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第6章 木箱

第6章 木箱




「ウチはこっちなんだよ!ねーちゃん達も急いで!」


カップは急ぎ足で進んでいく。



「大丈夫。そんなに急がなくても、もう家はすぐそこなんでしょ?」


キンシーは相変わらず落ち着いて居る。



「でもさー。治せるのか早く観てもらいたいんだよ!こっち!」



「はいはい。」




村の中を急ぎ足で通り抜けていると、村人達からの視線を感じる。



「キンシーさん。なんか皆さんに見られてる気がしますが…。」



「ん?あー。旅人なんてこんな感じだよ。まぁ〜デカイ町なんかなら話は別だけど、村とかの規模だと旅人は目立つのさ。」



「なるほど…。」



「とりあえず、アンタの格好はどこいても目立つけどね。」



キンシーは笑いながら言う。




「ここがウチだよ!」


カップの家は村の中心からは少し離れた所にあった。



「とーちゃん!ただいまー!!」


カップは大きな声で扉を開けた。


家の中は薄暗く静まり返っている。少し肌寒い感じもする。



「ゲホ、ゲホ」


奥の部屋から咳が聞こえた。


「カップかい…?」




「そーだよ!とーちゃんの病気を治せるかもしれない人が来てくれたんだよ!」


カップはそう言いながら声の聞こえた奥の部屋のドアを開けた。




そこには痩せ細った男性がベッドに寝ていた。


「とーちゃん!この人達がそうだよ!こっちの、ねーちゃんがキンシーさんで、あれ?こっちはなんだっけ?」



おい。なんで覚えていない。まぁ〜いいか。


「夜空と言います。宜しくお願いします。」


僕は深々と頭を下げて挨拶をした。




「でさー。とーちゃん!このねーちゃんが凄いんだよ!獣をズバッと一撃でやっつけたんだよ!」


カップは父にまるで自分の事のようにキンシーの事を話している。




「キンシーさん。ウチの息子が面倒をおかけしまして本当にすいません。」




「いえいえ。旅の途中でしたし全然。元気もありますし、父親思いの良い息子さんじゃないですか。」


キンシーは優しい笑顔で答えた。




「では。お父さん。早速、お体の様子観てみますね。」


キンシーはそう言いカップの父の体を確認し始めた。




「かなり口の中が荒れてますね。それに、斑点も腕を中心に出てます。体の調子が悪くなる前に水辺に行きましたか?」




「確か…村の用事で川に水を汲みに行きました。その2日後から調子が悪くなってきました。」




「それなら大丈夫。治りますよ。今、薬作りますね。」



そう言ってキンシーは持ってた木箱を開け始めた。

その木箱の中は無数の引き出しがあり、引き出しを開けると紙に包まれた粉や、乾燥した草などが入っていた。




「ねーちゃん!とーちゃんの病気治るの?」




「ええ。治るわ。ハガレムシって言うのに刺されたのよ。」




「ハガレムシ?」




「ええ。腕の斑点が刺された印ね。ハガレムシに刺されると、体の水分が奪われ最後はそのまま脱水症状で命を落としてしまうの。でも。大丈夫よ。薬は作れるし、ちゃんと水分も取れば5日もすればよくなるわ。」



キンシーは慣れた口調でカップと父親に説明し、その後もキンシーはカップの父に処置を施していた。





「これでひとまず大丈夫。2、3日はこの村に滞在する予定なんで何か具合に変化があったら教えて下さい。私も日に何度か伺いますから。」




「本当にありがとうございます。お代の方は…」




「あー。いいですよ。大した薬剤使ってないんで。早く治して息子さんの側にいてあげてください。」



キンシーはそう言い残し笑顔で家を出て行く。

カップの父はベッドの上で深々と礼をしていた。






「キンシーさんって薬なども調合できるんですね。」





「それが本業だからな」


キンシーは笑いながら答えた。




「さて。宿でも探すか。この辺りの宿は宿泊費も安いから助かる。」



キンシーはそう言いながら村を散策し始めた。




「しかし…」

相変わらず村人達の視線は凄い。



「これはアンタの格好を早々にどうにかしないと、目立ってしょうがないな。」



いやいや。貴女もなかなか目立ってますよ…

と言う気持ちは口にはせずに心に留めた。






ガラガラガラ…




村の入り口の方からかなり大きい馬車が2騎入って来た。


僕自身は馬車自体を見るのは初めてで驚いた。






「おーい!!!悪いが少し水を分けちゃくれんか?ウチの商品がくたばっちまう!!」



大声を上げながら馬車から1人降りてきた。




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