「あなたには勇者の素質があります。故にこの世界を救ってほしいのです」


 すると少年は露骨に嫌そうな顔をする。

 曰く、読みたい漫画や見たい配信があるだとか、あとはとにかく面倒くさいとか……。


「そんなこと言わないでください! 私はあなたを召喚するために多くの魔力を使ったのですから……」


 すると少年はそんなこと知ったことか、僕の意思はどうなるんだともっともなことを言い出す。

 女神はなんとか少年を説得するために言った。


「勿論、あなたにも良いことがあります! 私の持つ強大なスキルの内一つをあなたに差し上げましょう!」


 それを聞いて少年は目を輝かせて一つのスキルを女神から授かった。



 そして今。

 女神は頭を抱えていた。

 少年が願ったスキルは『帰還』。

 それはどこからでも即、自分の望んだ場所に戻れるというもの。

 彼は女神からスキルを受け取ると同時にあっさりと現実世界に帰還したのだ。


「逃げるのは良い……私も無理矢理召喚したんだし、それは仕方ない……だけど、これは……」


 最早干渉することも叶わない少年の世界を見て女神はため息をつく。

 女神から授かったスキルを使って、少年は今日も登校時間を短縮していた。

 信号待ちをする時間さえ惜しい現代人にとってはこれほど有益なスキルもないだろう。


「こんなみみっちいことに使われるなんてえ……」


 女神の嘆きなど知りもせず、少年は今日も遅刻ギリギリの時間までベッドで眠っていた。

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― 新着の感想 ―
 確かに、と頷けてしまうものですが、スキル自体は全世代に共通する願望のように思え、世代で違えているのは“遣い方”なのでしょうね。
少年は賢いですね。これで生涯ずっと便利な毎日を送れる。羨ましいです。
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