智恵の必死
8 智恵の叫び
飛び付かれ、ビックリしたのも束の間、智恵のマシンガン並の言葉が、梅太郎を襲った。
智恵「何故私が解らないの?今朝会ったばかりなのに。貴方に会って私、変な事ばかり起こっているのに。タイムスリップしてこの時代に来たのも、私がこんな姿になったのも、貴方が私の時代にタイムスリップして来たせいで、次元が歪んで、その歪みに私が落ちたからだよ。私を元の世界に返してよ。子供達に合わせてよウワァァァン。」
智恵は、泣き出してしまった。子供の姿をしているせいか、涙もろくなっていたのだ。智恵の立ち振る舞いを、一部始終見ていた門番は、呆気にとられて、動く事も出来なかった。
なかなか泣きやまない智恵を、梅太郎は抱き上げ、優しく呟いた。
梅太郎「御免。お嬢ちゃんに、合ったのは初めてだと思うが、こんな可愛いお嬢ちゃんに会ったら拙者忘れないで御座るよ。それにタイムスリップした覚えは無いで御座るが?」
智恵は梅太郎に、降ろせとばかりに、足をバタつかせた。
梅太郎「御免でござる。今降ろすから暴れないで頂きたい。」
そう言うと、梅太郎は智恵を降ろし、さとしに、何があったのかを尋ねた。
梅太郎「さとし殿、このお嬢ちゃんは何を言っているのか、解らないのだが、さとし殿は解るで御座るか?説明して下され。」
さとし「僕にも解らないんだ。聞いてみたら、次元の狭間に落ちてそのせいで智恵ちゃんの体も小さくなって、その原因が梅太郎だって、それで、梅太郎を探しているって聞いたのでここに連れて来たんだよ。梅太郎も解らないの?」
さとしは梅太郎に、本当に智恵を知らないか、聞いてみたが、梅太郎は本当に知らないのか、首を傾げている。そんな梅太郎を見ていた智恵は
智恵「本当に解らないの?今朝、貴方は突然私の目の前に現れて、その時の貴方は、私より物凄く小さくて、小人みたいな出で立ちで、姫様達を探しているとか言って、私の足をその刀で刺して、去っていったのよ。私は、夢でも見たのだと思い買い物に行こうと玄関を開けたその時、この世界に立っていたのよ。しかもこんな姿でね。私の本当の姿は、この姿ではなく本当の姿は…。」
智恵は、話す事も出来なくなる位涙が溢れ
言葉が、出なくなっていた。
梅太郎達は、そんな智恵をただ黙って見ている事しか出来なかった。