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お家騒動とメイドとタイツ13 変態が空を飛んだ日

 

 固まる自分たちにサムズアップをしてどこかに去る変態。今日一日見ていなかったがもしかしてもう何か見つかったのだろうか。後で確認して見よう。呼べば出てきそうな気がするし。


 悩ましい格好で倒れているモータン。顔を青くしながらもそれを支えるオフィーリアさん。なかなか美しい光景だ。モータンを背負い脱衣所に向かう。背中の感覚が幸せである。モータンを介抱し服を着せる。至福の介抱。


 モータンを部屋に運ぶ。途中警備兵が変わると申し出てくれたがお断りする。そんな勿体ないことできるか!そう叫びそうになるが、結構力には自信があるんですと適当にごまかす。


 モータンはカララさんと相部屋のようだ。なんでもモータンの部屋へ夜這いに来ようとするやからが後を絶たなかったため、この部屋割りとなったそうな。そもそもここは男性進入禁止のエリアのはずなんだけどねぇ。とぼやくカララさん。


 女人の園!それだけで幸せになれる!深呼吸しよう!風魔法で自分の部屋とこの部屋の空気を入れ替えることはできないだろうか。



「それで、何か見つかったのですか?」


 自室に戻り誰もいないはず部屋の中で問いかける。すると・・・。


「ほにー!」


 ベットの下から蛇のように這い出てくる変態。予測しててもびびる。幾枚かの書類?を手渡される。どうにも噂話など、この屋敷で行われていた会話を紙に書き留めていたようだ。


「毒か・・・。すでに納品と支払いが済んでるな」


 物がこの屋敷の中にある。それ以外にめぼしい物はない様だ。メイドさん一人一人の下着の傾向が書かれた紙はそっとしまう。大変有益だったのでブラを外して渡す。


「こっそりと外に出る方法ないかな」

「ほに!」


 任せろと言わんばかりの変態。なんだろう、こいつが請け負ったことは絶対に何とかするというよくわからない信頼がある。


「私を連れて、城壁の外に行って、戻ってこられます?」


 サムズアップで肯定する変態。よし、お願いしよう。


「では、お願いします」

「ほにー!」


 変態が後ろに回り込んで抱きついてくる。それはいいがそこはお腹あたりを押さえるんじゃないのか?なぜ胸のあたりを押さえる?まぁいいけどな。自分を持ち上げて窓まで移動すると、窓を開け放ち音もなく跳躍する。


「飛んでる・・・。でもどうやって?」


 足元を見ると、変態は空を走っていた・・・。モンク系のスキルと何らかの魔法の合わせ技だと思うが詳細がわからない。魔力の流れを感じることができるので間違いはないだろうか、自分にはこんなことは不可能だろう。


それより、魔法職の自分より近接職のこいつのほうが魔法の習熟度が高いのは何故だろう?納得がいかない。何より、目的地を告げていないのに、目的地である森のほうへ向かっていく。多分全部わかっているんだろうな。頼もしいがなんか腹が立つ。



 夜の森は自分が想像していた以上に躍動的であった。静かで、何もかもを飲み込んでしまうそんなイメージがあったが、今感じている森は生命の息遣いが強く感じられる。自分がエルフだからだろうか?


 何はともあれ、目的のものを採取したい。自分はここに魔法薬の材料を採取しに来たのだから。薬学の知識など全くなかったのに薬草の特徴などを『知っている』。確か水辺に多く群生しているはずだ。


「本当にあったよ・・・」


 せっせと薬草を採取していく。ネグリジェが汚れないように気を付けないと。それにしても先ほどから視線が気になる。変態のではない、別の意思を持った者の視線。野生動物ではないことは森が教えてくれる。


 木が、草が、風が、自分にいろんなことを教えてくれる。ハイ・エルフという存在が自然に愛されているということを実感できる。


「出てきてはどうですか?」

「・・・あんたは精霊か何かか?」


 出てきたのは武骨な武器と鎧で身を固めた男だ。おそらくハンターだろう。偶然この場所で自分を見つけたようだ。変態はどこかに隠れている。


「精霊ではありませんが、ある意味正解かもしれませんね。私はエルフです」

「なぜこんなところに?」

「薬草を採取しにきました。要件はそれだけですか?」

「あぁ、この辺に住んでいるか?」

「それはお答えしかねます」

「そうか、邪魔をしたな。あんたが幽霊の類ではなくてよかったよ」


 そう言って去っていくハンター。人相は悪いが悪人間ではないのだろう。さて、さっさと戻って調合を始めよう。残りの材料を採取してまた空をかける。調合が終われば変態にまた仕事を頼まなければいけない。


「調合が終われば頼みたいことがあります。報酬は、行き帰りで胸を揉んだことです」

「ほにー」


 なんだか不満そうだが、タダで揉めるとは思わないでいほしい。


「さっきのハンターさん、何かのフラグっぽいですね」

「ほにほに」


 変態が空を飛ぶことに違和感を感じないことに気が付く。もはや何でもありではあるがちょっと毒されてきたような気がする。何よりこいつの扱いというか、認識が他の人と大幅にずれている気がする。もしかして自分は非常識なのではないだろうか?


 ここにきてようやく気が付くモードであった・・・。







 

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