白
『パパ、翔太達、見事に超能力を手にいれることが出来たよ!』
『うん、そのようだな』
『何回か練習すれば、もっと上手に、もっと大きな力が出せるはずさ』
『先ずは月の裏側だな。手強いぞ』
『うん。ボクたちの頼みを聞いてくれるといいけど』
『そうだな』
『そろそろ地球へ行ってくるよ。お腹もいっぱいになったし・・』
桃子ちゃんの家
「翔太、見ててよー・・」
駿のやつ、瞬間移動遊びに夢中だ。
そういう僕もサイコキネキスに夢中なんだけど。
「駿、絶対に他の人に見られたらダメだぞ。いきなり駿が目の前から消えたり、現れたりしたら、みんな腰を抜かしちゃうからな」
「うん、わかってるよ。ラッキーとならいいでしょ」
ラッキーも目がてんだ!
『お邪魔しまーす』
なんだ、アオがお邪魔しますだって。はじめて聞いたな。
「あっブルー、いらっしゃい」
『桃子ちゃんそれにみんな、どうだい超能力の方は、少しは上達した?』
「駿くん上手になったよ!」
『そうか、えらいぞ駿』
「アオ、これからどうすればいいんだ僕達は?」
『うん、その前に・・』
『超能力はこの四人が揃ってないと使えない。そして大事なのはピュアな心だ』
「うん、わかったわ」
『それともうひとつ大切な話だ。今はそれぞれが、それぞれの能力を使ってるけど、お互いの能力を共有することも出きるんだ」
「共有って、僕も瞬間移動が出来るってこと?」
『そう』
「うわー、それはすごいや!」
『ただし、そのひととシンパシーを感じ合うことが必要。心と心の共鳴だ!」
「なんか難しそうね」美咲お姉さんも顔をしかめている。
『お互いをリスペクトし、思いを一つにすれば出きるさ』
ちょっと練習すれば出来るようになる。だって、みんな仲良しなんだからさ・・。
「シンパシーかあ・・」
あれからいくら練習しても、瞬間移動もキズを治すことも、息を止めてることも僕には出来ない。本当に共有出来るのか、みんなの能力を・・。
駿も一生懸命ものを動かそうとするけど、ちっとも動かない。そろそろあきらめムードだ。
「ねー翔太、ちゃんと教えてよ・・」
「そんなこと言われてもなあ」
「何が足りないのかしらね?」
「シンパシー、ピュアな心、リスペクト。なんかもうワケわかんないな」珍しくなげやり気味の桃子ちゃん。
「なんなかこうコツみたいなものがあるんじゃないかな」
・・ん?アオが来る!
「今アオが来るから聞いてみよう・・」
「翔太、ブルーが来るの?」
「うん」
「翔太君わかるの?」と不思議そうな美咲お姉さん。
「予感がするんだ」
「それってテレパシーじゃない」
「テレパシーか。そう言えばピラミッドの光のなかで、駿の声が確かに聞こえた!」
「駿くんも聞こえたよ。翔太の声が・・」
「桃子ちゃん達はどう?」
「私達はそんな余裕はなかったな。ね、美咲お姉さん。ただ、ブルーの声はハッキリ聞こえたわ!」
『よっ、駿』
「あっ、ブルー・・翔太の言う通りだ!」
『そうだな』
「そうかわかったぞ!」
「わかったって、何がわかったの翔太君」
「桃子ちゃん言ったろう、テレパシーって・・」
『そうだ!よく気が付いたな翔太』
「テレパシーで心を通わせるのさ。それこそシンパシーなんだよ!」
テレパシーで心と心を通わせる。お互いを信頼しリスペクトする。それがシンパシー!
「よし駿、僕がお前に呼び掛ける。言葉じゃなくて心の声でだ。きっと通じるはず。あのときみたいにね」
「うん、わかった!」
「いくぞ駿」
「うん!」
そして僕は駿に呼び掛けた。心の言葉で・・。
「駿・・駿・・僕の声がわかるか・・」
同じだあの時と。五感に感じるものは何もない、静寂の世界。
「・・翔太・・聞こえるよ・・翔太」
「駿、僕も聞こえるぞ・・家の外へ瞬間移動だ。出来るか」
「うん・・いくよ!・・」
そして、駿と僕の体はその場から消えた!
「二人とも消えた!」
「消えたわ!」
「ワンワン!」
『やったな!翔太、駿』
そしてアオは言った。
『この四人のなかで、いちばんピュアな心の持ち主は駿だ。何か異論はあるかい』
「駿くんはまだ5才だから、私達よりずっと気持ちは純粋なはずよ」と桃子ちゃん。
「そうね!異論なし」
『翔太はどうだ?』
「どうって・・」結構生意気だぞ駿のやつ。
『じゃあ決まりだ。駿にはもうひとつ特別な能力をあげることにする』
「何をだ?アオ」
『透視能力さ!』
「透視能力?」
『そう、これは心が純粋な人間じゃあないとダメ。特に翔太みたいな人間が、この能力を持ったら何に利用するかわからないからな・・』
「ん?どういう意味だよアオ」
『・・のぞきとかさ!?』
「そんなことするか!」
でも、共有出来るんだよな、シンパシーで・・うっしし・・。
『こら翔太、何考えてるんだ』
「えっ!」
『駿、人差し指を出して』
「うん」
『じゃあいくよ』
駿とアオは、そっと指を合わせた。まるでET。
『よし終わった。どうだ駿、何か見えるか?』
「・・・」
あれ?なんか駿の様子がおかしいな。桃子ちゃんと美咲お姉さんの方をずっと見てるぞ・・。
『駿、何が見えたんだ』
「・・オッパイ」
「えーっ!こらー駿くん」
ほっぺが真っ赤の美咲お姉さんと桃子ちゃん。
「ごめんなさい!」
『あっそうだ翔太』
「どうした?アオ」
『もう気づいてると思うけど、翔太には予知の能力もあるんだ』
「予知?」
『ほら、ボクがここに現れるのが予めわかるだろう』
「うん、予感みたいな・・」
『まだ力は弱いけど、それが予知能力さ!』
「なるほどね」
『変なことに使うなよ』
「使いません!」
『じゃあボクは、いったん帰るぞ』
「わかった」
「駿くん、今度私達のオッパイ見たら承知しないわよ!」
「はーい」駿の軽い返事。
美咲お姉さんと桃子ちゃんは、まだ顔が赤くなってるみたいだ。
「翔太君の予知能力って、どのくらい先のことがわかるのかしら」
「まだまだ大した力はないんだ」
「ねー翔太、予知ってなあに」
「未来のことがわかるってこと」
「未来?」
「明日のこととか、一週間先のこととか・・」
「ふーん、じゃあ・・明日の夜ご飯は何?」
「ん?・・そんなの駿が食べたいものを、ママにお願いすればいいじゃん」
「あっそうか。そうだ翔太、いいこと教えてあげようか」
「何だよ?いいことって」
「へへぇ・・桃子ちゃんのパンツの色」
駿は僕の耳元でそう言った。
「なにー・・!」
僕は思わず桃子ちゃんの顔を見てしまった。
「ん?何?翔太君」
「いや、別に」
「・・あやしい!!・・こら駿!」
「で、何色なんだ?」
「白」
僕は鼻血をこらえた・・。