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お家騒動とメイドとタイツ3

 

 彼女の告白に酷く動揺する。自分は彼女のことを見誤っていたようだ。かける言葉が見つからず肩に触れようと手を伸ばす。


「!」


肩に手が触れた瞬間、肩を震わせる彼女から思わず手を離してしまう。思えば女性に泣かれるという体験は初めてかもしれない。心なしか変態・・・ハンニンから非難のような視線を感じる。今の自分は彼以下なのかもしれない。そう思うと自分は先の襲撃で死ねばよかったのかもしれないと考えてしまう・・・。


だが引くことはできないのだ。自分が人として最底辺であっても迅速に対応しなければ多くの民が死ぬ。一人の女性の涙と引き換えにして自分は民の、領地の、国の安寧を守らねばならない。


貴族というのは、何とくそったれな職業だろうか!手が白くなるほどに強く拳を握る。弟は自分の、家族のひいき目を引いたとしても優秀だ。無論、自分が弟に引けを取るとは思わない。だが自分が死んでも弟が立派に領を継いでくれるだろうという確信はある。その優秀な弟が兵を用意していないわけがない。


弟が内乱を起こす前に、襲撃の黒幕であるという証拠を掴み罪を問うことができれば問題はない。だが実際にそれは難しいだろう。そのために弟が用意している兵を潰す必要がある。問題は表立って兵を動かせないということだ。


騎士団は領主である父上だけが動かすことができる。そして騎士団を動かすにはそれ相応の理由が必要となる。このたびの襲撃は、言うなれば身内の恥である。それを喧伝することはできない。何より弟の内乱を誘発する可能性がある。それ故に、どこにも所属していない彼女達に働いてもらう必要がある。あの圧倒的な戦闘力なら弟が用意している兵を潰すことができるだろう。


これらを彼女に話さねばならない。ひどく気が沈む。代わってもらえるのなら代わってほしい。

「申し訳ありません。本来これは貴方達に関係がない話なのは理解しています。ですが、多くの民のためにお力をお貸しください」


滑稽だ、お貸しくださいとは頼みつつも実際は命令だ。


「少しだけ、お時間をください・・・。」


俯いたまま答える彼女に、


「はい、レイナード少し出ましょう。貴女はここをお使いください」


レイナード、騎士団長を連れ馬車を降りる。


「はぁ、自分の目は圧倒的な力の前に曇っていたようです。何より女性を泣かせてしまった。気付こうとすれば幾らでもの気が付くことができたというのに」


思えば彼女は離れた場所からずっとこちらを窺っていた。きっとよく見れば見落としていたサインが幾らでもあったのだろう。


「自分もです。彼女に怯えていたことがひどく恥ずかしい。私はいったい何に怯えていたのしょうな」


自嘲気味に笑る騎士団長。


「嘆いても仕方がありません、現実的な話をしましょう」

「はっ!」

「早馬は出しません。キャラバンの人たちには申し訳ありませんが、我々と共にストーク公爵領に来ていただきます。最低限の休憩を取り、急ぎ戻ります。準備をお願いします」

「はっ!」


敬礼をするや駆け出す騎士団長。


さて、自分も自分の仕事をこなすとしよう。踵を返す。馬車の扉をノックし扉を開けると馬車の壁に体を預けて彼女が寝息を立てている。体には見事な布が掛けられている。毛布代わりだろう。この馬車には用意されていなかったものだ。


「この布はあなたが?」


無言でうなずくハンニン。こういう気配りはできるようだ。なのに何故あのような奇行に走るのか・・・。


「準備が済めばすぐに出発します。目的地は我がストーク公爵領です。日が昇りましたら詳しい話をしましょう。それまでこの馬車はお貸しいたします」


告げて、逃げるように馬車を離れる。はぁ、情けないな。今日は荷馬車ですごすとしよう。



 目を開けると見知らぬ天井ではなく変態の顔が目の前にあった。


「ヒッ」


軽くホラーである。体を見るとゲームで見たことのある布がかけられている。恐らく目の前の変態かけた物だろう。こういう気配りはできるのになぜあのような奇行に走るのか・・・。体が硬い体をほぐすように伸びをする。んっー思いのほかよく眠れた。布の礼を言い布を渡す。あの後寝てしまったのか。馬車まで占有してしまった。いよいよ断りにくいなぁ、朝から気が重たい。


「気分転換に外に出よう」


寝ている間に移動していたようだ。今は休憩兼、朝食の準備といったところだろうか。騎士団の皆さんがかなりお疲れの様子。少しサービスするか・・・。


「皆さんおはようございます。かなりお疲れのご様子ですね。気休めではありますが回復魔法を使いたいと思います。ご希望される方はこちらへ来ていただけますか?」


言うや否や騎士団の方が殺到する。おぉう。ちょっと気圧される。回復魔法で疲労がとれるかは不明ではあるが言ったからには掛けないわけにはいくまい。


デッキブラシを召喚し、範囲回復魔法を使う。


「おぉ・・・無詠唱でこれ程の魔法を・・・。」

「ひぃひーん!」

「うおおお、力が、力がみなぎる!」

「やれる!俺はやれるぞ!」


・・・徹夜明けの危ないテンションみたいだなぁ。いや、まさに徹夜明けのテンションなんだろうなぁ。馬にも回復魔法は有効のようだ。キャラバンの人たちにも掛けてくるとしよう。


 キャラバンの人達は相当に堪えているようだ。目が死にかけている。何も言わずに範囲ヒールをかける。


「少しは楽になりましたでしょうか?」

「はい!ありがとうございます!力がみなぎるようです!先ほどの疲れが嘘のようになくなりました!ありがとうございます!」


手を握って上下にぶんぶんと手を振るおっさん?。そのたびに自分の胸が揺れる。他の商人と毛色が違うし護衛の人かな?


「おっと、失礼いたしました!私はC級ハンターのゴックと言います!歳は26です!ハンター歴は10年でユール領とストーク領を拠点として活動しています!お嬢さんお綺麗ですね!お名前は何というのですか!」


早く口でまくしたてるゴックさん。その間も手は離さない。目は胸に釘付け。キャラバンの女性が体重の乗った見事なパンチを脇腹に放つまで手を離さなかった。


「申し訳ありません!彼にはきつく言っておきますのでお許しください!」


おっぱいが大きい。頭を何度もお下げる彼女。そのたびに揺れる揺れる。揉みたいな。ゴックと似たようなことを考えるモードであった。





 

名前とかは割と適当。

巨乳は世界共通のジャスティス。

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