第2章 鍵
第2章 鍵
「あと使い終わったらテーブルと椅子は片しておいてね。」
「わかりました先生。今日もお疲れ様でした!また明日もお願いします!」
「はい。お疲れ様でした。練習もほどほどに早く帰ってね。」
今日の先生の営業が終わり、ここからは自分が好きに練習出来る時間。
明日はバイトが早番だからなるべく今日は早めに切り上げるか…
そんな事を考えながらテーブルに鮮やかな緑のクロスを引き、母から貰ったタロットカードを準備していると…
「あっ!すいません!まだ大丈夫ですかね?」
1人の男性が入ってきた。
背丈は180前後の痩せ型長身。
髪色は銀色で長髪だか頭の上でお団子結びしている。瞳は緑色で吸い込まれそうなくらいに綺麗だ。
それにピアスやら指輪をジャラジャラ着けている。明らかに日本人ではない。
「すいません。今日の先生の営業は終わってしまいましたので、また明日の19時以降ご来店ください。」
「そうですか……。あれ⁉︎でもお兄さんタロッキ準備してますが?」
ん⁉︎タロッキ⁉︎イタリアの人かな⁉︎
「いえ。私はまだ半人前なのでこれから1人で練習をするところだったんです。」
「おーー!!それでしたら僕を占って下さい!!お金は払いますよー!」
「イヤイヤイヤ。まだ人様の前で啓示できるほどのものでもございませんし、ましてはイタリアの方ですよね?
本場の方にお粗末なものはお見せできません。」
「だいじょーーーぶ!!僕を練習相手だと思って占ってください!!」
その後もこんなやり取りが10分程続き…
僕の心が折れる。
「わかりました。では1度だけ練習相手をお願いします。
まだ不慣れな点もありますがよろしいですか?」
「是非お願いしますよ!粘ってみるものですねー!」
謎のイタリア人はハイテンションだ。
しかし。この人、さっきから感じるが…割と同じ業界の人か…⁉︎
「とても日本語がお上手なんですね。こちらに来て長いのですか?」
僕はセージを焚きながら質問すると…
「あなたはとてもステキなタロッキをお使いになられている。それにこのタロッキ達にとても好かれている。」
って、おい!人の話聞いてますか?
質問の回答がおかしいだろ。言語の話を振ったのにタロットの方に夢中ですか…
「あ…ありがとうございます。このデッキは亡くなった母から頂いたもので、私自身も大変気に入っているタロットなんです」
と僕がそう答えると。
「そうですか。どうりで………」
謎のイタリア人はその後は黙って僕の準備が整うのを待っていた。
「では、始めます。今回あなたを占わせて頂きます、夜空と申します。宜しくお願いします。」
謎のイタリア人は軽く会釈をした。
「今回、あなたが占って欲しい事はなんですか⁉︎」
「僕が知りたい事は……。探し物をしてるんだ。いや。探し物と言うよりかは《探し人》かな…。その人物がどこで何をしてるか、そして見つける事が出来るかを知りたいんだ。」
「わかりました。どことは特定はできませんがお力になれるようカード達に聞いてみましょう。
それと問題なければお名前よろしいですか?」
「私は。ゲートキーパー。」
???はぁ⁉︎
本名では……ないよな。まぁ〜名前は記号みたいなものだから何でも良いけど…。
「では。ゲートキーパーさん。始めます。」
続