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お家騒動とメイドとタイツ4

 

「お気になさらずに、それよりもずっと歩き通しと聞きました。かなりお疲れなのではないですか?」


キャラバンは荷馬車こそあるが商品を積んでおり人が乗るスペースがほとんどない。移動は徒歩だ。


「私は荷馬車の空いているスペースにいましたので眠ることができました。ただ、父を含めキャラバンの皆は歩き通しでかなり疲れていたと思います。ですが、今の回復魔法でかなり回復することができました。皆に代わりお礼申し上げます」

「そんなに畏まられると困ってしまいます。私はできることをしただけですので」

「ご謙遜なさらなくても・・・あの回復魔法がなければストーク領に到着する前に、何人か倒れていたでしょう。回復魔法とはすごいものなのですね!」


可愛いな、この子。惚れてしまう・・・!もしかして自分に気があるんじゃないか!


「ところで、そのハンニンさんとは本当に、その・・・何でもないのでしょうか?」


ん?え?ちょっとまてよ・・・落ち着け、深呼吸だ。


「はい、私が一方的に知っているだけで彼とは昨日初めて会いました」

「ハンニンさんとは、特別な関係ではないと?」

「あの、もしかして、その何と言うか、彼に惚れてしまったとか・・・?」

「そ、そんなことは、な、なくもない・・・かな・・・」


Oh...まじかよ。え、自分変態に負けたの・・・?確かに自分は今女だし、助けたのは奴だろう。でもその選択をしてしまうの?やばい、なんだこの圧倒的敗北感・・・。すごく悔しいんだけど・・・。だってこいつ、今、自分とミトさんの間に寝そべって二人のスカートの中覗いているんだよ・・・?


異世界ハーレムとはなんと険しく、厳しいのだろう。そもそも異世界で初めて遭遇したのは♂助けたのも♂の集団。唯一の女性はハンニンが助けてしまう。というかなんでこんなに女性率低いんだ!訴えてやる!


「そうなんですか・・・よかったな」

「ほう!」


サムズアップする変態。すげーむかつく。このやり場のない怒り(嫉妬)、どうしてくれよう。キャラバンの人たちと挨拶などをした気がするが、よく覚えていない。ひどく疲れてしまった・・・。騎士団のところに戻ろう。



 肩を落としこちらに向かってくる彼女を見つける。酷い表情だ。自分がそのような表情をさせていることに酷く苛立ちを覚える。


「お疲れのようですが、大丈夫ですか?」


どの顔がいうのか。自分が吐き出した言葉に怒りを感じる。


「はい、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


大丈夫なものか!今にも消えてしまいそうな微笑みを浮かべて返事をする彼女を今すぐ抱きしめてあげたい!歯が擦り切れてしまうのではないかと思うほどに、食いしばる。


「わかりました・・・朝食の後話したいことがありますので、食べ終わりましたら馬車までお願いします。朝食は騎士の者たちが用意しています。我が領の騎士団料理は美味しいと評判なんですよ。とはいっても騎士団の中では・・・なんですがね」


なるべく明るく話をする。自分にできるのはそれくらいだ。


「楽しみにしていますね」


そう微笑んで騎士団のところへ向かう彼女を見送る。惨めというのはこういう気持ちのことを言うのだろう。



 騎士団の人達がすごい優しい。同僚を失ったというのに、人を気遣うことができるのか。強い人達なのだろう。人間として勝てそうにない。さらに気が沈んでいく。


「さっきの回復魔法ありがとう!本当に助かったよ!正直ほとんど休みなしで夜通し歩くのは辛くてね!お礼と言っては何だけど、これ食べて!」


差し出されたのは砂糖菓子のようなものだ。礼を言い口に含んでみる。甘い。蜂蜜と砂糖、後はよくわからない果物?だろうか酸味がする。うむ、元気が出てきた!ミトちゃんに振られ(?)意気消沈してたけど元気が出てきた!いつまでもくよくよはしていられない!


「ありがとうございます。元気が出ました。それと朝食美味しかったです。ごちそうさまでした」


 そうだ、公爵領と言っていたではないか!屋敷にはきっと美人のメイドさんが沢山いるに違いない!メイドさんとちゅっちゅするのだ!よし、やるぞ!あのお貴族様のお願いを華麗に解決し、メイドさん達の尊敬の念を集め、ハーレムを作る!



「先程はご心配をおかけして申し訳ありません」


 そう言って微笑む彼女。心なしか表情に張りがある。目には強い意志をたたえている。覚悟を決めてくれたのだろう。


「いえ、その、元気が出たようで何よりです」

「お恥ずかしい話ですが、甘いものを食べて元気が出てきました。現金なものですね。騎士団の方たちには励まされました」


情けない話だ、自分は彼女に何一つ与えることができず、騎士団が彼女を元気づけてしまう。この感情は嫉妬なのかもしれない。酷いものだ。自嘲してしまう。


そして、彼女にやってもらいたいことを、その理由を話す。


「わかりました、ですがその証拠が先に見つかれば、戦う必要はないのですよね?」

「何か策があるのですか?」

「策というものではありません。その証拠を見つける努力をしたい。ただそれだけです」





 

目指せハーレム

あと、アレックが貴族に向いていないじゃないか疑惑

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