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グリー

「サターンはいるの、それともいないの」と駿。

『しかし、あの攻撃はまさしくサターンだ!』とポセイドン 。

・・まずい、囲まれた!

「ゼウス、ポセイドン、来るぞ!」

あっという間に、僕達は四方を囲まれてしまっていた。機関銃部隊だ!

「美咲お姉さん、桃子ちゃん、バリアを!」

『やつらは人間だ』とポセイドン。

『ショックを与えるんだ。気絶する程度のな』とゼウス。

「わかった」

そして僕達は、高く飛び上がりながら先手の攻撃をかけた。機関銃部隊は次々とアスファルトに倒れていった。

しかし、倒れた男達はすぐさま立ち上がり、機関銃をこちらに向けてきたのだ。

『こいつらは普通の人間ではないぞ』

『呼吸している限り、立ち上がり向かってくる。肉体の限界までコントロールされてるんだ』

「いったん退散しよう」

僕はそうゼウスとポセイドンに言った。


しかしその時だ。左側に敵を感じ雷鳴の剣を構えた。しかし、僕の無防備な右肩を機関銃の玉が貫いたのだ。

「うっ!」

『翔太!・・ゼウス、翔太がやられた』

『くそー、ゼウスは再び機関銃部隊に電撃波を放った』

「翔太!」

「翔太君」

『くそー、やったな!』アオは怒りがおさまらない。

「翔太に何をするんだー」駿も同じだ。

『ブルー、いったん退散だ』

そして、ゼウスは僕の体を抱え、駿達と王様のお城まで瞬間移動をした。


「翔太君!待ってて、今治してあげるからね」

血の吹き出る僕の肩に、美咲お姉さんは必死に両手をかざしてくれた。キズはみるみる回復し出血も止まった。しかし、意識は戻らない。

「このままゆっくり休めば、目をさますはずよ」

「翔太君・・」

「翔太・・」


僕はまた夢を見ていた。

天空の神ゼウス、僕はこの異次元の世界では闘えない。相手の気配を、どうしても反対の方に感じちゃうんだ。恐怖だよ。敵の機関銃の玉が飛んで来ても、避けることすら出来ない。僕はどう闘えばいいんだ!?教えてくれ、天空の神ゼウス・・。


「うっ・・」

「翔太君」

「美咲お姉さん、桃子ちゃん・・」

そうか、僕は機関銃で撃たれたんだ。

「翔太」

『翔太、気がついたか』

「・・みんな」


・・タラス・・

3次元の人間達がついに現れたか。予定より少し早いが、こちらから誘い出す手間が省けたというもの。

私は、サターンとあの3次元の人間達との闘いを、ここから眺めていた。そしてあの最強の剣の威力をまざまざと見せられた。あの剣を、あの雷鳴の剣を打ち砕くしかない!

私の計算では、雷鳴の剣をも跳ね返す、宇宙最強の兵器が出来る確信があった。私の超能力と科学力、そしてあのサターンの悪の力。この三者が融合すれば必ず・・。


私は科学者としてこの街の生活を潤し、超能力者として人々の為に尽くしてきた。しかし、この異次元の街にいる限り、私の能力を最大限発揮するには限界があった。

私は3次元の世界で、思う存分力を発揮してみたかった。人々に自分の能力を示したかった。しかし、あの吉永の爺はそれを許さなかった。

それでも私は、3次元の世界を諦めることは出来ず、いつしか力ずくでもという思いが大きくなっていったのだ。


そして私はサターンに近づくことを試みた。テレパシーで呼び掛けたのだ。地球人との闘いに破れ、浦島太郎の体を失った時のこと。私と手を組まないかと・・。

サターンは私の誘いに、まんまとのってきた。

最初サターンは、私の身体を支配しようとした。しかし、私はそれをさせなかった。

そこで私は、ひとつの提案をサターンに示した。それは、サターンのからだの細胞の提供だ。その細胞を培養しサターンの能力のみを取りだし、ロボットの頭脳にはめ込むことで、超最強ロボットが完成すると。


・・トロの城・・

『左右反対の異次元の街では、どうしたってこちらが不利だ』とゼウス。

『訓練して慣れるしかないのかな』

「慣れると言っても、右を右と意識するのは本能のようなものよ、そう簡単にはいかないと思うけど」

『3次元の世界に、うまく連れ出せればいいが』

「それにあのマインドコントロールだ!厄介なのは」

『ああ、相手の息の根を止めない限り襲いかかってくる。人間相手にそれが出来ないこちらの心理を、知ってのことだ。ある意味手強い敵だ!』


『翔太君、キズの具合はどう?』と優しい舞ちゃん。

「うん、もうぜんぜん平気さ!」

『良かった』

『翔太、ボクのお姉ちゃん、タイプなのか?』

「龍君、翔太は正直だから顔を見ればわかるよ」と駿。

『赤くなってる!』

「ね!」黙れガキども。


「王様、グリーってどんなやつなんだ?」

『優秀な科学者、そしてなぜか超能力を使える。あいつはワタシの友人の息子で、小さい頃からよく知ってるよ。年齢は舞より10才上で、よく可愛がってくれた。生き物とか植物が好きで、将来は科学者になるんだと。そして、ワタシが一番驚いたのは、もうほとんど息の絶えかけた昆虫を、あいつが手のひらにのせてやると、あっという間に活発に動き始めたことだ』

「超能力ね!」と桃子ちゃん。

『うん、それからも幾度か、その超能力を目にすることになるんだが、ある時、あいつの超能力で蘇った昆虫を思いきり手で握り潰したことがあった。なんて残酷なことをと、ワタシはその時のあいつの目を今も忘れていない。冷酷なとても冷たいあの瞳をな!』

「優しさと、冷酷な心と、両方を持っていると言うことか」

『そうだ』

「・・・」

『そしてあいつは、夢を叶え科学者となった。人々を助け、この街の為に大いに力を尽くしてくれた。そんなとき、あいつはワタシの所に来て、3次元の世界に出て自分の力を試してみたいと言ってきたのだ・・。もっと大きなところでやってみたい!あいつほどの能力があれば、そう思うのも当然のことだろう。しかし、ワタシはそれを許さなかった』

「どうして」と美咲お姉さん。

『冷酷な心の存在か!』とゼウス。

『うん。あいつなら3次元の世界でも必ず成功する確信はあった。だが、地位や名声を手にしたとき、きっと冷酷な心が顔を出す。ワタシはそれを恐れたんだ』


「今回のグリーの反抗も、そんなところに原因があったのかもね」と桃子ちゃん。

『その冷酷な心を、サターンが引き出したか!』とポセイドン。

「おそらく、そんなところだろう」

「そんなグリーがつくる超最強ロボット、なんか恐ろしいわ」と美咲お姉さん。


超最強ロボットは、どのくらい出来上がっているのか?計画の段階で阻止しないと、美咲お姉さんが言うように恐ろしいことになりそうだ。

それにサターンは確かにいた。あのレーザービームが何よりの証拠だ。グリーの科学力と超能力、そしてサターンの悪魔の力。その二人の能力が合わさったら、どんなことになるか想像すらつかない・・。


・・3次元・・

ん?何やってるんだ駿のやつ。

「駿、何やってるんだ?」

「あー翔太、鏡の世界で闘う練習だよ!」

立て掛けた大きな鏡の前で、駿は一生懸命だ。僕も練習しておこうかなあー・・。


・・月・・

『そうか、翔太はそうとう参ってるか』

『無理もないわ、鏡の世界での戦いでは』とセレーネ。

『何かいい知恵はないか?レッド』

『んー・・』

『超最強ロボットのことは、何か情報は?』とポセイドン。

『こちらには何も情報はない。それにサターンのこともさっぱりだ。ガイアも何もわからないらしい』


・・タラス・・

もう少しで完成だ!この超最強ロボットがあればもう怖いものはない。サターンの細胞から取り出した能力は、既に確認済だ。あとは私の超能力を徐々に覚えさせていけばいい。

雷鳴の剣の威力も、サターンの細胞から解析してある。この超最強ロボットのボディは、それを軽々と跳ね返すだろう。

そうして、3次元の者たちもこの私の科学者としての能力を、存分に思い知ることとなるのだ。


・・トロの城・・

『龍、翔太達はいつ戻るんだ?』

『今日中には、またここに来てくれるはずだけど』

『そうか。グリーのやつを早く止めないと!』

『そうだね。でも、翔太達もだいぶてこずってるからね。心配だよ』

『まずはタラスに捕らわれている若者達だな。彼らには何の罪もない』

『うん、翔太達も、彼らに危害は加えられないからね』


『パパ大変よ!表に大勢の男の人たちが』

『なんだと・・』

『どういうこと?お姉ちゃん』

『タラスに捕らわれた人たちよ。パパを出せって』

『マインドコントロールの中、逃げ出してきたとは思えん。実力行使に出るつもりだ』


異次元の世界に戻った僕たちはすぐに異変に気づいた。

「ん?なんだか慌ただしいぞ!」

『翔太、あいつらは・・』

「あっ、機関銃を持ってるわ」と桃子ちゃんの驚き。

「タラスの機関銃部隊か!」

「王様達は大丈夫かしら・・?!」

『ちょっと見てくるよ!』そう言ってアオは姿を消した。

「これは、ただ事ではないわ」


『みんな、屋上まで来てくれ!』アオからのテレパシーだ。

「よし、行こう」


「龍君!」

『あっ、駿!みんな・・』

『来てくれたか』

『急に男たちが集まってきて・・』怯える舞ちゃん。

「もう大丈夫!・・王様、これはいったい?」

『グリーがやらせてるのだろう。実力行使だ』

『とりあえず追い払おう!弱い電撃で気を失わせる。そのすきに、遠方まで瞬間移動させる』

『ちょっと気の毒だが、仕方ないな』

『よし、上空から行くぞゼウス』

『わかった』



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