ピエロの微笑み
6 タイムスリップ?
さとし「着いた。ここだよ。梅太郎さんが勤めている、お城だよ。」
連れて来られたのは、家の玄関の扉を開けた時に、目に映ったあのお城だった。
智恵「此処は、初めてこの世界に来た時に見た、風景だよ。間違いないよ。このお城見憶えあるもん。」
さとし「え?智恵ちゃん此処来たんだ。此処は、非現実国の幻城だよ。綺麗なお城でしょう。この国の自慢のお城なんだ。でも、今お城の姫様たちが居なくなって大変なんだ。」
智恵は、さとし君の話を聞いて梅太郎の言葉を思い出していた。
梅太郎「拙者は、非現実国から来た、才谷梅太郎で御座る。姫様達が居なくなって探している所で御座る。」
智恵「やっぱりそうだ。さとし君に此処が非現実国って聞いた時、梅太郎さんが言った事を思い出したの。梅太郎さん非現実国から来たって、それに姫様達が居なくなって言っていた。私、異次元にタイムスリップしちゃったんだ、どうしょう。」
そう言って智恵は、頭を抱えて、座り込んでしまった。
智恵の姿を見たさとしは、突然オドケて見せた。
さとし「元気を出して、大丈夫だよ。僕が付いているよ。だって僕ピエロだもん。さあ、笑って。」
さとしは、精一杯の微笑みを智恵に向けた。
智恵「有り難う。流石ピエロだけあって、笑わせるのが上手いね。もう、平気だよ。落ち込んでなんかいられない、早く梅太郎さんを見つけて、元の場所に戻らないとね。」
智恵は、さとしを見つめて微笑んだ。
さとし「良かった。元気を出してくれて。僕ピエロの仕事に、誇りを持ってるから、本当に嬉しいよ。さあ、梅太郎さんを探そう。次は、幻城に行ってみよう。」
さとしは、智恵に万弁の笑顔を見せて、手を差し出した。智恵はさとしの手を掴み、歩き出した。