翠栞 第一頁
間章です!気楽に読んでいってください♪
私は星の公主翠蘭。
双子の姉・金蓮と共に燐瓏宮に住んでおります。
私は忘れたくない思い出をここに記すことにしています。
私の日記、翠の栞。
……今日、緋凰が燐瓏宮に訪れました。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「緋凰!今日はどこにいくの?楽しみだわ、ね翠蘭」
そう言って金蓮は私を振り返りました。
つややかな黒髪がさらさらと音をたてています。
象牙色の肌に、珊瑚の唇。金蓮は纏う雰囲気も華やかで例えるなら蝶がぴったり。
私は、金蓮と比べると髪色は淡く、柔らかい面差しをしていると言われます。
私は、穏やかな印象を与えるようで、星の人々には花の公主と呼ばれています。
花と蝶。
それが私達の象徴です。
緋凰は優しく微笑みます。
「そうだな。どこにしよう?私は明後日は晨だからな。近場にするつもりだが」
「明後日!もうすぐじゃないの。ねぇ、金蓮。緋凰をいたわらなきゃ」
「てん…山は駄目よね。馬の早駆けも駄目。となると…。うーん、うーん」
何で金蓮のしたいことは野外活動ばかりなのかしら。
全部緋凰の体に負担をかけるものばかり。
さすがに緋凰も苦笑いしています。
「いったい金蓮は誰に似たんだ?少なくとも諒はここまでではなかったな」
「あら、金蓮は緋凰似よ?気ままなところとか特に。二人とも自由過ぎるんだから」
緋凰も金蓮も自覚はないよう。困ったものです。
「ねぇ緋凰。久しぶりに城下に下りてみてはどう?金蓮も、どう?」
「城下!良いわね、翠蘭。お父様は連れて行ってくれないもの。決まり、でいい、緋凰?」
金蓮は可愛らしく小首をかしげました。
「あぁ。城下くらいなら」
行き先が決定しました。私の提案、採用です。
「ただし、条件がある」
何でしょうか?条件…今まで無かったものです。金蓮も不思議がっています。
そんな私達を見て、緋凰は指を二本立てました。
「一つ、変装をして行くこと。二つ、私と夏維の指示に素直に従うこと。一口に城下と言っても広い。城下には王宮にはない危険も数多ある。守れるか?」
「「はい」」
もちろんです。緋凰と夏維の言うことを聞くのは当然のこと。
それに変装も楽しそうです。
「ひーおーうー!こんな感じでどーう?」
早速着替えを持って金蓮が走って来ました。
「金蓮!こんな服、いつ手に入れたの」
町娘が着ているような服に私は驚きました。
「良いだろう。翠蘭は?」
「私は持っていないわ。貸してもらえる?」
緋凰は私の言葉に頷きました。
――お忍び城下、楽しくなりそうです。