1話
静かな山中に1つの魔方陣が描かれていた。周りは豊かな自然の中それは違和感なく存在しており、その光景をみたものは目を奪われるだろう。やがて魔方陣の光が強くなり、そこに一人の男が現れた。
「無事に成功したか、わりと力を使ってしまったな。」
白の髪に黒の衣類を纏った男。相対する2つの色を見事に調和させる男は何処か不思議な雰囲気を醸し出している。
いやぁ~、まいったまいった。まさかあんなに準備に手間取るとは思わなかった。しかしこの世界は前にいた俺の世界と姿は似てるが少し違うみたいだな。俺の力がどこまで使えるか分からないが用心に越したことはない、まずは近くの街で情報を収集してからどう動くか考えるか。
考えを纏めながらふもとを目指し降りていく。暫くすると山小屋が見えてきた。
おっ、彼処でなにか聞けるかもしれん。
「すまない、誰かいるか?」
返事がない、ただ家の中に間違えなく気配はする。さて、どうしたものか。俺としては情報が欲しいため少し話がしたい。しかし無理矢理入るわけにも行かない。諦めて別を探せば良いかもしれないがもう日も暮れはじめ、前の世界ならいざ知らず、勝手が分からないこの世界では好んで夜に歩き回ろうと思わない。
「あ、あの~、この家には誰も居ませんよ」
どうするか悩んでいると中から声がした。しかし言っていることが矛盾している。
「いや、君が居るじゃないか」
ハッ!シマッタ!!という声と共に中でバタバタする物音が聞こえる
「ほ、ホントにいないんです!私はただの声です!貴方の心の声です!!」
どうやら意地でも貫き通すみたいだ。
「わかった、心の声よ。いま私は困っている、どうか助けて貰えないか?」
相手に乗りながらも自分の意見を言う。こういう時は否定が一番ダメだと思うからな。
「お困りですか!?それは大変です!!どうぞ中へ!!」
ガチャという音と共にドアが開いた。幾らなんでも単純すぎないか?呆れながらも罠の可能性を疑い慎重に家の中へ入る。
「こんばんは!こんな暗いなか大変でしたね!!とこか怪我はされてませんか!?お腹空いてませんか!?体調は悪くないですか!?」
中に入ると早口で高速に近付いてくる物体がいた。よく見ると金髪で年端もいかないかどうかの女の子だ。
「ああ、大丈夫だ。だから一旦落ち着いてくれ。」
身長は俺の半分くらいで小さな帽子を頭に乗せており、フリフリのスカートを着た女の子はビクッとしながら立ち止まった。驚かせるつもりは無かったんだが…
「ご、ごめんなさい!つい興奮してしまって…あ、私の名前はミレディアです!この山で薬草や食べ物を採って生活をしています!!」
とびきりの笑顔でされた自己紹介はとても元気で此方までもが元気になる。だからこちらも思い切りの笑顔で応えよう。
「自己紹介をありがとう。俺の名前はレイン、神様だ。」
初めてで慣れていませんが、頑張りたいと思います。