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第22話

「とにかく、誰でもいいから令嬢と踊ってください」

 隊長が王子をフロアにグイグイ連れていく。

 王子は明らかに不機嫌な顔をしているのだが、そんなことにかまってはいられないのだ。

「そんな気分では無い」

 アンリエッタに逃げられた王子は、その事でかなり不機嫌な様子だった。

「デュルク伯爵令嬢と踊ってください」

 隊長は悲壮な声で王子にせがむ。

「何故だ」

「1番目立つんで」

「……」

 安易な理由でファーストダンスの相手を決めるのどうかと思うが、とにかく王子が令嬢と踊ってくれないと話にならないのである。

「シオン」

 唐突に、ご指名が入る。

「なんでしょう?」

「俺の代わりに令嬢とダンプをしろ。俺の目の前で」

 無茶ぶりである。

 でも、ゲームにあったんだよなこの展開。親衛隊のイケメン数人が、王子の前で令嬢とダンスをさせられる謎な儀式。

 仕方が無いので、俺は適当な令嬢を一人でエスコートした。

 王子の前に連れてくると、令嬢は王子に自己紹介をする。

 そして、なぜか俺とダンスをするのだが、最初は不機嫌そうだが、王子に見つめられていると分かると、満面の笑みで王子にアピールが始まった。

 普段からいざというときのため、潜入捜査のためなどという名目でダンスは習っていた。

 令嬢の邪魔にならない程度には踊れているはずだ。

 俺の他にも数名の同僚が令嬢と踊らされていた。

 椅子に座った王子は、大して面白くもないという顔をしてそれを眺めていた。

 俺はゲームと同じ状況になったことに安堵しつつも、これが一体誰の、ルートなのか考える。

 参加した令嬢と、しなかった令嬢でルートが分かるはずなのだが…

 さっき王子は、アンリエッタとガゼボで逢い引きしていなかったか?アンリエッタが王子ルートに入ったんじゃない?逃げられた?

 おかしい。どこかがゲームと違っている。

 アンリエッタと、逢い引きしたのにアンリエッタと踊らない?

 俺は、王子が席を立つまで令嬢たちと踊らされた。親衛隊の護衛としては、令嬢の顔と名前を覚えられたので、なかなかいい仕事ができたので良しとしよう。

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