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第8章 勇気を剣に

第8章 勇気を剣に




「ん?誰だ?おまえ⁉︎」


ゴブリンは突然の出来事で困惑していた。


「あー!わかった!旦那様か!!これはまた若い旦那様で!これなら直ぐまた子供もできますよ!」


ゴブリンはニヤニヤしながら喋り出した。





「ち…違う!!この人達とは関係ない!」



「はぁ?じゃ〜なんです?交渉の邪魔なんでどっか行ってもらえませんかね?」



「どかない!!お前がその子を返すまで、絶対どかない!!」




「ん〜。見るからにひ弱な人間にそう言われましても…とりあえず、こちらも仕事ですんでお引き取り願いたいものですが…」




そう言いながらゴブリンは僕に近寄ってきた。









「アイツ、何が好きなんだろ。聞いてくんの忘れた。……まぁ…いいか。」


キンシーは食べ物を色々物色していた。



「ねーちゃん!!」


カップがキンシーの元に慌ててやって来た。



「おー。カップ君か。お父さんは大丈夫かい?」




「ねーちゃん!こんな所で何してんの?ねーちゃんと一緒に居た人が大変な事になってるよ!!」




「えっ⁉︎なんで?」




「なんで?じゃないよ!早くしないと!」


カップはキンシーの手を掴んで走り出した。




カップとキンシーは村人達が集まっている所まで走って来た。

周りの村人達はざわめいている。



「おい。あの旅人、奴隷商に喧嘩売ったらしーぞ。」


「ありゃ〜死んだな。」



そんな会話が聞こえて来る。

キンシーは胸騒ぎがした。




「ねーちゃん!こっち!!」


カップはキンシーを手招きして呼ぶ。


その場所からは先程のゴブリンと、女性と少女、そして血塗れで立っているのが精一杯の夜空が見えた。



「嘘………何やってるのよアイツはーーー!!」


キンシーは声を張り上げながらその場に駆け寄る。




「大丈夫か?」


夜空は意識は朦朧としているが決してゴブリンから目を離そうとはしなかった。




「おい。ゴブリン。なんで私のツレをこんなにした…。」


キンシーは怒りに満ちた顔でゴブリンを睨む。



「ん?ツレだぁ〜?このクズの事か?」


ゴブリンは気だるそうに答えた。




「このクズが!俺様の商売の邪魔したからだよ!下手に出れば調子に乗りやがって!結果このザマだよ!」



ゴブリンは鼻で笑いながらこう続けた。



「あー!それと!今、《決闘》中だから邪魔すんなよ!部外者は見学してな。」





「くっ…。このゲス野郎が。」





《決闘》とはお互いがお互いのプライドを掛けて1対1で行う。


武器の使用、魔法、魔術の使用は認められており、勝敗が決まるまでは誰も手出しはしてはいけない。

勝敗はどちらかが負けを認めるか……《死ぬ》まで続けられる。





「おい!負けを認めるんだ!そしたら私がこのゴブリンに決闘を申し込む!!だから早く!!」


キンシーは夜空に言う。




「……ダメだよ…。これは…僕が決めた事なんだ…。」


夜空は弱々しい声で答えた。


「僕は…あの子を助けたい…。だから絶対諦めない…。」




「だったら!!あたしが変わってやる!!」




「それじゃ〜…ダメなんだよ…。これは僕が守りたい…僕の中の正義なんだから…。」






ゴブリンはニヤニヤしながら夜空に近寄った。


「とりあえずぅ〜。友情ごっこは終わったかな〜?やっぱり負けは認めないかぁ〜。じゃ〜しょうがないね。」


ゴブリンは腰に付けてる拳銃に手を掛けた。


「最後は楽に逝かせてやるよ〜。まぁ〜殴り過ぎて手が痛いから俺様が楽するんだけどなぁ〜」









あー。キンシーさんが何か僕に言ってる。でも、もう…よく聞こえないや…

助けに来てくれたのにごめんなさい。


しかし…本当に…死んじゃうのかな…


もしかしたら東京に帰れるかも…



………。多分。そんなに都合よくないよね。



あー。

お母さんの所に行くのかー。

僕にしては勇気を出したと思うんだけどな…


…あれ?そー言えば。お母さんが昔、こんな事言ってなかったっけ?






そこには夜空の母と小さい時の夜空が居た。



「あっ!ワンドの7。さて、夜空に問題。ワンドの7が示す意味は?」


「そんなの覚えたよー。《勇気》でしょ?」


「流石私の子供。お母さんは嬉しいぞ。」


「そんなの簡単だよーだ。もう小アルカナだって全部覚えたんだから!」


「じゃ〜次にめくるカードが夜空の勇気を支えてくれるカードだ!なんだろ〜ね〜。」



「だったらぁ〜。大アルカナの皇帝とか戦車がいいなぁ〜。」


「あら?なんで?」


「だって強そうじゃん!!」


「じゃ〜見てみましょうか。なんだろな?」


…………















夜空を除く全員は今何が起こったかわかっていなかった。

夜空自体も意識は無かったのでわかってはいない。

しかし。


ゴブリンから夜空を守る形で仁王立ちしている騎士がいた。




黄金に輝く鎧に身を包み。

髪と髭は白髪。

そして。

右手にはゴブリンの身の丈ほどある剣を持っている。




「な…なんだ…テメーはぁ?どっから出て来やがった?」



ゴブリンは明らかに動揺している。

むしろ周りの皆が動揺を隠しきれない。


そんな中。騎士が口を開く。




「ゴブリン風情が調子に乗りよって……」


騎士は鋭い眼光でゴブリンを睨む。



騎士はそのまま振り返り、跪坐く形で夜空に声を掛けた。




「夜空よ。おい!夜空!大丈夫か?」




「えぇ。なんとか…。……あなたは?」




「ワシか?ワシは《あの時》のカード。貴殿の母君からの名で馳せ参じた。…少々遅れてしまったがな。」




「《あの時》って…」




「そうだ。あの時ワンドの7の次に表れた。」



騎士は夜空の手を握りながら立ち上がってこう言った。





「我が名はNo.11 正義(ジャスティス)!貴殿を守る者として馳せ参じた!!」






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