表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/43

ほこと盾

ある日曜日

「ん?これってどっちが強いんだ」

「何がだ駿」

「何でも切れちゃうカタナと、何で切っても切れないタテさ。翔太はどっちだと思う」

「駿、今何歳だっけ?」

「6才だけど」

「6才にしてそんな難しい本を読んでるのか。もしかして駿天才か!」

「それほどでも・・」冗談だ!

「それ、ほこと盾っていう中国の話だよ」

「翔太、よく知ってるじゃん」

「国語の授業でやったから」

「へーぇ、翔太頭いいね!」

「当たり前さ・・」冗談だよー!


「ねー、翔太、雷鳴の剣だったら、何でも切れちゃうんでしょう」

「そうさ!」

「じゃあ、このタテも切れちゃうね。今度、教えてやらなきゃ」

「・・・」


「あーあ、カメゾウに会いたいなあ」

「会いに行ってくればいいじゃん」

「どうやって?」

「瞬間移動の超能力でさ」

「えっ!まだ超能力使えるの」

「試してみたら」

「うん」

・・?

「ダメじゃん」

「あっごめん、美咲お姉さんと桃子ちゃんもいないと超能力使えないんだった。前、アオがそんなこと言ってたな」

「なーんだ・・」


「カメゾウに会ってどうするんだ?」

「遊んでやるの」

「遊んでやるね・・」

「浦島太郎さんも元気かな?」

「うん、久しぶりに会いたいな」

「うん」


アカもアオも、今回は、僕達から超能力を封印することはしなかった。前は、イタズラに使うからとかいって、使えないようにしたのに・・。


結局僕達四人は、あの海岸に来ていた。

「来てはみたけど、カメゾウに会えるかしらね」

「そうね、約束してないしね」

「そんなことないみたいだぞ。あそこの丸い岩を見ててごらん!」

「・・動いた?」

「・・みたいね!」

駿は丸い岩にかけよった。

「カメゾウ!」

『あっ、駿!』

「カメゾウ」

『あっ、みんなあ』

「元気?」

『ん・・』

「あれ、どうしたの?元気じゃないの」心配する駿。


『実は、太郎さんなんだけど・・』

「ああ、浦島太郎か。会いたいな、漁師なんだろう」

『いや、今はJAXAで働いてる』

「JAXA !?」みんな驚き。

「翔太、JAXAって何?」

「えっ!?」

「JAXAっていうのは、ロケットとか人工衛星なんかを作ったり、宇宙飛行士を育てたり、宇宙に関するお仕事をするところよ」美咲お姉さん、ありがとう。

「超エリートね!」

「ふーん」


「すごいじゃないか!太郎さん」

『太郎さんは、そこで通信係の仕事をしてて、しばしば変な言葉が混じってくるんだって言うんだ』

「カメゾウは太郎さんとよく会ってるのか?」

「ああ、太郎さんはこの海岸が好きでよくきてくれる」


「ところで、その変な言葉って具体的には何なんだ?」

『火星人からだって』

「火星人?!」

またしてもみんな驚き。最初が月で次が海底、そして今度は火星かあ。


『それを話しても、周りは誰も信じてくれないとかでだいぶ落ち込んでてさ。でも、ぼくは信じてるよ!太郎さんの言うこと』

「そうね、いきなり火星人って言っても信じてくれないかもね・・」

「太郎さんに会って、詳しく聞いてみましょうよ!」

いつもより積極的じゃん、美咲お姉さん!

「よし、JAXAに行ってみるか」


僕達は早速JAXAに向かった。

「翔太、今日、日曜だけど大丈夫なの?」と駿。

しまった!うっかりしてたなあ。でも、もう着いちゃったしJAXAに。

案の定JAXA はお休み。仕方なく引き返そうとすると・・。

「翔太!」

門の内側から聞き覚えのある声が・・太郎さんだ。

「太郎さーん」

「あっ、駿。美咲ちゃんに桃子ちゃん、カメゾウも」

「こんにちは」

「こんにちは・・太郎さん」

なに照れてるんだ?美咲お姉さん。

「まって、今門を開けるから」

「はい!」

「どうぞ入って」

「いいんですか!?」

「今日は特別ね」

カメも入っていいのかな・・。


久しぶりの浦島太郎との再会。バリバリ働く好青年。背は高いし、イケメンだし・・。

それでかあ、年頃の美咲お姉さんが妙に積極的だったり、照れたりするのは・・。


「ここでロケットとか作ってるの?」

「そうだよ。よく知ってるね駿」

「へへえ」

「ところで太郎さん、火星人がどうかしたって?カメゾウから聞いたけど」

「うん、通信回路に割り込むようにして、呼び掛けてくるんだ!」

「気になるわね」

「アオなら何か知ってるかもな・・」


僕は久しぶりにアオに連絡を取った。

『なんだい翔太、急に呼び出して?・・あっ、浦島太郎!』

「お久しぶり!ブルー」


僕はアオに太郎さんのことを説明した。

『火星は今、大地の女神ガイアが住んでるはずだけど』

「大地の女神ガイア?」

『天空の神ゼウスのいとこさ』

「はあ・・」

『パパの方が詳しいよ!ちょっと待って。パパ、パパ・・』

アオは、テレパシーでレッドに呼び掛けた。


『ブルーか、黙ってどこへ出掛けたんだ?』

『ごめん、地球だよ。翔太達のところさ!』

『そうだったのか』

『パパ、最近火星で変わったこと起きてない?』

『いや、なにも聞いてないが。それにガイアともご無沙汰だ』

『そっか、わかったよ』


「アカは何だって?」

『知らないみたい!・・そういえばパパは苦手なんだった!ガイアのことが』

「なんで?」

『昔、好きだったんだよガイアのことが・・』

なんか複雑そうだな、空の世界も?!


『ボクがここに残るよ。そして、また火星から呼び掛けがあったら、なんとか会話してみる』

「太郎の横にずっといるのか?つまみ出されるぞ」

『忘れたのか、ボクは姿が消せるのさ!』

「なるほどね・・」

「よろしく頼むよブルー!」


アオを残して、僕達はJAXA を後にした。

「あれ?カメゾウは?」

「太郎さんと一緒にいるってさ」と駿。

「一緒って、カメゾウは姿が消せないぞ」

「石のおきもの?のふりして、じーとしてるんだって!」

「・・・」


数日後

『今日あたりありそうだね、火星から』

「うん、だといいけど」

『太郎さんには心当たりないのか?火星から呼び掛けが続いてること』

「さあ、ただ近々火星に、地球から有人の探査機が到着する予定なんだ。アオ達の月にも昔行ったろう、アポロが・・」

『うん!』

「まだまだ遠い未来の話だけど、人類は火星に居住しようと考えているんだ。そのための調査さ」

『その事と今回のこと、全く関係ないとも言えない気がするね』

「ああ」


そして・・。

「ん?・・来た、火星からだ!」

『そのままにしててよ。ボクがテレパシーで応答するから』

「わかった」


・・『・・引き返△て、非常△危険△す。△△です』・・


『あなたは誰ですか?』

『私△ガ△ア』

『△△は危険△△。宇△船を引き帰△△て』

『ボクはブルー。レッドの息子のブルーです』

『・△・△・』


「途切れた!ブルー、何かわかったかい?」

『やっぱりガイアだ』

「やっぱり・・?」

『火星に向かっている宇宙船を、地球に戻せと。非常に危険だと・・それにしても、すごいノイズだ』

「何だって!危険ってどういうことなんだ」

『わからない。でも、何かが起ころうとしてることは確かだよ。地球に戻した方がいい!宇宙船を。それにこのノイズも気になる』

「それは無理だ。そんなこと誰も信じてはくれないよ!火星からの通信だなんて・・」

『わかった。とりあえずパパのところへ行ってくるよ』

「うん」

こうしてアオは月に向かった。


『ガイアがそんなことを・・』

『いったい何が危険なんだろう?』

『ゼウス・・』

『わかってるさ。調査だろう』

『頼む』


一方火星では・・。

いったいこれはどういう事なの。火星が強烈な放射能の雲で厚く覆われてしまっている。風雲の盾さえ使えたら、放射能の雲など吹き飛ばせるのだけど・・。


『ゼウス、何かわかったか』

『大変なことになってる。火星全体が放射能の厚い雲で、すっかり覆われてしまっている!全然近付けない』

『なんだと』

『あの通信の時のノイズは、そのせいだったのか』

『いったいなぜこんなことに』


僕達も月に呼ばれた。

そして放射能の雲のことも。


『おお、来てくれたかみんな』

「お久しぶりです」

「こんにちはレッド、ゼウス」

『駿、またたくましくなったな!』


『大地の女神ガイアには、確か風雲の盾があったはず。それで嵐を起こせば、吹き飛ばせると思うが』とゼウス。

『それがダメなんだ。今はその能力を持たない』

『なぜなんだい、パパ』

『風雲の盾、それはいかなる攻撃も魔力も跳ね返す強靭な盾。また、強烈な嵐を呼び、どんなものでも吹き飛ばしてしまう。しかし、1.000年に一度、雷鳴の剣とあいまみえないとその能力を失う。そして、再び両雄まみえることで能力を取り戻すことができるんだ』

「なんだ簡単じゃんか。僕が雷鳴の剣を持って、ガイアのもつ風雲の盾を叩けばいいんだろう」

『しかし、ガイアのいる火星は、放射能の雲で覆われている。近付けないんだ』

「瞬間移動があるさ!」

『いや、瞬間移動でも、あの放射能の雲は通過出来ない。通過する前に身体がやられる』

「なんだって。じゃあ雷鳴の剣でその放射能の雲を吹き飛ばすことは・・?」

『無理だ』アカは静かに言った。

「じゃあ、方法がないってこと!?」

「今、地球から火星に向かっている、宇宙船はどうなっちゃうの?」


『しかし、これは自然現象なのだろうか』とゼウス。

『ワタシも、今それを考えていた』

「自然現象じゃないとしたらどうなんだ」

「まさか、サターン?!」と美咲お姉さんは叫んだ。

「そんなはずはない!雷鳴の剣で確かに倒したんだから、そうだうアカ・・」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ