5話:冒険者とハーベス平原
前回までのあらすじ:そして冒険者へ
第1章、始まります
─冒険者ギルド、依頼の貼ってある看板の前で元勇者の俺、セオは冒険者のいろはやルールが書いてある手帳を見ながら面倒くさそうにしていた。
「…えと、冒険者にはランクがあって俺は今Fランク。依頼はランク相応の依頼しか受けられなくてって面倒だな…」
まず冒険者には6段階のランクがあり、E、D、C、B、A、Sとある。
Fランクの依頼のほとんどは荷物運びやペット探し等の雑用がほとんどだ。
別に雑用をしてもいい、やろうと思えばいくらでもできる。
この類いの仕事は勇者の時にもした事が何回かあった、だが本能的に苦手なのだ。
雑用は避けよう。
俺は適当に貼ってある依頼書を吟味する。
討伐依頼はやはり非常に少ない、それでもいくつかはある。
俺は適当に討伐依頼の中から目に入った物を取る。
『アシッドウルフの討伐』
アシッドウルフとは、弱い酸性の毒液を吐く大きめの狼であり、ヴァレニア森林に生息している。
非常に狂暴である為、Fランクの仕事の中ではトップレベルの難易度だ。
なんせ遠距離攻撃を持っている魔物だ、初心者では対処するのは難しいのだろう。
俺は依頼書を受付に提出し、依頼を受ける。
受付嬢は少し驚いた顔をしていたが、止めはせず営業スマイルで頑張ってくださいと言っていた。
まぁアシッドウルフ相手に手こずるような事はないだろう、たぶん素手でも勝てるが、アシッドウルフがいる場所は遠い為、適当に準備する。
準備する道具なんてないがな。
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俺は街を囲む壁の門から外に出た。
そこには複数のパーティーが、どのようにして目的地に行こうかと論議していた。
俺は地図(シャーリアの家から盗んだ)を広げる。
この街(ライムブレムと言うらしい)から東に広がる大平原、ハーベス平原からさらに東へ進むとヴァレニア森林につく。
ハーベス平原、土壌が豊かである為に、ここでは農業が盛んに行われている。
畑の方を見ると様々な農作物が育っていた。
街の中にない為によく魔物に襲われるらしい、だから冒険者が魔物を討伐するのだ。
俺は地図を仕舞い道なりに平原を進んでいく。
ヴァレニア森林まで徒歩5時間。
馬車や馬を使えばもっと早いが俺に乗馬センスや馬車を使う技量はないしまず馬なんてそんな高価な物は持っていない。
持っていたら売るか食べているだろう。
ここの魔物は温厚であり、農場は襲っても人はほとんど襲わない。
一部の魔物は人が通る度に逃げている程だ。
きっと過去に雑魚狩りとかに引っ掛かって一家惨殺でもされたんだろう。
そう思いながら歩く、時間的に今日はこの平原で一晩を明かし、明日にヴァレニア森林でアシッドウルフを倒して帰るという感じだ。
それにしても遠い。5時間もするとは聞いていたがこれは休憩を挟んで5時間なんだろうか。
ずっと歩いて5時間なら正直辛いな。
俺は適当な事を考えながら、道なりに少しずつ進んでいった。
ヴァレニア森林には日が沈む頃についた。
俺はそこらにはえている木から枝を数本へし折り、そこに並べ
「火の精霊よ、火を灯せ。【火炎】」
初級火属性魔術、【火炎】によって枝に火をつけて明かりにする。
なぜ明かりを灯すのかと言うと、魔物は暗い場所を好むからだ。
こうして明かりを灯していれば寝ている間に魔物が近づいてきて襲われるという事はない。
テントとかがあればよかったがもちろんそんな物当の昔に売り飛ばした。
俺は地べたに寝転び、目を瞑る。
背中がすごく痛い、せめて布団のような物をシャーリアの家から盗んでおけばよかった。
ついでに腹が減った、半日食べ物を口にしていないからお腹が鳴る。
全力で脳内で羊を数える。
そうしないとマジで寝れない。
羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹……あっ更に腹が減ってきた。
駄目だ駄目だ、もっと別の物を考えねば……
そうしている内に、セオは深い眠りについていた。
その寝顔は、未来に期待をしているような、心地よい笑顔だった。
文章の保存のし忘れで2回程小説データが飛んで白目を向いたのはまた別のおなはし