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悪役令嬢VS黒ヒロインVSインクイジター【第二部連載中!】  作者: まつり369
第十三章 ヒロイン裁判の裏

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45/130

3  ★


 『法廷』の映像でくり広げられていたのは、明らかに先ほどのメロドラマの続きだった。


 くだんの子爵令嬢は、『法廷』に生えた巨大な樹木に括りつけられていた。


 会場の人々は驚きもしたが、程度の低さに落胆し始めていた。


「わ……我々は何を見せられているんだ……?」


 訪れていた内外の貴族たち、外交官や特使たちも同じ映像を見ている。

 中にはげんなりする者、失笑する者、またはひたすら冷ややかな視線で映像に見入る者と様々だった。




『――『()()()()()()()()




 インクイジターが発したその言葉に激震が走ったのもまた、転生者か転移者たちだけである。

 それは、『法廷』の外でも同じだった。


「……!?」

「い、今。『ゲーム』と聞こえませんでした?」

「聞こえたわ」


 リクとミラフェイナは同時に眉を顰め、映像に注視した。




『被告人は質問にだけ答えよ。読み上げられた自身の氏名、年齢、身分、居住地に誤りがないか否か』

『……ま、間違いないわよ。これでいい?』

『よろしい。では次に……』




 裁判が進むにつれ、ユレナのメッキが剥がれていくのは誰の目にも明らかだった。


 清純派の仮面を被っていた娘が激しい言葉で反論し、自己防衛を見せるさまは最早エンターテインメントと化していた。


 始めはつまらなさそうにしていた客たちも、人間の醜さを感じ始めると裁判の様子を興味深く眺めるようになった。




 第二王子がわめいている。


『……伯爵家にいくら積まれたかは知らないが、このような侮辱が許されると思うなよ! 王族である私を、こんな怪しげな場所に拉致したことも含めて逆に貴殿の罪を問うてもいいのだぞ!』


『なっ……! わが家は関係ありませんわ!』

『ほう。権威権力を使うか。ならばよかろう、こちらも汝のやり方で応えるとしよう』




 『法廷』でインクイジターがそのように話すと、()()()()のアルベール王の側に四隅の映像より小さな四角い窓が現れた。

 すると、その小さな枠からインクイジターが国王に語りかけた。どうやら国王と個人的に話をする枠のようだ。




『……という訳だ、国王よ。ご子息が裁判を妨害しようとしておられるのだが、どうしたものか? このままでは代行権限によって処さねばならんが……』




 困り顔のラビから()()()()()()を感じ取ることのできないアルベール王は、王族が処されるかもしれないと聞いてひどく焦った。


 結果、その原因となる問題の第二王子を叱責する行為となった。


「く……っ、この馬鹿者が!」

『ち、父上!?』


 第二王子の情けない声が響く。まさか別空間で国王に見られているとは思わなかったようだ。


「勝手に婚約破棄をしただけでは飽き足らず、悪事にまで荷担していたのか!」

『み、見ていたのですか? 悪事!? 誤解です!』


 第二王子は目を剥いて驚き、前のめりで否定した。

 しかし、もはや国王の視線は冷ややかなものであった。


 アルベール王の横で、エクリュア王女が椅子の肘掛けをバンバン叩いて笑い転げていた。


「あっはは! もうダメ~」

「第一王女、自重せんか」


 さすがに品がないと国王に叱られるも、エクリュア王女の笑いは収まらない。


「だってお兄様ったら、陛下に見られていると分かった途端に子犬のように縮こまって……。ああ、可笑しい。それに、ユレナのやつ。頼みのお兄様が使えないと分かった時の顔。アレは本当に女狐ね!」

「うぅむ……」


 エクリュア王女の口から子爵令嬢の話が出ると、アルベール王は神妙な顔つきとなる。

 そして手で合図して側近を呼び寄せて尋ねた。


「――リリーマイヤー子爵は会場に来ているのか?」

「すぐに確認致します!」

「来ていなければ、直ちに出頭するよう遣いを出せ。これは王命だ」

「はッ」


 国王の側近の一人が、慌ただしく離れていく。


「陛下? どうするおつもりか聞いても?」

「アレはもう駄目だ。裁判の結果如何に関わらず、このあと処断する。お前も心積もりをしておけ」

「あらぁ……」


 エクリュア王女は頬に手を当て、長い睫毛を瞬かせた。










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