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ワクチン

満月を眺めながらな、僕は色々思い出していた。

九十九里の海岸に雷が落ちて、アオが現れたんだ。トランプのようなカードに入って・・。

そこから始まったんだよな、この不思議な体験が!

アカ、ゼウス、セレーネそして雷鳴の剣。

乙姫、ポセイドン、太郎、カメゾウ、ガイアそして憎きサターン。色々な奴と出会ってきた・・。

そして今直面してあるのが、宇宙の危機!

なんとしても、この美しい宇宙、銀河、地球を守らねば!みんなと力を合わせて・・。


時間は正確に時を刻み、ワクチンが出来上がるまであと24時間を切った。ワクチンの開発は急がないといけない。しかし、サターンの動きが読めない今、時間が過ぎるのを少し拒みたい、そんな気さえしてしまう。


『駿、眠そうだね。ボクの背中で眠るかい』

「カメゾウ、ありがとう。じゃあ遠慮なく」

「あと24時間ね!」と美咲お姉さん。

「どうなっちゃうんだろう・・」と桃子ちゃん。

『ところで翔太、風雲の盾の方はどうなんだ?』

「うん、さっぱり・・」

『ガイアは、どういうつもりで翔太にあんなことを・・』


『風雲の盾は、雷鳴の剣のおかげで復活したのよね・・ねえレッド、元々雷鳴の剣と風雲の盾って、どんな関係にあったの』とセレーネは聞いた。

『天空の神ゼウスの祖父カエルスは、雷鳴の剣と風雲の盾の両方を操ったとされるんだ。つまり、もともとはひとりの者が持っていたんだな。剣と盾を』

『ガイアが言っていたのは、その資格が翔太にはある、そういうことかしら』と乙姫。

『おそらくそうだろう』

「と言われてもなあ・・」

「翔太、自信を持つんだ!」と太郎。

『そうだね。ガイアは決して嘘は言ってないはず』


ワクチンが出来るまであと24時間を切った。

ガイアはあることを考えていた。ここに居ながら外のものに意思を伝えるすべを!太郎は必ずそれに気づくはずだ!


カメゾウの背中で、駿はすっかり夢の中だ。

その時、ゼウスが言った。

『あそこの電波塔の赤い光、確かさっきまでは無かったぞ!』

敷地内のかなり高い電波塔のほぼ先端に、赤い光がついたり消えたりを繰り返している。

「決まった時間に点滅するんじゃないのか?」

『きっとそうだね』

「ん?」

『どうかしたか、太郎』とアカ。

「あれはもしかして・・モールス信号!」

『モールス信号だと』とポセイドンも乙姫も身を乗り出した。

『だとして、いったい誰が?』

「ガイアだ!」

「ガイアが!」

「僕達JAXA の人間は、モールス信号も習ってるんだよ。だからガイアがそれをやっても不思議はないさ」

『解読できるか、太郎』


『トン・ツー・トントン・ツー・・・』

モールス信号は、長短の光の間隔を組み合わせて、確かに僕達にメッセージを送っていた。


その赤色の点滅を、太郎は読んだ。

『21 じ バ リ ア を や ぶ れ』


「21時バリアを破れ。確かにガイアからのメッセージだ!」

「サターンの監視の中、ガイアはどうやってあれを?」

『ワクチンを作る作業の一部だとでも言ったのだろう。サターンもまさかそれがモールス信号だとは、つゆほども思わないだろうからな』

『21時と言えば、ワクチンが出来上がる頃よ』と乙姫。

『間違いなくガイアは、何かを仕掛けるつもりだ!』

『もうすぐ日付が変わる。翔太、なんとしても風雲の盾に輝きを呼んでくれ!』

「ああ、やってみる!」


僕は焦っていた。何度集中しても風雲の盾は反応してくれない。ダメだ、もう時間がない。

焦れば焦るほど集中力は欠け、マイナスへ、マイナスへと気持ちは向かってしまう。どうしたら・・。

『翔太、少し休みなさい。このまま続けても集中力は高まりません。心と体を休めるのも大切ですよ』とセレーネ。

「でも時間が・・」

『今のあなたは、自分がやらなけらばという気持ちが強すぎます。確かに、天空の神ゼウスの後継者であるあなたがやらなければいけない。だけどあなたの周りを見てごらんなさい。ここにいるのは、あなたを信じ、あなたと思いを同じにする者ばかりです。そのそれぞれの心をまとめ、ひとつにできるのは翔太、あなただけなのですよ』

「・・・」

『翔太・・』

「翔太君・・」

僕は忘れていた。たくさんの仲間がいることを。

「あーあ、よく寝た。あれ翔太、何で泣いてるの?誰かにいじめられた」駿のお目覚めだ。

「違うよ」


太郎は私の言葉を読み取って、翔太達に伝えてくれたはず。翔太が風雲の盾に輝きを与えたとき、この雷鳴の剣も輝くはず。それが合図だ!


・・そしてついにその時がきた。


ワクチン開発装置のcompleted の緑のランプが今、点灯したのだ!


僕は風雲の盾を握り、みんなの思いだけを残し、すべてを忘れ集中した!すると、あの時夢で聞いた言葉が甦ってきた!

『その者たちと力を合わせるのだ!そうすれば、雷鳴の剣は宇宙をも動かすだろう』

その時、左手に握る風雲の盾がついに輝いたのだ!


『あっ、雷鳴の剣が・・翔太ついにやったのね!』

『なに・・』サターンは慌てた。


僕は輝く風雲の盾を斜めに構え、それをバリアに向けて思いっきり投げた。盾はブーメランのように回転し、勢いよく飛んで行く。

「頼むぞー・・」


僕の左手から放たれた風雲の盾は、軽々とバリアを破り、大きな孤を描き手元に戻ってきた。

『やったぞー!』

「やったわー!」


サターンは一瞬、何が起こったのかわからなかった。ガイアはその隙をつき、できたワクチンを持ち出し、雷鳴の剣を握り表に駆け出した。

「あっ、ガイア!」

『翔太、やったわね!剣と盾を交換よ』

そう言うと、ガイアは雷鳴の剣を僕めがけて放ってきた。そして僕は、風雲の盾をガイアに向けて投げた。

するとサターンがガイアのうしろに姿を現した。


『みんなありがとう。それじゃ!』

「ガイア・・」

ガイアは姿を消した。瞬間移動だ!

『くそー』そう言って、サターンも姿を消した。


「いったいガイアはどこに向かったんだ」

『できたワクチンを試すはずだ』とアカ。

『ガイアが行くとしたら銀河系だ!銀河系の端だ』とゼウス。

『サターンもそれは承知しているはず』

「よし、僕達も行こう!銀河系の端に!ゼウス、ポセイドン、案内してくれ」

「カメゾウ、太郎さんと待っててよ」と駿。

『パパ行くよ!みんな一緒に瞬間移動だ』

アオの掛け声で、僕達は宇宙へ飛んだ。


・・銀河系の端・・

銀河系の端では、星達が次々と荒野に姿を変え、絶滅の危機にひんしていた。

『ガイア、何をするつもりだ』

『決まってるでしょ、ワクチンを荒れ果てた地に与えるのよ』

ガイアはワクチンの入った瓶の蓋を開けた。


「ガイア!」

『みんな!どうしてここが・・』

「ワクチンを試すつもりなんだろう」

『きっとうまくいくわ』

ガイアは瓶の中身をを宇宙に放り、風雲の盾で嵐を起こした。ワクチンは盾の起こした風にのって、荒れ果てた地に降り注いでいった。

しかし、その次の瞬間、誰も予想していなかったこが、みんなの目の前で起こったのだ!


荒れ地に降り注いでいったはずのワクチンが、急激にひとつの塊となり、鋭利な刃物と姿を変え、ガイアに襲い掛かっていったのだった。

咄嗟なことに、ガイアは受け身がとれていない。

「ガイア、逃げろ!」

サイコキネキスも間に合わない。やられる!

「ガイア・・」









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