第五話 最初の召喚
《醜悪な妖精》とは、ファンタジーで定番のモンスターであり、いわゆる雑魚が多い。
その姿は緑の肌で、背の低い醜悪な外見の人型生物と言われる。
僕の目の前にいるのは、緑色の肌で、醜悪な外見に背の低い生物。それは変わりない。
だが、雑魚という感じはせず筋肉隆々が二体、ローブを着た魔術師風が一体に見える。
どいつも強そうで、勝てるか?って思う。
とりあえず鑑定をする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【醜悪な妖精の筆頭戦士】
《醜悪な妖精》の集落にいた才能ある者が修行してなれる存在である。
こいつが一匹いるだけで軍の戦力が二倍に膨れ上がると言われる。
ほとんど伝説の存在とされるほど珍しい。
単体の階級は上位。だが、いれば軍がいることがほとんどであり、軍で都市級、下手すると国家級にまで跳ね上がる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【登りあがる醜悪な妖精】
崖や山、壁などを登りあがる事を生きがいとする《醜悪な妖精》
偶に生まれるが、さらなる崖を求めて出奔することが多く、はぐれとして見つかり狩られる。
階級は中級。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【醜悪な妖精の筆頭魔術師】
《醜悪な妖精》という種の限界に近い程に魔術を鍛えた者。
赤、青、黄、紫、緑、橙魔術と、ありとあらゆる魔術を使う。特に橙の一個隊を転移させるのには注意。
この一体が軍に協力して攻めると軍隊に赤魔法をかけるので、戦力が三倍になると言われている。
そうなると階級が、都市級か、国家級になるため、注意。単体の階級は上級。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と、出てきた。残念ながらステータスが見えない。
魔物はステータスが無いのかな?
というか、赤魔術とか、都市級とか、何?
ちなみにファイターは剣をクライマーは木槌(ただし小さい)をマジシャンは杖を持っている。
さて、どうしよう。
精霊にどうにかしてもらわなければ。超他力本願。
と、行きたいところだが。
今気づいた。
ステータスを見たり、戦闘で何ができるかは言ってなかった。
なんか召喚してもらうしか無いか。
精霊達はこちらを心配しているようだが、なぜか動かない。戦えるのか?
ちなみに《醜悪な妖精》達は警戒しているのか、構えたまま動かない。
「全員!!戦闘できるか!?」
「「「「「無理です!!」」」」」
即答であった。速いよ。
なんで動かないんだよ。
《醜悪な妖精》達は言語が分からないのか威嚇されたと思ったようだ。
「何故動かないの?」
「「「「「命令が無いからです」」」」」
と、返ってきた。なんでいちいちハモるんだよ。
命令が無いから動かないって、メンドクセー。
その改善はまた今度にするか。
「アカリ、クロミ、何か召喚出来るか?」
「何かとは何でしょう?主様」
アカリが答えた。
そこまでか。
思考を放棄している気がするのはなぜだ。
「戦闘用のやつだ。特に条件は無い。勝手に選べ」
「「畏まりました!!」」
二人が答え合わさり、本が勝手に捲れる。
『神々と英雄の書よ汝の力を使え』
『神外の書よ汝の力を使え』
二つの声が重なっているのに全く互いの声を聞きにくくならない。
そんな変ではあるが、綺麗な声が続く。
『私が求めしは力あり騎士王』
『私が求めしは力あり神狼』
綺麗な声は続く。
声のせいか、書のせいか空気が震え。
《醜悪な妖精》達は気圧されたかのようにさっきとは違う体制で動かない。
『喚ばれよ。アーサー!!』
『喚ばれよ。フェンリル!!』
その声が響き、光が生まれる。
書から生まれた光は浮かび、少しずつ降りてゆく。
やがて降りたった時。光は強くなって、そこに人と狼が現れた。
「我を喚ぶとは、主のために尽くそう」
一人は青年。光から出た場でこちらに跪く。
金髪の青年であり、騎士の鎧に派手なマントを纏った者。腰には金の剣を持ち、綺麗な仕草で跪いた。
その名はアーサー・ペンドラゴン。実在もしていたようだがアーサー王物語でよく知られており、物語は創作がほとんどである。聖剣エクスカリバーを使う魔法的な人物として書かれていた。
「私が喚ばれるとは、主人様は大変優秀な勘をお持ちのようですね。このフェンリルは、しっかりと尽くさせていただきます」
もう一匹は言葉を解する狼。お座りしているような感じで頭を下げる。
その狼は巨大で、黒い毛に鋭い牙がある大きな口は開けたら天と地に届きそうだ。
と、流石に天と地に届かないが、僕ぐらいなら丸呑みできそうなくらい大きい。
その名はフェンリル。北欧神話のロキの息子で巨大な狼。世界の終焉である《神々の黄昏》では、オーディンを喰らいオーディンの息子に殺された者である。
「何をすれば良いでしょうか?主人様」
フェンリルが代表して聞いてくる。
精霊達やアーサーもこちらに視線を向けてくる。
《醜悪な妖精》達はいきなり現れたアーサー達に驚いているのか、気圧されているのか分からないが、どうすればいいかわかっていないようにも思える。
とりあえず、戦闘用のやつって頼んだから戦えるだろう。
「アーサー。フェンリル。敵を殺せ」
「「承知!!」」
そんな返事を二人?はしながら《醜悪な妖精》達の方に向かって行った。歩いて。
余裕なのか?あんな強そうな《醜悪な妖精》達に?さっさと行って欲しいのだけれど。
《醜悪な妖精》達のいる所は50メートルは離れていた。気圧されて後ろに下がったようだ。
向こうは敵意を放つ二つの敵が来て、戦う方を選んだようだ。
とりあえず、どうなるかわからないから精霊達にもこっちに来てもらうか。盾にもなるし。
「精霊達は僕の近くに来い」
「「「「「はい」」」」」
そう答え全員が一斉にこちらに走ってくる。
二人?二体?はもう直ぐで《醜悪な妖精》のところに着く。
向こうはファイターが前に立ち、マジシャンが何かを話しながら(読唇術は無いので読めない)クライマーに守られているようだ。
因みにアーサーとフェンリルは歩いてる途中でこんな会話をしていた。
「人語を解する狼など、稀有な者であるな」
「そうですか?その腰につけている物を持っている方が稀有な気がしますけどね」
「ハッハッハ。違い無い。だがどんな獣であろうと」
「いくら稀有な者であろうと」
「「主(主人様)の命を受けた者は共にある!!」」
と、いう会話をしていた。
忠誠心怖い。
ていうか、精霊も召喚された者もどんだけ忠誠誓ってんの。凄い刷り込まれている気がする。
二体?が向かっていけば、マジシャンの近くに橙の円の中に文字や模様が描かれた物が出てきた。魔法陣?
そして、その魔法陣のような物から、大量の《醜悪な妖精》が出てきた。
戦闘に入らなかった。
今回やっと出てきた本からの召喚された者。
アーサー王とフェンリル。
どちらも聞いたことぐらいはあるでしょう。
フェンリルは兄弟がいますね。ヘルとヨルムンガンド。どちらも出したいと思っております。
アーサー王以外の円卓の騎士は出す予定は無いですねー。
できれば感想が欲しいです。
誤字脱字などもあれば教えてください。
神とかも知っていたら教えて欲しいです。