彼には理解できない
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彼には理解できない
私はパソコンが嫌いだ。目が疲れると初めは思ったが、この行為自体が好きではない。
子供の頃、難しい本を読んだことがある。恐らく難しいと思った事自体、初めてなのだ
その本のことをいくら理解しようとしても理解できない。当然だ。文字も読めないのに理解できるはずがない
その後は言葉から勉強し、それでも本当に理解できたのは二十歳を過ぎてからだ。その本の中身は今でも忘れることができない
その時に目が疲れるとは思わなかった
だから私は漫画が苦手だと思うのだ。恐らく嫌いではない漫画も存在したのだろう。
逃げている…どこかでそう理解している。
だから、最近入った若い部下の行為は理解できない
『それは逃げている』
こういった言葉を会議中に独り言としてもらしてしまう。
社員は独り言としてとらない。いや、とれないのだ。
独り言など本来一人のときにしか成立しないのに成立することもある。
こういう立ち位置なのだ
俗世が満足しようが私はまだ上をみたい
誰がどう思おうが、私のこういった部分は否定できないし、嫌いにはなれない
ワンマンなどそういうものか…割り切ろうともした。
そういう時代である…それでも言い訳にはならないのかもしれない
だが、諦めたくない。それでは悔いが残る。
何かを求めてはいるものの受け付けないのだどうしても。
コンコンと音がする。
もう少し強く叩いたほうがいい。
私の耳には届くが、もしかすると若いものより耳だけはいいのかもしれない
『どうぞ』
一度で返事をする
嫌な事柄も終わればあまり苦しくはない。むしろその過程が嫌なのだ
『例の件ですが…』
この部屋に訪れるのはほとんどの確立で奴だけだ。
他の者が訪れる時はノックの必要がないときだけだ
『お決まりになりましたか?』
『今年は7人いるな。京大が4、東大が3か…昔は京大等勉強しか能がないものが集まったものだが』
『今は京大の評価のほうが高いらしいです』
…ブランド感覚か
勉強が嫌ならほかの道を探せばいいのに
『今年は何人残るのか…』
『半分は残りますよ。うちは天下の…』
あれだけ口に出すなと言うのに…そういったところは昔から変わらんな
天狗にだけにはなりたくはない。もっと上を目指したい…これはいけないことなのか?