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第5章 神童

第5章 神童



少年は慌てて答える。


「お…俺の名前はカップ。マンドラゴラを探しに森に来ていたんだ。そしたら突然、あの大きな獣に……」


少年はうつむき気味に答えた。



「では。カップ君。何故君はマンドラゴラなんか探してたんだね?」


キンシーは少し不機嫌そうに問う。



「マンドラゴラを使えばとーちゃんの病気が治ると聞いたんだ。それにこの森には昔から魔女がマンドラゴラを取りに来ていると言う話聞いた事あるし…」




「で。探してたのかい。……しかしカップ君。マンドラゴラがどれだけ危険な植物かわかっているのかい?」


キンシーはカップに詰め寄りながら問いかける。



「キ…キンシーさん!いくら危険だからとは言え、子供に対して少々強く言い過ぎなのでは…」



「はぁー⁉︎あんたは別の世界からやって来たから知んないだろうけど、マンドラゴラがどんだけ危険な物か、あんたもわかってないでしょ?マンドラゴラを抜いた者がどうなるのか知ってる?」



かなり怒り気味なキンシーに対して僕は首を傾げた。



「あのねー。そもそも魔女だってマンドラゴラは自分で抜かないのよ。魔女は犬や精神を操った人間をマンドラゴラに括り付けて、走って抜かせるのよ。」



「なんで魔女はそこまでして自分では抜かないんですか?」



「そんなの簡単よ。抜いたら死んじゃうから。」


キンシーは当たり前の様に平然と言い放った。



「えっ⁉︎な…なんでマンドラゴラを抜いただけで命を奪われるんですか?」



「マンドラゴラは抜いた際に球根の部分から悲鳴の様な奇声を発するんだけど、それを近くで聞いた者は魂を抜かれるのよ。」


キンシーは丁寧に僕と少年に説明した後に少年に対してこう続けた。



「君がしようとしてた事はお父さんを助ける事ではなく、単なる自殺行為でしかなかったの。わかったなら村に帰りましょ。」



「とうちゃんはもう助からないの?」


少年は今にも泣きそうな顔でキンシーに言う。



「ん〜〜。どうだろう?それじゃ〜私に君のお父さんをみせてよ!こんな旅人だけどもしかしたら力になれるかもよ?」


キンシーは俯いた少年の頭を優しく撫でながらいつもの笑顔で言ったのだった。





しばらく3人で森を歩いていると明るい光が射し込んでくる出口の様な場所に着いた。


キンシーさんや少年のカップ君が言うには、ここからもう少し歩いた所に村があるそうだ。


正直足の裏がとても痛い。いや…足の付け根も痛いかもしれない。

とりあえず、早く安心して休める所に行きたい。


そんな気持ちでカップ君の住んでる村へ歩き出した。






深い緑の森から、鮮やかな緑の草原を3人で歩いていると突然カップがキンシーに質問した。



「ねーちゃんってメチャメチャ強いんだね!あんな獣を一瞬でやっつけちゃうんだもん!ねーちゃんってもしかしてアルゴルンの神速?」


キンシーは笑いながらこう答えた。



「神速?それってアレサンダーの事でしょ⁉︎全然違うわ!人違いよ!」



「えー違うのー?あんなに強いのに?」



「ええ。違うわ。アイツは王国騎士団1番隊隊長よ!こんな所で旅なんかしてるわけないわよ。

そ・れ・に!アレサンダーは男よ!」


キンシーは涙を浮かべ笑いながら話した。



しかし。先程からアレサンダーという方の事を《アイツ》と呼んでいるところから知り合いなのか?


「キンシーさんは、アレサンダーさんとはお知り合いなんですか?」


キンシーに尋ねてみると笑顔でこう答えた。



「そうね。小さい時からウチに来て剣の稽古をしてたわ。だから一応知り合いになるのかしらね。」



カップが食い気味に


「じゃー、ねーちゃんは神速の師匠なの?」



「それはないでしょ!だってアイツの方が歳上なんだから。アイツは私の父に剣を教わりに毎日来てたのよ。」


キンシーは笑いながら答えた。



「では、キンシーさんのお父さんは剣の先生なんですか?」



「まぁ〜そんな感じかしらね。弟子がいっぱい、いたわけではないけどアレサンダーはそのウチの1人よ。

でも、アイツは13歳の時にはすでに私の父よりも強かったわ。」



「えっ?」


僕とカップは顔を合わせて驚く。



「だから、アイツはゴア家の神童なんて呼ばれたりしてるのよ。アイツは剣を振る為に生まれてきたの。」



そんな話をしてるとカップの父が居る村が見えて来た。




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