表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/43

満月の夜


・・そして満月の夜・・


僕達は満月の夜広場に集まった。さすがに夜の風は冷たい。広場は月明かりのおかげか、暗闇の怖さを感じることはない。

「翔太、あれなあに?」駿が広場の中央を指差した。

「なんだ?」高さが2メートルほどのあやしい物体。

「何かしらね」

「行ってみましょう」

女の子はこういうとき勇気あるよな。

アオはまだ来てないのか?・・いや、いる!!

確かに感じる。アオの存在を。


「これって・・ピラミッド?」

『その通りさ、桃子ちゃん』

「ブルー」

「ねー、ブルー、あれで何するの?」

『駿、ピラミッドって知ってるかい』

「知らないけど」

『ピラミッドには神秘的な力があるんだ』

「・・ピラミッドパワー」

『その通りだ!美咲ちゃん』

「ピラミッドパワー?」

『翔太、ピラミッドの形は何だ?』

「形・・三角?」

『違う。正四角錐だ。この形じゃないとパワーは発揮されないんだ』

「なるほどね」


『始めるぞ!』

始めるって、いったい何をするっていうんだ?それにあの不思議なピラミッドは・・。


「やるしかないか!」

「うん」

緊張のなか、みんながうなずいた。

『まず四つの面の前にそれぞれが立ち、ピラミッドの方を向く。駿、ひとりでやれるか』

「やれるさ!」

『よし。次に両手の親指と人差し指で三角をつくり、胸の前におく』

緊張はピークだ!でもなぜだろう、気持ちはすごく落ち着いている・・。

ピラミッドの尖端は、まっすぐ空に向き、満月を捉えている。

いよいよか・・。


僕達はアオの言う通り、胸の前に三角をつくりピラミッドに向いている。

なんだろうこの不思議な感覚は。遠い遠い昔、僕は確かにこの場所にいた。風だ!

五感が感じている。あの時と同じ風だ。

初めてじゃない・・デジャブ!


やがて風がやんだ。いや違う。感じなくなったんだ。風の音も、匂いも、風の冷たさも・・。


『みんな、ボクの声が聞こえるかい』

アオだ!アオが僕達に話しかけている・・テレパシーで。

『時が来たよ!みんな。これから月のパワーをこのピラミッドが何千倍にも増幅する。それをみんなが受けとるんだ。チャンスは一度きりだよ。パワーを受けとるコツは、心を無にすることだ・・ゆっくりと目を閉じて』


・・光を感じる。瞼が真っ赤な炎に包まれているように。


「翔太・・翔太・・」

またアオが呼んでいるのか!?

「翔太・・翔太・・」

アオじゃない、駿だ!

「駿・・駿なのか・・」

駿からのテレパシーだ!


・・ん?ここはどこだ。

『気がついたかい翔太』

「アオ!」

僕達はあの広場で気を失っていた。どのくらいの時が過ぎたのか、ピラミッドはもう影も形もない。


「翔太君」

「美咲お姉さん」

「私達はいったい・・」

「気を失っていたみたいなんだ」

そして、桃子ちゃんと駿も目をさました。

『みんな気がついたな!』

「アオ、いったいどうなったんだ?」


『駿、こっちに来てごらん』

「ん、なあに?」

『駿、覚えてるかい。いつだったか瞬間移動を教えてって言ったのを』

「うん」

『あそこの広場の端に、大きな木が見えるだろう』

「うん、見えるよ」

『駿は左利きだから、左手の人差し指をこんな風におでこにあててごらん』

「こう?」

『そう。そしてあの遠くの木を、頭に思い浮かべてごらん。ゆっくり、ゆっくり、思い浮かべるんだ・・』


すると・・

「あっ!駿・・」

「駿くん!・・」

一瞬にして、駿の体が消えた!

どういうことだ?!まさか瞬間移動・・。


駿が消えた!僕達の目の前から、まさに一瞬の出来事。

「駿・・」

僕達は広場の端の大きな木まで駆け寄った。

「駿・・」

「駿くん・・」

「翔太~・・助けてー・・」

「駿、どこだー」

「ここだよー」頭上から駿声が・・。

そこには、大きな木に必死にしがみつく駿の姿が。

「何やってるんだ、そんなところで」

「知らないよー・・」

『ああ、ごめんごめん。瞬間移動はイメージしたそのものを対象にするんだ。木のそばをイメージしてって言えばよかったね』

「翔太、早く助けてよー」

「駿、ここまで瞬間移動出来るだろう」

「あっそうか・・」

駿は地面まで瞬間移動。

これでもう疑う余地はない。

僕達は超能力を手にいれたんだ!


「よーし、今度は僕の番だ!」

僕はさっきまでピラミッドがあった場所をイメージして、右手の人差し指をおでこにあてた・・。

瞬間移動だ!

・・「あれ!?」

全然出来ないよ。何でだよー。

『翔太、君は瞬間移動は出来ないよ』

「えっ?そうなの」

『その代わり違う能力が備わった。サイコキネキスだ!』

「サイコキネキス?」

『美咲ちゃんは癒しの力。桃子ちゃんは生命の力』

「具体的にはどんなことが出来るの?」

『順番に説明するね』


『翔太はいわば念力。そのものに手を触れなくても動かすことができる。例えば、駿を指差してごらん翔太』

「うん」僕は右手を前にだし、駿を指差した。

『指先に集中して、ゆっくり上に動かして』

僕は指先に全神経を集中。腕を上に・・。

「わあっ!駿君の体が・・」美咲お姉さんの驚き。

僕の腕の動きに合わせて、駿の体が宙に浮いた。これがサイコキネシス!僕の手に入れた超能力なのか。


『美咲ちゃんはケガや病気を治す癒しの力。駿、何回もごめんな。その膝こぞの絆創膏をはがしてみて』

「えっ、うん・・痛っ」

まだ血がにじんでいる。

『美咲ちゃん、駿のケガしてるところに右手をかざしてみて』

「はい、こんなふうに・・?」

『そう、そしてキズが治ることを祈るんだ』

美咲お姉さんは、駿の膝こぞに手をかざし、そして祈った。

『・・手をどけてごらん』

「あっ、キズが治ってる。すごい美咲お姉さん」

「美咲お姉さん、ありがとう」

まるで魔法だ。


『桃子ちゃんは人間の生きる力を増幅する力。桃子ちゃん、まずは静かに深呼吸して。それからそーっと息を止めて。何も考えずリラックスして・・』

桃子ちゃんは深呼吸のあと、静かに呼吸を止めた。

1分、2分、3分・・。

「桃子ちゃん・・!?」

「・・はあっ」やっと言葉を発した桃子ちゃん。

『今みたいに長い時間息を止めていられる。海の中でも、宇宙空間でさえ平気!身体は気圧の影響を受けないから』

僕達はこうして超能力者となった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ