第六話 戦闘?
今日は短めです。
マジシャンの魔術から出現したゴブリンは12体。今までいたのと合わせて15体になる。
鑑定したところ全てが《醜悪な妖精戦士》となっていた。
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【醜悪な妖精戦士】
ゴブリン達の中で一番多いジョブと言われる戦士のゴブリン。
ファイターの中にも種類がおり、剣使い、槍使い、盾使いなどがいる。
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鑑定で出た通り剣を持つものや、槍、盾を持つものもいる。何故か何も持たないものもいるが。
数が多くなったからこちらにもおそらく来るだろう。
何か武器が欲しい。リョクの力を使うか。
「リョク。銃を出せ。初心者にも使えるものがあればなおいい」
と、言いつつ、銃は初心者には無理だろうと思っている。
ここには教官のような人もいないし。
「畏まりました」
リョクはそういうと少し距離をとったようだった。
だがそれを気にしている暇は僕には無い。
今、アーサーとフェンリルが敵とぶつかるからだ。
ゴブリン達は怯えているのが多い。アーサー達の方が強いのだろう。だが、逃げ出すものはいない。数はもちろんあるだろう。だが、それ以上に信頼があるように、みんなが勝とうと思っているようなのだ。
僕が思っているゴブリンとは違う。ずる賢くて我先に逃げそうなゴブリンとは違う。だから、このゴブリンを強そうだと思ったのだろう。
そのゴブリン達とアーサー達の戦闘が今、始まる。
先に動いたのはゴブリン。
数を生かすために強いと思ったアーサーに全員で向かっていく。横からフェンリルに殺られるということも考えただろう。だが、二体一緒に相手をしたら押し切られる。そう思ったのだろう。だったら一体を倒してゆっくりもう一体を相手しようと、そう考えたのだろう。だから、アーサーに向かって行ったのだろう。マジシャンも魔法を唱えて火球を生み出す。
だが、少しあと僕とゴブリンは知る。
ゴブリン達の作戦は無駄であることを。どうあがいても勝てなかったことを。
ゴブリンが向かってきた次の瞬間、アーサーは剣を抜いた。
それは綺麗だった。そして僕には遅く見えた。実際は速かったのだろう。何故なら、周りの時が止まっているかのようにゆっくりだったのだから。
何故、遅く見えたかはわからない。綺麗だったからか?アーサーの力なのか?あとからはそんな考えが脳裏を駆け巡る。
だが、その時はただ見惚れていた。
アーサーは剣を抜いたら右から左へ振り抜けるように構え唱えた。
『聖剣術・一薙』
そう言うとゴブリン達に向かって振り抜いた。
その一振りは突風のように激しい風を起こした。
ゴブリン達には切れ目が入り、光が漏れていた。少し離れた場所のマジシャンとその魔法も同じような感じだった。
次の瞬間。ゴブリン達は綺麗な光の花火を見せて消滅した。
それを見た僕は緊張が切れたせいか、急にからだが軽くなり、地面に倒れた。
アーサーは剣を振り払った格好を戻し、剣を鞘にしまった。
フェンリルはアーサーの話しかけている。
「貴方のせいで私の活躍を主人様に見せられなかったではありませんか。ああ、初めに貴方を置いて倒しに行けばよかった」
「済まぬの。稀有な狼よ」
「その呼び方はやめて下さい。フェンリルと呼びなさい稀有人」
「ぬ。すまない。そう呼ばせてもらうから、アーサーと呼んではくれぬか?フェンリル」
「良いでしょう。アーサー」
といった風に互いに名前で呼び合うようになった。
フェンリルは口調が丁寧だから分かりづらいかもしれないが、男だ。声もそこそこ低い。
「あの、主様」
「ん?なんだリョク?」
「召喚したのですが・・・・・」
「あ・・・・・・」
リョクが召喚していた銃のこと忘れていた。
召喚してくれた銃はリボルバーのような形をしている。
「私は銃をほとんど知らないため適当に選んでしまいましたが、よろしかったでしょうか?」
「まあ、僕にもわからないしいいよ」
リョクにそう言った後銃を持って歩き出す。
銃を撃って見るのだ。もちろん撃った事など無い。でも、イメージで何と無くこうしたらいいような感じで撃とうと思う。暴発でもしたらその時はその時さ。
だが、ある事に気が付いた。
的が無い。
周りは一面溶岩が固まった物しかない。下を向けたら足に当たりそうで怖いし、人に向けるなんて言語道断。
と言うわけで、山の方に歩くか。ま、ここも山だと思うけど。
僕は山の方に行こうとアーサーや精霊達に伝えた。
「「「「「「「主様(主)(主人様)の仰せのままに」」」」」」」
と言われた為、全員の考える事を教えなければいけないようだな。と、目的の一つを再確認した。
あと、腹も減ったな。もう日が高いしなあ。
太陽は南の方向にある為お昼頃と想定された。召喚されたのが一時間目だから、三時間ほどか。濃い三時間だこと。
と、そんな老人くさいことを考えながら、リョクに弁当を要求したり、普段どうすればいいか話したりしていたら、景色が変わった。
「で、何であの溶岩が冷えた場所から、どうすればこんなに木があるところにくるんだーーーーーーー!!!!」
と、僕は叫んだ。
たった三時間ちょいで5、6話っていうのもすごい気が。