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第34話

 気は進まなかったけれど、気になってしまったのだからしょうがない。

 一応、騎士であり王子の親衛隊だ。

 身バレはしていないはずなので、王子と仲良く恋人繋ぎをしてゆっくりと娼館の方へと歩き出した。

 花街の中には連れ込み用の宿もある。

 まだ、夕方にもなってはいないけれど、夕飯と兼用で宿を探す客はいるもんだ。

「なぜ、このつなぎ方なんだ」

 王子は恋人繋ぎがご不満のようだ。

「親密度が高そうでいいじゃないですか」

 俺は不満顔の王子に、そっと自分の顔を近づけてそう答えた。怪しまれてはならない。先程の男たちが入口付近にたっているのだ。男二人で歩いていては、娼館からしたら用のある客ではないと判断されるだろう。

 近づき過ぎないように距離をはかり、ゆっくりとした足取りで娼館の前を通る。

 看板をゆっくりと眺めるのは、宿屋を兼用していないかの確認のためだ。娼館の機能しかないようで、男二人では近づくのも無理っぽい。

 俺は王子の手を繋いだまま、娼館の脇道を通った。まだ時間が早いので、人混みに紛れるとか暗闇に隠れるとかが出来ないのが辛い。

 娼館の脇を通る時、王子の手を引いて体を更に寄せてみた。王子は眉根を寄せて俺を見たが、俺がわけアリに笑うと目線だけを動かしてだまってくれた。

 娼館からは、キツい香りが漏れていた。甘ったるい隠微な匂いがする。王子によろしくないので、足早に移動するが、王子はその匂いをしっかりと嗅いでしまったらしい。あからさまに表情が変わっている。

「リー、大丈夫?」

 そう言いつつも、大丈夫では無いことぐらい王子の顔を見れば分かった。後ろを振り返り、先輩がいることを確認すると、俺は連れ込み用の宿に真っ直ぐむかった。




 前金をはらいながら、食事より先に水差しに大量の水を頼んだ。酒じゃないので不審がられたが、既に飲んでることを伝えると、納得してくれた。ただ、そちらで部屋を汚した場合は追加料金を取ると言われてしまった。

 王子に水を無理やり飲ませてみるが、飲み薬でないから吐かせても意味が無い。水を飲んで血中濃度を下げる程度の処置だろう。

「…うぅ……」

 無理やり水を飲ませたせいか、王子が若干水を吐いていた。

「ああ、苦しいね」

 俺はそう言いつつも、特に介抱してやるつもりは微塵もなかった。

「…っで、お前は………」

 多分王子は俺に苦情を言っているのだろう。俺がまったく平気な顔をしているから。つか、俺までやられてたらこんなところでBLエンドとか笑えない。

「薬に対して免疫つける訓練ぐらいするでしょ?」

 これでも兵士の学校出て、王子の親衛隊だから、騎士としての訓練だってやってるんですけどね?

「ねぇ、もしかしてリーはそーゆー事、やってないの?」

 ボタンを外して首元を解放してみると、肌がだいぶ赤くなって上気しているのが分かる。目も潤んでいて若干充血気味だ。

「悪いけど、手伝わないからね」

 俺はだいぶ薬にらやられている王子の服をぬがせつつ、冷たく突き放した。

「…………」

 荒い息遣いをしながら、王子が俺を見つめているけど、そんなのに感化されて乗っかるほどガキじゃない。

「この程度のを、嗅いだだけでこんなになって」

 服が汚れたら困るので、俺は手早く王子の服を脱がせていく。訓練で、服のぬがせ方とか呼吸の確保の仕方とかは一通り習っているから、自分より大きい王子の服を脱がせるのは大したことは無かった。

「困るでしょ?こんなんじゃ子種をばら撒きまくっちゃうでしよ?」

 脱がせて風呂場に押し込んだ。

 そーゆー事ができるように、風呂場の床は布が敷かれていた。

「お湯は湧いてるよ」

 そう言ってお湯を体にかけてやると、王子の体が反応する。

「自分で、何とかしなさいね」

 辛そうな顔をしている王子にそう言うと、俺は風呂場の扉を閉めた。

「いらっしゃい」

 部屋の扉の鍵を開けると、先輩たちがおしいってきた。

「そんなのにしなくても」

 音こそ立てないものの、先輩たちはだいぶ荒かった。

「王子は?」

 低い声で問われると、俺は黙って風呂場を示した。

「放置か?」

「え?俺嫌ですよ?」

 だいたい、そんなことに習ってないでしょ?しなくちゃダメなのか?

「いや、、まぁ……」

「だいたい、あの程度でこんなんとか、ダメダメでしょうよ」

 俺がそう言うと、先輩たちは口ごもる。デリータがなんか言っていたけれど、詳しくは聞いていないので、俺はオブラートに包むようなことは言わない。

「お前に、耐性があってよかったよ」

「意外と真面目に訓練受けてるんですよ、俺」

 そう言いつつ、チラチラと風呂場に目線が言ってしまうのは仕方がないだろう。微かにだけど、王子のくぐもった声が聞こえる。

「あそこは詳しく調べる。お前は…」

「外泊許可もらってもいいですかか?」

「お前一人に任せるのは不安なんだが」

 先輩たちが顔を見合わせて目線だけで会話をしているが、ここで俺と入れ替わったら王子が不機嫌にならないとも限らない。王子にとっては失態だ。

「身バレはしていないはずだ。明日普通に帰ってきてくれ」

 俺は腰から短剣を二本取り出して先輩たちに見せた。

 それをみて、聞きたくはないがチッと言う舌打ちが聞こえてしまった。

「案外、だな」

 先輩たちは自分の剣を置いていこうとしていたらしかったが、必要ないよな。ってことで俺に追加の金を渡して帰ってしまった。


 さて、漏れた香を嗅いだだけでこんなになったと王子も王子なんだけど、こんなにしてしまうような香を使っているあそこもかなり問題だ。奴隷商に連れてこられた身なりのいい奴隷も気になるけど、そう言う調べは先輩たちがやってくれるそうなので、

「リー、まだ辛い?」

 扉を開けずに風呂場に声をかけた。

 返事がないが、音も聞こえないため俺はそっと扉を開けた。

 俺が放置した所に、王子はまだ蹲っていた。姿勢が若干違うけれど、大した変化はない。

「リー、終わったの?」

 手を伸ばしたら、思いのほか強い力で掴まれた。

「はぁ、…っと、も…」

「手伝わないよ?」

 俺はできるだけ優しい顔をして、王子を見た。

 縋るような目をしているけれど、最初ほどの熱っぽさは薄れてはいる。

「こんなことじゃあ、襲われちゃうでしょ?どっかの、令嬢に跨がれたら子種取られちゃうよ?」

 俺が揶揄うように言うと、王子の目がキツく俺を見据えてきた。

「そんな目したって無駄だよ。現にリーはこんなでしょ?」

 手伝うつもりは無いけれど、腰の辺りを軽く叩くと王子の体が軽く跳ねた。

「っ、く……」

「まだダメなの?」

 俺は仕方なく王子の両脇に腕を差し込み、立ち上がらせると湯船に王子を漬け込んだ。

「水飲んで汗かいて?」

 少しぬるくなったので、湯を焚き付けみる。

「そんな目で見てもダメ」

 俺はニヤニヤしながら王子の様子を観察することにした。

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[一言] もうゴールインしてもいいのよ?\(//∇//)\
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