上を向く男と周りを気にする大人
主人公は田中でいく
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上を向く男と周りを気にする大人
『田中か…』
こいつはよくわかっている。企画の趣旨を見透かしている。
はっきりいうと一つ、二つとトラップをしかけておいた。
率直過ぎると役に立たん。そういう形の挨拶もある。
実際、騙されるのだ。それを味方が先に教えなければいけない
だが、安直なトラップなどはほとんどかわせるのだ。
あいつらが頭がいいことなどは知っている
だが、3つめのトラップなどはわかるだろうか?
井の頭は率直なところがあるからあいつを傷つけるかもしれん
そういう繊細なタイプはすぐにやめていくだろう
だが、社長の顔などそれ以上に傷つけかねん
『女でいくか』
だが、自分の意見を権力にまかせて伝えていいのだろうか
『はぁー』
仕方ないと割り切る。自然と出るため息はどうしようもない
こういう事は美人に任せる。
自然とできるこういう行動。
『あれが田中か』
遠めでみる行為。何の理由があるにせよ、これではスパイやストーカーだのいわれる
田中を見る。外見は普通だな。でも、学歴のほうがめちゃくちゃだ
まぁ、それはいい。多分苦労したんだろう。
それよりなんて長話だ。それほど深い話なのか?
なんか笑ってるが、なにを笑う必要がある
それより報告はまだなのか!!早くしろ!!
『どうだったね?杉下くん』
杉下くんは年齢より若く見えて尚且つ物分りがよくて本当に助かる。
『す、すみません』
心なしか顔色がよくない。青ざめている。杉下くんほどの人が
何かミスをしたとでも?
『第一声は私からかけたんですが、あとはその…いろいろとそちらの話題にもって
いこうとしたんですが…なんか向こうの人が全然聞いてくれないんです。それで…』
むこうのペースに…か。よっぽどがっついていたんだろう。
やはり、なにかしらの後ろめたさがあるときはうまくはいかない。
この歳になると結論のようなものがある。私は諦めるべきかもしれない。