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野獣の気配

「王様、実力行使とはどういうことなんだ?」

『ただの嫌がらせなのか、何かの警告なのか・・』

『タラスにボク達を、近づけたくないのかも』と龍。

「何か知られてはまずいことでもあるってこと?」と桃子ちゃん。

「まさか超最強ロボットが完成したとか!?」と美咲お姉さん。

「いや、まだ完成はしていないと思う。その佳境に差し掛かっていて、邪魔に入られたくない!・・」

『翔太の言うように佳境にあるとしたら、今やらないと手遅れになるぞ』

『完成を阻止する最後のチャンスかもしれない』

「王様、王様の意見は?」

『ワタシも同じ意見だ!』

「よし、決まった!」


・・タラス・・

僕達は、タラスのあのダークグレーの建物の上空にいた。

『ポセイドン、また機関銃部隊が現れたらさっきの要領でいくぞ』

『わかってる!』

『でも、今はいないみたいだ』とアオ。

『静かすぎる気もするが』

ゼウスの言う通り、不気味な静けさだ。


・・いや、来る!

「みんな上だ!」

いきなり頭上から、機関銃の玉が降ってきた。

上空を飛ぶ僕達の、さらに上からの攻撃だった。

僕達は一斉に建物の陰に身を隠した。

「今のどこから玉が飛んできたの?」と駿。

「あれを見てごらん」僕は上空を指差した。

「なんだあれは!?」

『カイトか・・』

上空には無数のカイトが飛び交っている。

カイトには男たちが乗り込んで、機関銃を構えている。

『あんな数で機関銃を向けられたら、身動きがとれないぞ』

「いったいどこから飛んできたのかしら」と桃子ちゃん。

『おそらくもっと高いところに、母体の飛行機が飛んでいるんだろう』

『うん、そこから叩かないとダメだな』

「カイト部隊は僕とアオで引き受ける。ポセイドンとゼウスは上空の飛行機を頼む」

『よし、任せておけ』

『ゼウス行くぞ!』


「アオ、僕があいつらを気絶させる。そしたら、瞬間移動で遠くに運んでくれ」

『わかった。気を付けろよ翔太』

「わかってるよ・・駿、僕を瞬間移動で、あいつらのど真ん中に送ってくれ!」

「うん、わかった」

僕は雷鳴の剣を握った。

「駿、ワン・ツー・スリー・・」


僕は雷鳴の剣を天に向け、四方に衝撃波を放った。

・・「アオ、頼む!」


地上に降りると、ゼウス達も戻ってきた。

『うまくいったようだな!』とゼウス。

「うん」


そして、僕達が建物の中に向かおうと歩き始めたときだった。

前方に男が姿を見せた。

今までとは違う!ただの男ではない。

グリーなのか?!


『いかがだったかな、機関銃の雨は?!』

「お前がグリーか」

『いかにも!』

ついに姿を見せたかグリーめ・・。


『ここから先に、行かせるわけにはいかない』

「なに!」

あっ!・・。

『気がついたみたいだな』

包囲されている。無数の敵に。

『翔太、周りの敵は人間ではないぞ!』

「うん」

『ウウー、ウウー・・』

「獣か」

『ああ、野獣の気配だ!』

『さっきのカイト部隊の比ではない。ものすごい数だ!・・1.000いや、10.000』

「翔太、さっきからウウー、ウウーって・・」怯える駿。

「翔太君」美咲お姉さんと桃子ちゃんも。


『退散するか?!』とアオ。

しかしもう遅い。グリーの片腕が垂直に挙がり、続いてゆっくりと僕達を指差した。獣たちへのGOの合図だ!

「美咲お姉さん、桃子ちゃん、バリアを!」

『翔太来るぞー!』ゼウスが叫んだ。

僕は雷鳴の剣を握った!

次々と襲いかかって来る獣たち。僕は雷鳴の剣を振り回し、懸命にこらえた。

しかし感覚がつかめない。ここは異次元の街なんだ。くそー・・。敵が右なのか左なのか、このままではまずい。

『翔太、飛び上がれ!』とポセイドンの声。

何とか上空にに逃れたが、既に体はキズだらけだ。

駿達のバリアも、破られるのは時間の問題だ!

『翔太、風雲の盾で獣たちを吹き飛ばせ!その間に脱出する』とゼウス。

「よし!」


僕は風雲の盾を、胸の前に構えた。

「いくぞー」

そして、思いきり腕を前に突きだした!

風雲の盾は嵐を呼び、たちまち獣たちを吹き飛ばした。

『よし、今だ!瞬間移動だ』


『なんだ今の嵐は!?』とグリー。


・・トロの城・・

『翔太君、体中傷だらけだわ!』心配してくれる舞ちゃん。可愛いなあー!

「わあ本当ね。すぐ治すわ」と美咲お姉さん。

「美咲お姉さん、このまま放っておいたら!」と桃子ちゃん。

「えっ・・?」

「あーあ、翔太。桃子ちゃん怒っちゃった!」と駿。

「なんで?」

『翔太は、女心がまるでわかってない!』とアオにも怒られた。

「翔太君、モテモテね!」

美咲お姉さんはそう言いながら、僕のキズを治してくれた。


「それにしても、あの獣たちはなんだったんだ」

『グリーに操られてるんだ』とポセイドン。

「これでは本当に、あの建物の中には入れないかも」

「そうね。敵の数もどんどん増えてくるわ」


『そうか、ついにグリーが姿を現したか』

「王様、グリーの弱点って何かないのか?子供の頃、苦手だったものとかさ」

『苦手なもの・・?そうだ、子供の頃はカメが大の苦手だった!生き物は好きなんだが、どういう訳かカメだけは、見るのも嫌だと逃げ回っていたよ』

・・「カメゾウ!」

僕達は、大声でそう叫んでいた!


僕達はカメゾウをトロの街に連れてきた。

『うわ!デカイ』と王様の感想。

『うわ!デカっ』と舞ちゃんの感想。

『・・・』龍は無言!

『はじめまして、カメゾウです』

『げっ、カメがしやべった!』と龍。

「龍君、カメゾウは言葉がわかるんだよ!ぼくの親友なんだ」自慢したがり屋の駿。

『そうなんだ・・』


『子供の頃、グリーがカメを苦手だったとしても、もういい大人だ。どれ程の効果があるものかと思ったが、このカメならいけそうだな!?』

『オジサン、ボクの名前はカメゾウだよ。メスなんだけどね』

『そ・う・な・の・か』まだ怖がってる王様。


「カメゾウ、任務はちゃんとわかってるな!?」と駿。

『だいたいわかったけどさ、そんなのうまくいくのかな?」

「んー・・運次第かな!?」

『おい駿、それってあまりにも無責任じゃないか』

「そんなことないよ!翔太に頼まれてるんだ。カメゾウをちゃんと、グリーのいる建物に瞬間移動させろって」

『そのあとは?』

「聞いてない!」

『それが無責任って言うんだよ!』

「じゃあ、ぼくが一緒に行ってあげようか」

『本当!駿』

「翔太に名案が浮かんだらしいからさ・・」


「駿、絶対にカメゾウの甲羅から出たらダメだぞ」

「わかってるよ、翔太」

『カメゾウ、頼むぞ』とやさしいゼウス。

「カメゾウ、失敗するなよ」思いやりの薄い翔太。


僕の考えたシナリオはこうだ。

グリー宛の荷物が建物に届く。もちろん配達係は僕達が変装する。荷物の大きな箱の中には、カメゾウと駿。ふたを開けたグリーは、見たことのないデカいカメに驚き腰を抜かす。そのすきに、僕達が建物の中に浸入する。完璧なシナリオだ!


そして作戦決行の日。

落ち着きのないカメゾウに、駿が言った。

「成功したらラッキーだよ!カメゾウ」

よりいっそう、不安の募るカメゾウだった。

『カメさん、頑張ってくださいね』と舞ちゃん。

『うん、頑張る』その気になるカメ。


配役は以下の通りだ。

トラックの運転手・・ゼウス

助手席・・桃子ちゃん、美咲お姉さん

トラックの先導・・ポセイドン、アオ

荷物の運搬・・翔太、龍

荷物・・カメゾウ、駿


そして僕達は、タラスに向けて出発した。

『翔太、途中の大きい川はどうやって渡るんだ?』とアオ。

「簡単さ!飛べばいいのさ」

『だったら最初から飛べば良かったじゃん』

「そんなことはないよ。何事もかたちが大事!やっぱりトラックは使わないと・・」

『そうなのか?』

「そうさ!基本さ」


そして無事、僕達は目的地に着いた。

「お届け物です!グリーさん」


カメゾウ、しっかり頼むぞ!



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