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創作夢子は夢を見る

ケツ叩きとして思いついたものを書いて投稿してみました。

因みに私は「ノートに落書きばっかしてるよな」とバレて部活の顧問に怒られた事があります、バレないように落書きしましょう。

空を飛ぶ赤い竜。

雨に反射してキラキラ輝く森、白い帆船が波を割って進む海。

剣と魔法が交差する世界。道なき道を進み、自分を信じて真っ直ぐ進んでいく主人公。

ノートの上には、夢がある。

ノートの上では、自分はなんでもできる。


ーあぁ、中ボスは貧乳にしよう

「……おい」

ー美人さんが良いなぁ、貧乳の美人さん……

「本村、プリントに落書きとは良い度胸してるじゃないか」


声がしたと同時に机に影が移り、それが目に入ってきて反射的に筆箱で絵と設定を隠すが、怒ったような呆れたようなどっち付かずの現代文教師の顔が見えた。

回りを見れば、自分に視線が集中しているのもわかる。


「別に俺は構わないんだよ、テストさえ出来るなら。けどノートに描くのはやめろ、消しゴムで念入りに消してもしばらくすると跡が…」

「やめてください!!!」

「蛍光灯の真下だとよく見えて…」

「先生もう勘弁して!!!」


はいはい、と教壇に戻る教師を半ば涙目になりながら見送る。

それからいずれ消してしまうであろう自分の絵を見る。


ー…別に、消しても覚えてるから書けるようになるし

ー……軍人にしようか、教団にしようか

「ここまでの内容ちゃんと書いとけよ、ノート提出してもらうから」

「!」


その言葉に、脳内では金髪美少女のその絵と設定を慌てて消して文字を書くスペースを確保した。





本村ちさと、高校二年生、部活は帰宅部、バイトはしていない。

友人からのあだ名は、「創作夢子」である。





カラカラ、友人と並んで校門まで自転車を押して歩くちさと。

夕日は雲の向こうに隠れてしまい、良い天気とは全く言えない。


「ちさとはさー、何?小説家にでもなりたいの?」

「そんなことないよ…書いてて楽しいって言うか、ストレス発散というか…」

「ちさとが好きなら良いけどさぁ、ずっとそれが出来るって訳でもないでしょ?」


友人の言葉にちさとが小さく呻いていれば、校門を出てしまう。

それを確認して友人はさっさと自転車にまたがり、ちさとを見た。


「うん、家族の人にデスノート見られないように頑張れ!」

「それ見られた私が死ぬって意味のデスノート!?」

「それしかねぇ!」


他の生徒に紛れて帰っていった友人の言葉に唖然としつつも自分も自転車に乗り、ため息を吐く。

確かに自分が小説を書く用のノートは黒いリングノートだ、だからといってデスノートはない。確かに見られたら死ぬ、自分が。


ー…部下は四人かな

ー獣人入れたい、後は…服がモデルみたいでお洒落な子とか…


自転車を漕いでいるだけで、想像が膨らんでは輝いていく。

泡のように浮かんでは弾けて頭の中で動いたり話したり、そんな事を考えるのがとても好きだ。

小説で食べていきたいとは思わない、趣味を仕事にするべきではないと言うしそれほど文体が整ってるとも言えない。

好きだから、考えられるのだ。


「…ただいま」

「…………」

「…………」


母は、テレビをジッと見つめていてこちらを見ない。

つい先日、自身の進路について言い合いになって以降会話を交わしていない。

そのまま階段を登り、自分の部屋に入りベッドの上に鞄を少し乱暴に放り投げてから椅子に座り、机の上に紙を置く。


ー獣人は不良みたいな感じにして…

ー……モデルの服ってなんだろう、ググろう

「ただいまー」

「あれ、今日は早いな…」


まだ見た目と軽い設定しか考えてない。

父が帰ってきたということは夕飯の準備で駆り出される筈だ。例え喧嘩していて一方的に口を利かれていなくても、意思疏通ができないのは面倒だが日常的にやることはやらされるのだ。

少しそれにストレスを感じつつあるが、机の上の電気を消して制服を脱ぎ、部屋着に着替えて部屋から出る。

そういえば、食事シーンを書いたことは殆どなかった気がする。


ー……流石にご飯の前に考えることじゃないなぁ

ー早く準備して食べて、引きこもろう。


階段を一段踏んでーーー足が濡れたと思ったと同時に視界が上へ向いた。

転んだ、というか何で濡れてたの。と頭の中で考えている内に体は回転しながら階段を落ちていく。

そして最後には床に頭を強く打ち付けた。


ーあ、やばいこれは痛い

ー……ノート、証拠隠滅……無理か……馬鹿か私……


父親の焦ったような声をうるさいと思いながら、ちさとは目を閉じた。








チュンチュン、小鳥の声で目を覚ます。

朝日が目に染みる、どうやら気絶した後そのまま朝を迎えてしまっていたらしい。

そんな自分に情けないと思いつつ体を起こし、自分の胸を見て固まった。


ー……ん?

ーあれ、バストが大きくなってるような…ん?


自分の胸を触り、そこから自分の手がいつもより白いことに気付く。

そこから更にベッドが安いものではなく少し高そうな素材で、しかも部屋の内装も少し綺麗なことに気付く。

そして、視界に入ってきた自分の髪色が赤色になっていることに最後に気付いて、そこで我に返る。

ベッドから飛び降りるように出て窓に駆け寄り、そこに写る自分の姿を見て…唖然とした。


「……うそ」


服がモデルみたいでお洒落な、中ボス直々の部下。

髪の毛は赤くて肩まであって目は茶色、支援魔法と結界術に長けた最近入った人間。

名前は、まだ決めていない。

そんな自分が作ったキャラの姿を、作った自分がしていた。


ー……あぁ、これはあれか、夢だ

ー可愛いを目指して作ったからな、うん、夢だぜった

「オラァ!!起きろ新人!!!」

「起きてます!!!!」


扉が蹴り破られ、壁に激突して床に転がる。

入ってきたのは黒いジャケットを着た、犬耳とフカフカの尻尾を生やした柄の悪そうな青年。

こちらを見て、嫌そうな顔をしながら歩み寄ってくる。


「おせぇよボケ!てめぇ拾われた分際でよぉ…」

「ご、ごめん……なさい……」

「ほぉん?んじゃあ「わざわざ起こしに来てくださってありがとうございますごめんなさい」って言ってみろ」


何だこいつ殴ってやろうか。

とは思ったが、いくらこれが夢でもそんな事を言ったら殺されるかもしれない……それは嫌だ。


「わ、わざわざ起こしに来てくださいってありがとうございました!!寝坊してごめんなさい!!」

「時間になるまでに来いよ、てめぇが来なきゃはじまんねー」


そう言い、部屋から出ていく青年。

嗚呼、流石に怖いから早く起きてくれ、私。


簡単な人物紹介①


本村ちさと(17)

一人っ子、母親には趣味がバレていて喧嘩の時に「橋の下で段ボール机にして書いてろ!!」と怒られてキレた、けどヘタレ

成績は中の下、得意科目は覚えるだけなので現代社会

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