表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/43

ワン・ツー・スリー

『ご機嫌いかがかな諸君』

「サターン・・」

『どうやら宇宙の崩壊が進んでいるようだな』

「サターン、今度は何をたくらんでる?」

『何もたくらんではいないさ。こうして眺めているだけだ!宇宙が滅び行くのをな』

『なんだと』

『なぜ宇宙は、自らを消滅させようとしているかわかるかね。存在の意味を持てなくなったからだ。幾千億もの星を生み、そこに生命が誕生し進化する。ただそれだけのことに、もはや意味はないと』

『何を勝手なことを!このまま宇宙が消滅したら、お前も滅びるんだぞサターン』とレッドは激しい口調で言った。

『はたしてそうかな、私は不死身だ!まあいい、所詮時間が答えを教えてくれる』

そして、サターンは去っていった。


『宇宙が終わるからといって、ただそれを見ているだけにはいかない』

「その通りだゼウス』

「あの放射能の雲、なんとかならないかしらね」

「そういえば太郎さんが言ってた。ブラックホールを人工的に作るのって、可能性はゼロではないって!」と美咲お姉さん。

「詳しい話を聞いてみましょうか」


・・JAXA・・

「太郎さん、この間のブラックホールの話、詳しく聞かせてくれないか。人工的に作れる可能性本当にあるのか?」

「ある!粒子加速器で高エネルギーの粒子同士を衝突させると、局所的に莫大なエネルギーが集中し、小さなブラックホールが生まれるんだ」

「それだよ!そのブラックホールを放射能の雲の中に作れば・・」

「うん!それで決まりね」

「いや、それがそう簡単にはいかないんだよ。ブラックホールはできるにはできるけど、一瞬にして消滅してしまう。放射能を吸い込む前にね。今の技術では限界があるんだ」

「はあっ、それじゃあ意味がないよ」

『できたブラックホールを、長持ちさせる方法はないのか?』

「衝突させる粒子のエネルギーを、更に増幅できればいいんだけど」

「雷鳴の剣は使えないの?」と駿

『雷鳴の剣かあ、可能かもしれないな。加速器から放出された粒子に、雷鳴の剣のエネルギーを与えるんだ』

「うん、ただそれでも時間は限られる。おそらく0.1秒にも満たない」

「その限られた時間内に、放射能の外から火星までの瞬間移動を成功させる。タイミングがずれたらそれで終わりだ」

「翔太君・・」心配顔の美咲お姉さんと桃子ちゃん。

『翔太、出来るか?』

「可能性があるならやるしかない!」


「太郎さん、その粒子加速器ってどこにあるの。貸してもらえるのかな?」

「えっ、それは無理だよ。円周が30キロメートルあるんだから」

「えー、そんなにでかいのか!」

「それを宇宙に持っていくのは不可能だわ」

「じゃあ、こうしたらどうかな。ゼウスとポセイドンに加速器の代わりをしてもらうんだ」と太郎。

「あ、なるほどー」

『やってみる価値はありそうだよ、翔太』

「うん!」


僕らは月でポセイドンと合流した。

「お、ポセイドン、久しぶり」

『元気そうだな翔太、みんなも』

「ぼくも元気だよ!」無いちからコブをつくる駿。


『大変なことが起こってるな!海の方には、今のところ変化はないが、時間の問題だろう』

『翔太、うまくいきそうか?』とアカ。

「うまくいかせるしかない!」


『では、始めるとするか!』

『なんとしても成功させよう!』一層気合いのはいるゼウス。


ゼウスとポセイドンは同時に飛び上がり、距離をおいて空中で向かい合った。

そして僕は雷鳴の剣を握った。

『いくぞ!ポセイドン』

『おう!』

向かい合う二人の指先から放たれビームは、中央で激しくぶつかり合い膨大なエネルギーの塊を形成している。

『翔太、今だ!』

僕は雷鳴の剣に全神経を集中させ、天高く突き上げた!


雷鳴の剣のちからを得た二つのビームは、エネルギーを最大限増幅させ中央で激突した。すると塊は一瞬黒い渦を作り、激しい轟音と共に消滅していた。

『ブラックホールだ!』アカが唸った。

『成功だ!』と月に降り立ったポセイドン。

『うん、しかし、ブラックホールが存在しているのは、太郎の言うように0.1秒』


実際に目撃すると、0.1秒なんてあってないようなもの。瞬間移動のタイミングを合わせられるのか・・?!。


その頃、火星に向かっている宇宙船に異変が起き始めていた。飛行速度が徐々に加速し、制御不能の状態に陥っていたのだ。地上と宇宙船間の連絡は途絶え、JAXA 内は騒然としていた


『翔太、火星に向かっている宇宙船の方は、あれからどうなんだ?』とゼウス。

『サイコキネキスが効かなかったんだ。嫌な予感がする』とアオ。


そうだった。確かにあれは異常だ!確かめてみる必要がある。


その時だ・・。

『やっと宇宙船に目がいったか』

「サターン!やっぱりお前の仕業か」

『なに、ちょっと力を貸してやってるだけだ、火星に行くのをな。先程スピードを少し速めてやったよ!』

「なに!」

『数時間後には、放射能の雲の中だ』


『翔太、急がないとまずいぞ!』

「ぶっつけ本番でやるしかないか!」

「翔太君、それは危険よ!」

「そうよ、危険すぎるわ」美咲お姉さんと桃子ちゃん。

『そうだよ翔太、0.1秒しかないんだ!』

「それでもやるしかない!よし、火星に向かおう」

『翔太・・』


そして僕たちは火星に向かっていた。

『翔太、それ以上近づくと危険だ!』とゼウス。

放射能の雲といっても、空の雲のように白く、もくもくしたものがあるわけではない。言わば透明の雲だ!


『よし、始めるぞ!』

ゼウスとポセイドンは向き合い、位置を確かめあった。

僕は雷鳴の剣を握った。

「アオ、僕が合図を出す。火星に僕の体を瞬間移動させてくれ!」

『わかった』緊張気味のアオ。

「翔太君、気を付けて」


その時、駿が言った。

「ぼくが一緒に行く!!」真剣だ。

『駿、今回だけはやめた方がいい』とアオ。

『ワタシも同感だ!危険すぎる』とゼウス。

「駿くん」美咲お姉さんも桃子ちゃんも心配している。

それでも駿はひかなかった。

「ぼくが一緒に行く!!」

駿のまっすぐ見つめる瞳に僕の顔が映った。やや弱気な僕の顔が・・。駿の方がよっぽど強い気持ちを持ってるじゃないか・・そして僕は言った。

「・・よし、頼んだぞ!駿」


『ポセイドン』

ゼウスの合図でまた二人は向かい合った。

「駿、心をひとつにするために、ここからはテレパシーで会話をする」

「わかった」

「合図はいつものやつだ!」

「了解」


そしてゼウスとポセイドンのエネルギーの激突!

二人ともフルパワーだ。

「いくぞ駿」

僕は雷鳴の剣を天高く突き上げた。

そして剣のパワーを、ゼウスとポセイドンのビームに注いだ!そして黒い渦が・・。

「駿、ワン・ツー・スリー・・」

その時駿と僕の体は、みんなの視界から消えた!


『無茶なことをするな!地球人は』

『サターン』

『この強力な放射能の雲を、突破出来るわけがない』

『成功したのか翔太、駿』とポセイドン。

「大丈夫!あの二人なら」と美咲お姉さん。

『さあどうかな』

「翔太君、駿くん」桃子ちゃんの祈り。


宇宙の果てでは、縮小は加速している。そそて時間の流れに逆らうという宇宙の暴走は止まらない。

このままでは、宇宙の様々な異常現象は避けられず、いずれ消滅してしまう。


・・月・・

『翔太、駿、頼むぞ』

『何があってもくじけない人たちです。信じましょう』

『そうだな』

『ガイアは、今どうしているでしょう』

『諦めてはいないはずだ』


・・JAXA・・

『太郎さん、翔太達なら大丈夫だよね』

「当たり前さ!」

『信じて祈るよ・・』

「数々の苦難を乗り越えてきたんだ、サターンにどんなひどい目にあわされても立ち上がり、前に進んできた人達だ!彼らならきっとやってくれる」

『そうだね』

太郎とカメゾウも、二人の無事を祈った。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ