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七夕乗務の一コマ

作者: 悠蓉

 今日もまた普通列車の乗務だ。普通ではないところを言うとすれば、宇宙を走ることくらいだろう。私は銀河鉄道の車掌なのだから。

 それともう一つ、今日は「タナバタ」というお祭りらしく、各地でイベントの開催があると連絡事項にあった。天の川連絡船も今日のために増便となっているらしい。なんでも、この「タナバタ」というお祭りの日の夜に恋人同士で天の川を渡ると幸せになるそうだ。昔話で聞いたときはこんなお祭りじゃなかった気もするが、おそらくこれも資本主義の影響なのだろう。

 そして、たしかに今日はカップルで車内が混雑している。いつもの列車だけではさばききれない量のお客だったので臨時列車も何本も運転されている。そちらには同じ普通車掌班の同僚が乗務しているはずだ。彼女もいないのに担当させるなんて残酷だとぼやいていたが、自分も同感だ。


 とはいえ、乗務自体はいつもと変わらないし、それに今日は車内が混雑しすぎているので客室に出ていくこともできない。精神衛生上なるべく客室内を見ないようにして彼らが降りる駅まで過ごす。






「まもなくアンタイル、アンタイルです。お出口は右側です。ベガ方面へ向かわれるお客様は銀河鉄道連絡船をご利用ください。本日、この時間帯は通常よりも本数を増やしまして十五分間隔で運行しております。改札口右側の通路をご利用の上、連絡船乗り場までおこしください。改札口は降りられました列車前側にございます。お降りの際はお忘れ物などないか今一度お確かめください。ご乗車ありがとうございました。アンタイル、アンタイルです。」


 ドアを開けると一斉に列車から降りていき、連絡船に向かっていく。また、連絡船から来たのだろうか、列車に乗ろうとする人カップルも押し寄せてくる。

 お客さんの乗り降りが済んだのを確認するともう発車時刻になっていた。急いで片手を高く挙げ、機関士に合図を送る。


「発車ー」

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