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宇宙ウィルス

宇宙も生きている、僕達に生命があるように。人間はケガや病気になったとき、ある程度までは自身で治癒する能力がある。その人間をつくった宇宙にも、そういった力はあるはずだ。

僕達はいつでも生きたいと願う。きっと宇宙だって同じはずだ!

ゼウス、ポセイドン、セレーネ、ガイアと総動員で宇宙の異変を探っている。


僕達は、アオと共に地球に戻り、太郎とカメゾウも一緒に、夜の九十九里中央広場にいた。

「こんな風に星を眺めていると、この前読んだ銀河鉄道の夜を思い出すな」と太郎。

「私は織姫星と彦星の話かな」と桃子ちゃん。

「私はキラキラ星かな・・

♪きらきらひかる お空の星よ 瞬きしては、 みんなを見てる きらきらひかる お空の星よ」わっ、初めて聴いたな、美咲お姉さんの歌声!

「ぼくはウルトラマン」そうだったな駿。

「翔太君は?」と桃子ちゃん。

「僕は昔見た、たくさんの流れ星!わくわくしたなあ」

『こんなにキレイな星達、絶対に守らないと』とアオ。

『ボクも、星をみるのが大好きさ』とカメゾウ。


そんな時、アカから連絡が入った。

『ブルー、みんなと一緒にすぐ月に戻ってくれ!』


そして僕たちは月へ・・。

「アカ、何かわかったのか?」

『大変なことが起こっている!』深刻な表情のアカ。

『ワタシ達のいるこの銀河系の隣にある大マゼラン銀河、更に離れたアンドロメダ座銀河の生命体が、ものすごいスピードで死滅していってる』とゼウス。

「どういうこと?」

『理由はわからないの。何者かに攻撃されたのか、それとも急激な環境の変化なのか。とにかくどちらの銀河の生命体も、すでに3分の1が死滅してるわ!』青ざめて言うセレーネ。

『更に遠くの銀河は、まだ調査できてないけど、同じ規模の事が起こっていると考えた方がいいわね』とガイア。

『私たちの銀河系も同じことが起こると思った方がいいわ』


宇宙の果ての縮小は、加速度を増している。それにあちこちの銀河で、生命体が次々と死滅している。これも宇宙の暴走が招いているものなのか。

大量の宇宙線を浴び、不死身の体を得たワタシでも、宇宙が消滅してしまえばもともこもない。

それにしても、ガイアは美しかった。あの頃と少しも変わっていない。悪に支配されたワタシの心でも、彼女に対する想いだけは、持ち続けていた。

ガイアを、この手に取り戻したい。


『ひとつだけ思い当たることがあるんだ』

「何がだ、アカ」

『天空の神ゼウスに、以前聞いたことがある。この宇宙にとって最も恐ろしいこと!それは、宇宙ウイルスの発生だと!』

「宇宙ウイルスだって」

『宇宙ウイルス?!』ゼウス達も初耳のようだ。

『天空の神ゼウス自身も経験はなく、古くからの言い伝えだけが残っているのだと・・』

「それがゼウス達の話にあった、生命体の死滅の原因ってこと?」

『一度発生したら、それを食い止めることは誰にも出来ないと・・』

「でも、天空の神ゼウスでさえ、言い伝えとして聞いただけなんだろう。今回の事が、その宇宙ウイルスの仕業だと決めつけるのは 早すぎないか」

『翔太の言う通りなんだが・・』


『諸君、話は聞かせてもらったよ』

「サターン、現れたな」

『レッド、その宇宙ウイルスとやら本当なのか』

『まだわからん』

『はっきりしたら教えてもらおう』

『誰がお前なんかに・・』怒りを露に言うアオ。


『ガイア・・一緒に来てもらうよ』

『うっ・・』

それは一瞬のことだった。激しい爆発音と土煙の中、サターンと共にガイアの姿は消えていた!

「ガイア!」

『ガイア』

「くそー、サターンのやつ」

『サターンの狙いはいったいなんだ』

『風雲の盾なのか?』

「翔太、ガイアさん大丈夫かな」

「きっと助けるさ!」

「サターンめ!!」


『ガイア、やっと会えたね。お前のことは忘れたことがなかった』

『昔のことよ。私はあなたのことを何とも思っていない』

『だが、こうしてワタシのところへ来てくれたではないか』

『・・あなたは優しかったわ。でも心の奥底に悪がいた。天空の神ゼウスは、それを見抜いていたのよ』

『じゃあ言わせてもらうが、悪の心を持たないものなどいるのか ?誰だって自分がかわいい。だから自分の不幸より、他人の不幸を選ぶ』

『そんなこと・・』

『天空の神ゼウスでもそうではないか!ワタシの苦しみなど少しも考えない。違うかね』

『あなたこそ、自分のことしか考えていない。私にはそう思えるわ!』

『・・気の強さも、相変わらずだなガイア』


『ガイアを助けないと』

「アオ、テレパシーで呼び掛けてみたらどうだ」

『さっきから呼び掛けているんだけど、応答がない』

『サターンのやつが妨害してるのだろう』

「サターンの目的は、本当に風雲の盾なのかな?」

「そうなのよ。私もちょっと違うんじゃないかって。ガイアの前にサターンが現れたとき、なんか落ち着かないようなそぶりで」

桃子ちゃんと美咲お姉さんは、サターンの微妙な変化に気づいていた。

『そういえば、元気がなかったなガイアも・・』とアオ。

『・・昔の恋人同士よ!あのふたり』セレーネはそう打ち明けた。

『なんだとー!!』一番驚いたのはアカだ。

「ほらね当たった!女の勘よ」と桃子ちゃん。


「ところでガイアは、なぜ火星に住んでいたの?」

『火星から地球を眺めるのがすごく好きだって!言ってたことあったわ』

「じゃあ地球だね。絶対地球に行ったんだ!」本当かあ駿?!

『どうやら本当らしいぞ。今、乙姫から連絡があったんだ。ほんの一瞬だが、ガイアのテレパシーを地球上で感じたと!』とポセイドン。

「ね!翔太」勝ち誇る駿。

『よし、地球で乙姫と合流しよう』

『では早速向かうぞ』とはりきるアカに

『パパは月で留守番ね!』とアオは一言!


地球では、乙姫、太郎、カメゾウが僕たちを出迎えてくれた。

「宇宙の様子はどうなんだ」と太郎。

僕は、月に行ってからのことを説明した。


「宇宙ウイルスだって!」信じられないといった表情の太郎。

「まだ決まったわけではないんだ」

「そうだったね」

「それよりサターンなんだけど、地球ではどんな姿でいるのかしら?」

『地球人の身体を借りてるだろうな。太郎の時みたいに』

「じゃあ、外見ではわからないってことか」

「となると、ガイアを見つけるしかなさそうだな!」

「この地球上でひとりの人を見つけるなんて、そう簡単なことじゃないわね」と美咲お姉さん。

「世界の人口は約70億よ!」

「そんなにいるの!そのうち溢れちゃうよ・・」

「だから火星に居住の地を求めてるんだ」と太郎。


『乙姫、ガイアからのテレパシーは、ほんの一瞬だったって言ったな』

『そうよ、ほんの一瞬だけ』

『サターンの妨害を邪魔する何かが、その一瞬にあったってことか』

「サターンが使ってる妨害って、どんなもんなんだ?」

『テレパシーの本質は集中力だ。心に喜怒哀楽があってはダメ。つまり、ガイアの心を集中させないようにしてるんだよ』

「つまり、雑音だったり、極端に暑かったり寒かったりっするってこと?」と桃子ちゃん。

『うん、五感のどれかに、常に心を乱すようなマイナスの刺激がはたらいてる状態ってことさ』


「集中出来ない時かあ・・」

「私だったらやっぱり雑音かな。テスト勉強の時なんかのテレビの音とか話し声とか」と桃子ちゃん。

「ぼくは、おしっこを我慢してるとき」と駿。

「あとは風邪を引いてるとか、体調のすぐれないときかな」と太郎。

「僕は・・いや、いいや」

「桃子ちゃんのパンツの色がわかったときでしょ!」

だまれ駿。

「私は・・憧れの人を前にしたとき・・かな」

「・・浦島太郎!だよね」

「こらー!駿」顔が真っ赤な美咲お姉さん。


『一番考えられるのは雑音か!』とゼウス。

『その雑音を、一瞬かきけすような何かが近くで起こった』とポセイドン。

「雑音を消す雑音かあ ・・大きな音とか?」

「わかった!雷だ」と駿。

『うん。乙姫がガイアのテレパシーを感じた時間帯に、局所的に積乱雲が発生し、雷を伴った豪雨のあった場所。それがまさにここJAXAだ!』

ポセイドンの言う通り、地面がかなり雨で濡れている。


・・「確かにあの時刻、JAXA 敷地内の避雷針に、雷が落ちたそうだ」太郎が確認してくれた。

「ここがサターンの目的の場所?!」

「でもなんでJAXAに・・」

「JAXAが目的の場所だったとして、どちらがここに来ることを望んだのかな?」と美咲お姉さん。

『ガイアはとらわれの身だ。ガイアが望んだとは考えにくい。やはりサターンだろうな』

「でも、ガイアが望めばサターンはそれを叶えてあげようとするわ!きっと」と美咲お姉さん。

『どっちにしろ、何のためにJAXA に来たかだな』

「思い当たることない?太郎さん」

「ワクチンかな・・」















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