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童話集

もし白雪姫が頭の悪いギャルで、王妃が娘想いで、王が変態だったら

作者: 宝蔵院 胤舜
掲載日:2017/12/28

もし白雪姫が頭の悪いギャルで、王妃が娘想いで、王が変態だったら



O-EDOという国に、けっこう女好きの王様がおりました。その王様が「三国一の美女と結婚したい」と無茶な事を言い出しました。家臣の者達が近隣諸国を探した所、なんと隣国であるO-SAKAという国に、それはそれは大層な美女がいる事が判ったので、中ば強引にお妃として迎え入れました。

結婚してからは、二人仲良く暮らしておりましたが、お妃がちょっとでも気を抜くと、王様はすぐに別の女に走ろうとするので、お妃は女磨きに余念がありませんでした。

それでも女漁りがなかなか収まらない王様に、

「子供が出来れば、家庭を愛する良い父になってくれる」

と思ったお妃は、女の魅力をフル稼働させて艶めかしい雰囲気を盛り上げ、毎晩のように子作りに励み、とうとう女の子を授かりました。雪のように白い肌と漆黒の黒髪を持つ美しい赤ん坊は「白雪」と名付けられて、蝶よ花よと大層甘やかされて育てられました。そして、皆さんご案じの通り、大概なわがまま娘に育ちました。


七歳にして傍若無人な愛娘の行く末を案じていたお妃の、唯一の楽しみは、王様からプレゼントされた手鏡に自らを写して、その美しさを再確認する事でした。

「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは、だあれ?」

「それはお妃さまです」

鏡が答えました。学習型AI搭載の最新型です。

「まあ、今日も上手なのね、〇リ」

ネーミングがちょっとギリです。

「ただ、あと八年もすれば、白雪姫に取って替わられるものと思われます」

「まあ」

お妃は目を丸くしましたが、それもむべなるかな、でした。母親の自分の目から見ても、白雪姫は美しい少女だったからです。

「事実、王様はもう目を付けておられます」

「何やて?」

お妃は驚きのあまり、お国ことばが出てしまいました。

「何やて?今何ゆうた、〇リ」

「王様は、既に『青い果実が熟れるのを待ち切れん』とツ〇一トしちゃってますし」

「何なんあのオッサン、自分の、年端もいかない娘に欲情て、キ〇ガイちゃうか?ホンマムカつくわ」

お妃の怒りも最もです。

しかしここで、お妃は冷静になって考えました。いかに変態であっても、一国の王様です。その権力を持ってすれば、黒も白になってしまうのです。

そこで、お妃は王宮付きの狩人を呼びました。彼は純粋な狩りバカで、色にも欲にも全く興味のない男であり、お妃が信頼する数少ない一人でした。

「あのな、狩人。ちょっとお願いがあるんやけど」

「どうしたんです、お妃様、なまってますよ」

「どうでもええねん、そこは。それよりな、うちの娘、白雪を逃がしたって欲しいねん」

「どうしてです?」

「王様がな、あの娘を狙っとんねん」

「何ですと!児ポ法に抵触する上に、近親相姦って、どんだけマニアックなんですか?」

「そういうのいらんねん。あのな、そこの森の奥の方に、七人のドワーフ達がおんねん。そいつらは、うちがO-SAKAにいた頃からの馴染みの業者やねんけど、そいつらに白雪を預けたって欲しいねん」

「業者って何ですか?」

「そこは堀り下げんといて。ドワーフ達には連絡しとくさかい、頼んだで」

お妃は狩人を説き伏せると、白雪の部屋へ行きました。

わがままなお姫さまなので、お城から出る事を説得するのも難儀しそうです。

「いやや。行きとない」

案の上、白雪はけんもほろろの返事です。

「そんな事言うてもな、王様が来たらな、(一部削除)れてまうねんで」

「うわ、キモいな。なら、うち行くわ」

母親の身も蓋もない警告に、白雪姫はあっさりと前言を撤回して、お城を出る事にしました。

狩人は姫を七人のドワーフ達に預け、その帰りにイノシシを狩りました。その夜は、お妃は待女達と、ぼたん鍋とイノシシの心臓、肝臓、もも肉の焼き肉を楽しみました。


白雪姫が森で迷子になったと聞いて、王様は(邪な理由も含めて)とても心配していましたが、若い女を作ってからは、とりあえずは姫の件は落ち着いたようでした。でもたまに、

「白雪姫はどうしているかのう」

などと言うので、お妃は気が気ではありませんでした。

そんなお妃は、鏡に向かって自らの美しさを再確認する事で心を癒しておりました。

やがて、八年ほど経ったある日。

「ねえ、〇リ、この国で一番美しいのは、だあれ?」

この八年間、齢は重ねても、美しさを維持する事に余念のなかったお妃ですので、 今日も当然いつもと同じ答えが返って来ると思っていました。

「それは、森の奥の方に住んでいる、白雪姫です」

「えっ?」

お妃は驚きました。

「ねえ〇リ、それって八年前のフラグ回収?」

「いいえ。本人のイン〇タの自撮り写真からの判断です」

「何やて?」

お妃は久し振りにお国ことばが出てしまいました。

「ちょっと見せて、〇リ」

お妃が言うと、すぐにブログに載せた白雪姫の写真が出て来ました。確かに、透き通るような白い肌と漆黒の黒髪は健在で、目を見張るほどの美しさです。

「確かにめっちゃキレイやな。さすがはうちの娘や。でも、何やこれ」

お妃は驚きました。プロフィールを開くと、明け透けな個人情報である上に、メールアドレスはG〇ailで、しかもGo〇gleアカウントに同期されているので、すぐに深い個人情報まで辿り着いてしまいます。

「何やのこれ、個人情報めっちゃ紐付きやん。しかも写真、周りの風景しっかり写ってるやん。何の為に城から出て暮らしてる思てんねん。危機感ないなあ」

白雪姫、ブログでまさかの自宅チェックインです。

「これあかんわ。直接言わな判らんわ」

お妃は少々みすぼらしく見える服を着て、胸紐の商人に身をやつし、姫が住む森へと出掛けました。

お妃がドワーフ達の家へやって来ると、白雪姫は傲慢な態度でドワーフ達をこき使っておりました。

お妃は、ドワーフの一人に声を掛けました。

「ちょっと、テツ、あんた何やってんねん」

「あ、お妃。どないしたんです?」

「どないしたちゃうで。あの娘、スマホでこの家晒しとんで」

「いやもう、実は弱ってまんねん」テツは肩をすくめた。「不憫や思て可愛がりすぎまして」

「何やの?」

「めっちゃワガママですねん」

姫は、輪をかけてわがまま娘になったようです。

「あ、どしたんお母ちゃん、そんな貧相(ひんそ)なカッコして」

姫はストレートです。

「何言うてんの。変装やん。お前のお父ちゃん、まだ諦めてへんで」

「嘘やん?」

「ホンマや。それなのに、イ〇スタ映えとか気にしてる場合ちゃうで」お妃は少し厳しい顔をしました。「ワガママはええけど、個人情報の管理はしっかりしてや」

ワガママはええんかい!

ドワーフ達は、心の中で激しく突っ込みました。


それからしばらく、ブログ更新や写真投稿などは、個人情報の流出に配慮した内容となり、お妃も胸をなで下ろしていました。

しかし、ある日、いつものように、

「ねえ、〇リ、この国で一番美しいのは、だあれ?」

と尋ねると、

「それは、森の奥の方に住んでいる、白雪姫です」

との答えが返って来ました。

「あの娘、今度は何やったん?」

お妃は小さく溜め息をつきました。

「姫は、城のサイトからアクセスして、コスメ用品などを買い漁っているようです」

「はあっ?何で城のサイトなん?」

「どうやら、カード情報を入力する手間を惜しんだようです」

お妃は、今度は櫛を扱う商人の見なりで、白雪姫を訪ねました。

「今度は何やのお母ちゃん」

お妃が来る時は、いつも小言を言われるので、姫は早くも少々ご気嫌斜めです。

「何やのちゃうやん。王様に見付からないように、ここにおんのに、何で城のサイト使てんの。どこにおるかバレバレやん」

確かに、送り先まで明記しています。

「でもなんかムシャクシャしてたし、王様のお金遣てやりたかったんやもん」

「せめて串刺して。そのまんまアクセスしたら、アドレス晒しまくりやで」

「あ、それで『櫛屋』さん」ドワーフのテツのナイス突っ込みです。「安直と言うか、そもそも『くし』違いですやん」

「引っ掛けてんねん。そこは察してぇな」

さすがのお妃も、ちょっと照れ笑いです。

「とにかく、王様にばれへんように、気ィつけてや」

お妃は、重ねて念押しして、お城に帰りました。

これでひと安心、と思ったのも束の間、今度は、姫は串刺しに気を許したのか、やたらと城のサイトや、事もあろうに王様のブログに挑発的な書き込みをしたりし始めました。如何に海外のサーバーを経由したとしても、これだけ頻繁にインしていれば、解析アプリで割り出されないとも限りません。

もういよいよアカンな。

お妃は今度は魔法使いの老婆に変装しました。結構変装というプレイが気に入ったようです。

お妃は、白雪姫に一台のスマホを差し出しました。

「姫、これからはこのリンゴをお使いなさい。これなら、アブナいサイトやブログに入る事も出来なくなるさかい」

「はあい」

姫は渋々ながらリンゴを受け取りました。

「あ、あとな、姫」

「あと何やの?」

「そのリンゴの中に、もうひとつリンゴのアイコンがあるけど、それは開けて見たらあかんよ」

お妃はあえて念を押しました。

「はあい。判りましたぁ」

姫は答えましたが、お妃には確信がありました。

「あの子は、アカンいうたら必ずやる子やからな」

案の上、お妃が帰ってすぐ、アプリが開かれた事を知らせる通知がありました。

「まあ、予定通りやな」

そのアプリは、催眠導入用の動画で、無垢(アホ)な白雪姫は一発で深い眠りに落ちたのでした。

お妃は、兼ねてから目をつけていた、隣の小国NAG-OYAの王子にコンタクトを取りました。彼は、利発でイケメンなのですが、コミュ症で二次元の女しか愛せない、イタい子でした。

お妃は彼に、

「白雪姫をあげます。あの子寝たままだから、そのまま好きにしていいですよ」

と言い含めて、姫を引き取りに行かせました。

王子がドワーフの家にやって来ると、彼女はお妃が用意したガラスケースの中で横たわって、すやすやと眠っていました。

「何という美しさだ。正に完璧なフィギュアだ。これなら僕でも愛せるかも」

かなりの痛々しさです。

王子はもっと良く見ようと、ケースのフタを開けました。王子が顔を近付けた所で、姫がパッチリと目を開けました。

「まあ、むっちゃイケメンや」

姫は猛禽類の素早さで王子の顔を捕らえると、吸い付くようなディープキスをしました。お妃は、後催眠暗示として、目覚めた時に見た若い男を好きになるように仕込んではいましたが、ビッチで肉食系の姫には必要なかったようです。年増女のような手練手管で、あっさり童貞王子を手ごめにしてしまいました。


結局王子は白雪姫の国、O-EDOに婿入りし、結婚した娘を見てさすがの王様も観念して、若い妾でガマンする事にしたそうです。

そして色ボケした王様に代わって、国の実権はお妃が握って、皆で平和に暮らしましたとさ。


めでたし、めでたし。


後日、毎日少しずつ媚薬を盛られていた王様は、若い妾の部屋で靴を履いたまま心臓マヒで腹上死しましたとさ。



おしまい。


一応、「白雪姫」に出て来る要素は全部入れてみたつもりです。

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