第八話 妖刀村正
ちょっと長くしてしまいました。
銃が使えないと判明してから少し後、森の中を進んでいた。
銃が使えそうにならない事が判明したので、新しい武器が欲しい。
当然歩いている途中には魔物が襲ってくる。今は大抵アーサーか、フェンリルで倒しているが、強いのが何体か来たらこっちにも来て時間稼ぎくらいしなければならない。
やはり、相談するのは武器を取り出せるリョクがいいか。
「リョク。何か武器を取り出せるか?」
「そうですね、武器であれば正宗、千鳥や、戦車に核兵器などがありますよ」
顎に手を当てながら答えるリョク。緑の髪なのに違和感ないのが凄いな。
出てきたものが名刀か現代兵器なんですけど。核兵器なんて使ったらこっちまでやられそうだし。
差がすごい。
「あ。あとグングニルや、アーサーも使っているエクスカリバーもありますよ」
「へ?」
今、神話に出てくるのが出てきたぞ。
「どう致しました?やはり私如きが出せるのはお気に召しませんか?」
「いや、そうじゃなくて神話の物とか出せるの?」
「はい。出せますよ。」
え〜マジで?やっぱり?
「?言っておりませんでしたか?」
リョクは頭にハテナマークを浮かべて聞いてきた。
「聞いてない」
「はっ!それは、誠に申し訳ございません。主様にお伝えすることを忘れるなど、有ってはならない事。誠に申し訳ございません!!」
リョクはすぐに土下座をして謝罪を口にした。
誠に迷惑である。歩みが止まって進めないではないか。目的地があるわけでもないが。
「分かった。とりあえず歩け。歩みが止まっている」
「はい。畏まりました」
リョクは項垂れながらも了解の意を示し、歩き出した。
他の精霊達は険悪な者、考える者等いる。
アーサーとフェンリルはマイペースなのか魔物を狩っている様だ。
「リョク。アカリが呼べる者の武器などは手に入るんだな?」
「はい。その通りです」
返事をするリョクの声には明らかに元気がない。
「では、次の質問なんだが現実にある物も特殊な力が有る物が有るか?」
「え、えっと。調べてみましょう」
リョクは本を取り出して開く。調べているのだろうが、出てくるだけじゃ無いのかと思って見てしまう。見たいがリョクの場合(僕の)背が足りないし。
自分で考えるという事を言ってからだいぶ人間らしくなってきたな。今の所いい意味では無いが。
僕が頼んだのは、実際にあるものつまり三種の神器等が特別な(アーサーの持っている様な)効果を発揮できるかというものだ。
「主様。そういう物もある様です。殆どが神話などと関係無いと書いてありますが」
「書いてある?誰が?」
僕はこれを言ってから誰が書いたか思い当たった。何と無く嫌な奴が。
「もちろん創造主様です」
そしての予想は当たった。
「分かった。じゃあ、今から言う奴を召喚してくれ」
「畏まりました」
僕は息を吸っていう準備をする。
リョクは頭を軽く下げ聞き漏らさない様にしている。
僕はさっきから考え続けていた召喚するものを言う。
「妖刀村正を召喚してくれ」
聖剣術のスキルがあるために聖剣にしようかとも思ったが、何と無く妖刀にしてみた。
なぜかと聞かれれば、かっこいいからという答えになるか、何と無くであろう。でもかっこいいは厨二病かも知れない。中3なのに。
ついでに言えば僕の感はある程度良く当たる。
「畏まりました。妖刀ですが、大丈夫ですか?」
「ああ。早く召喚してくれ」
そう言って僕は急かす。
「畏まりました。では」
リョクが喚ぼうとした時点で、本は持っていた手から離れて宙に浮く。
それからリョクは声を出す。
『地の星の物品の書よ汝の力を使え』
『私が求めしは妖の刀』
『喚ばれよ。村正!!』
前の召喚と同じ様に光が出てそれが(今回はアーサー達ほど強くはなかったが)強く発光した。
発光した場所にあったのは紫色の鞘に入った一本の刀だった。
妖刀村正。本来村正はブランド名の様な感じであり、大量にある。その中には槍も含まれており、刀だけでは無い。
伝説としては正宗と一緒に川に突き刺すと流れてくる葉が全て村正の方に行き、なおかつ真っ二つに切れたそうだ。切れ味がいいという村正の話である。
そして、徳川家康は嫌いであったそうだ。何故なら、徳川家の多くや、家康の父も村正に殺されたからだ。
なんで鞘が紫なのかはわからないが。まあ、恐らく神の所為だろう。何故なら感だから!!
その時。ある所のある場所のある人がくしゃみをしたという。
閉話休題
リョクは刀を拾って跪き此方に向けて渡してくる。臣下が王に献上するかの様に。
僕はそれを取り、腰のベルトに差してみる。・・・・・直ぐに抜いて普通に手で持つ。
普通に持っている分には別に変わりは無い。対して重くも無いし。
僕は刀を抜く。
その瞬間鞘から抜けた刃から禍々しいものが出て僕を飲み込んだ。
次の瞬間僕は目を覚ましたのは変な空間だった。
周りは一面白く、地と天の違いさえ分からない。人は僕以外では無い。目の前に立つ少女がいる。短い黒髪の小1くらいの可愛らしい少女が。
「ようこそ」
少女が声をかけてくる。見た目から想像できる可愛らしい声で。
「君は誰?ここは何処?」
僕は聞く。
だが、帰ってきたのは少女の微笑みだけだった。
僕は記憶を探る。妖刀村正をリョクに頼んで、貰い。それを抜いたら、何かが出てきてそれに飲まれた。
ならばここはあの何かの中?村正から出てきたから、ここは村正の中?こんな世界だし、ありえないことでは無い。というか低そうな可能性が多すぎる。
仮にここが妖刀の中だと仮定する。では、あの子は何だ。あの少女は、何だ。
ここが妖刀の中なら、一番可能性が高いのは・・・。
「君は、村正?」
少女はさっきより嬉しそうに微笑み、こう言った。
「主様は、頭がいいなあ。冷静になるの、気がつくのが早い」
言った後直ぐに僕に近づいてきた。
「緊張も何もしないなんてつまんないなあ」
「緊張する理由が無いからね。君からは敵意も感じない」
自分で言っていておかしい気もする。敵意なんて普通感じないだろう。だが、ゴブリン達からは感じた。他の魔物達からも。何か感じた所から敵が出てきた何てこともあるくらいだ。僕はその感じた何かが敵意だと思った。殺気かも知れないが。
「私は、主様に従う事が第一に刷り込まれてるから敵対なんてしない。出来ない」
少女は僕にギリギリ届くくらい小さな声でそう言った。他に誰もいないため声の大きさなど意味は無いが。
「でも、主様の中に邪魔なものがある」
そう言い終わると直ぐに少女から禍々しいものが出てくる。さっき村正から出たのと同じものが。
それは、僕の中に入ってくる。
別に痛くなど無い。かゆくも無い。だが、僕の中の何かと戦っている感じがする。
その感じは直ぐになくなる。
「主様の中の聖剣術を私に染め上げた。その名は妖刀術。聖剣術より強い力。私しか使えない代わりに刀を使う全ての方法が習熟した様に使える」
少女は笑みを浮かべてそう喋る。その声は微妙に嬉しそうな感情が込められている様だ。微妙なため注意しないと感情が無い様にしか聞こえない。
「主様。私の用はこれで終わり。しっかりとした世界に送る。ここは精神世界。精神しか来れないため、体は少し眠っている状態。別にそんなに時間も経っていないから、大丈夫」
「わかった。次ここに来るためにはどうすればいい?」
「次?」
僕の言葉に少女は分からないとでもいう様な顔を浮かべる。
「また今度ここにきて、また話したいじゃないか」
僕が笑顔を浮かべながらそう言うと少女もまた、笑顔を見せる。
「あ、ついでだ。名前は何?」
「え?村正」
「あれ?それは名前なの?女の子っぽい名前があると思ったんだけど」
僕のその言葉に少女は困った顔になった。悲しそうな顔でもある。
「じゃあ、妖刀のヨウコで」
「うん」
僕が名前をつけてあげると、さっきまでの悲しそうな顔が嘘の様に笑顔になった。
それを見て、僕も笑顔になった。
「じゃあね」
「名前ありがとう。主様。また来てね」
「もちろん。またねヨウコ」
その時のヨウコの声と顔は嬉しそうであった。
目が覚めたのは、森の中だった。
村正を抜いた時のまま、持っていた。
その時の強くなった様な感じで、何にでも勝てそうだと思った。
なので、アーサー達を護衛に、魔物を探しに出かけた。