始まりの春
短編の意味を履き違えてました。
2話目がある時点で長編なんですね
まぁ、あまり長い話ではないから短編かと。
まぁ、この物語にはSF的なものは無いと思います。
そのへんの線引きが甘いとも思えますが。
これは個人差があると思います。
SFにはついていけない人向けではありますが、本当に見てほしいのは若い人ですね10代の人
なんらか感じる事柄があればいいんですが
短編のほうは自分で削除できれば削除します
[今年も四月がやって来た。当然の事だが、一年四月がなくなると一年中楽な気がする]
痛みが来る。胃のやつだ。こいつはいつでも正直だ。
医学的にはわかっていても結局痛いものは痛い
結果、何時何分に起こるかまではわからない。しかし、痛み出したとき初めてわかる。
その時、初めて4月を実感する。
春はいい。桜が好きな私は生粋の日本人だ。3月のうちは酒が飲める。
4月になると酒は飲めないのに医者に止められる。理由はそれとなくわかる
なにか音がする…多分ノックの音だ。
こういう時に限ってと思うが当然ノックの音はなる
集中している私はこれがノックの音とわかっていても一度では返事はしない
馬鹿げている、とどこかで感じている 今が一番しんどいのだ。一年で一番苦しんで
集中しているときに限って…と
二度目のノックで返事をして彼が入ってくるのはいつものことだ
『鈴木社長』
こう呼ばれても返事ができないときがある。
あまり鈴木という呼び方に慣れてないと思う
あだ名で呼ばれれば絶対に反応する。不自然だから。
周りはボケているとしか見ていないが、昔からこうなのだ
多分もう治ることはないだろう
『社長』
これでようやくわかる。
『どうかしたのかね?井の頭君』
こいつにだけは鈴木社長と呼んでほしくない。ずっと連れ添ってきた仲なのに
むしろ私の事を一番よく知っているのに何故理解できないのか。私から言わせればこうだ…お前がぼけたのだと
『君は覚えやすい苗字でいいね』
『私にとっては嫌味にしか聞こえません。私の苗字は自分は覚えていても、他人には覚えにくいんですよ』
『私にはそれが羨ましい。鈴木なんて苗字はたくさんいたんだよ。だから鈴木と言われても私の事なのか他の鈴木のことなのかがわからないんだよ』
『私に言われてもわかりません』
他人のプリンが羨ましいということがよくわかる
結局そのあたりは子供なのだ
『今年の新入社員のことなのですが…』
嫌な事柄の時は彼からきりだす。こういうときだけ権力を使う私は嫌な大人だ。
『何人だね』
途端、彼の顔が緩む
何かいい報告でもあるのだろうか。もしそうならば今年は楽しく過ごせそうだ
『17人です』
ため息が出た。心の底からの素直なため息だ。
『なんで顔が緩む?それのどこがいい報告だ?』
嫌味と決め付けた私は率直に聞く
『去年は16人です』
なんてことはない、去年も嘆いていたことは覚えているが、数を覚えていなかった
嫌なことは酒で忘れろ。
いつのまにか染み付いていたことだ。
昔は酒が嫌いだった。それは覚えている。
でもいつしか酔っていたのだと
自分が変われるとは思えないが、変わると言う行為をやめれば終わりだと
桜が好きだという日本人特有の美学のほうが刷り込みかもしれないのだと
変わるとはそういう事なのだ
しかし、否定できるだろうか?去年も同じ事を思ったのではないかと。
一話だけではあらすじはあまり…
この先の展開がわかるとしらけるかも知れないので