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一撃

なぜサターンは、ブルーへの攻撃を途中で止めたんだ。何か理由があるはずなんだけど・・。


「ブルー、何か思い出せないか、サターンのことで」

『ボクも考えてるんだけど・・』

「ブルーはカードの中なんだから、持ち物というよりは、やっぱり言葉の何かだと思うな。ブルーとのやり取りのなかで、気にしてる事柄が出てきて、それでブルーを攻撃する気持ちが途切れてしまった」

これは美咲お姉さんの推理だ。


『言葉のやり取り・・確か月の神、ボクのパパの話はした気がする。それと、翔太達のことかな。勇者と共に必ずおまえを倒しに来るって』

「神様と僕たち、それとゼウスのことかあ・・」

「見当つかないね」


アカなら何か知ってるかも知れない。

「アカ・・聞こえるか・・」

『翔太か・・そちらの会話は聞いていたよ。ブルーも無事だったか!』

「なら話は早い。何か心当たりはないか?」

『サターンが一番恐れていることは、ワタシ達が雷鳴の剣を手にすることだ。さすがにサターンもあの剣には勝てんからな。ワタシが言えるのはそのくらいだ』


まずい、サターンがまた来るぞ!

さっきとはまるで違う。すごい殺気だ!

やつは本気だ・・。


『翔太、気を付けろよ。みんなも』

『ゼウス、サターンはボクがここにいることを知らないはずだ。それをうまく利用できないかな?』

『うん、ワタシがおとりになろう。サターンがワタシに気をとられている隙に、翔太とブルーで一撃を浴びせてくれ!』

「ゼウス、それは危険すぎるぞ」

『他に方法はない。それに一度月に戻った方が良さそうだ。サターンの力は強大だ』


『何の相談かな・・』

「サターン」


「駿、美咲お姉さんと桃子ちゃんと、一緒に月に戻るんだ。ここは危険すぎる」

『そうだな』ゼウスもブルーも、僕の意見に理解を示してくれた。


「そんなのやだ!!駿くんも闘う」

「私たちもよ、翔太君」

「みんな・・わかった。駿、二人を守れるか」

「守れるさ!」

頼もしいな駿。


『こちらから行くぞ!』サターンの目が光りビームが襲ってきた。

『美咲お姉さんと桃子ちゃんで、手をつないで輪を作れば、身を守るバリアができる!駿を真ん中に入れれば、多少の攻撃には耐えられるよ』

「わかったわブルー」

駿を真ん中に、手をつなぎ二人は力を合わせた。すると透明の膜が三人を包んだ。


『よし、ワタシが攻撃を仕掛ける。隙をみて頼むぞ、翔太、ブルー』

「うん」

『行くぞ!サターン』

ゼウスの先制攻撃!力の差は明らかのなか、ゼウスは全力で行くしかなかった。

その時だ、サターンの赤い目から鋭い光が発せられ、ゼウスを捉えた!

『まずい、翔太、力をあわせて行くぞ』

僕とアオは、サターンに攻撃を・・。

しかし、サターンは難なく僕達の攻撃をかわしてしまう。動きが速い!


『くそー』ゼウスは再度、サターンに向かった。

しかし、たやすく弾きかいされてしまう。

やはり僕達の力ではダメなのか・・。


強大すぎるサターンの攻撃力。

サターンの目から発せられる鋭い光が、またもゼウスを襲った。

『ゼウス、あと一撃でおまえは終わりだ!』


その時、突然アオがゼウスのもとへ。

「ブルー!何をする気だ?」

『ゼウスしっかりしろ。二人で同時に攻撃だ』

『ブルー、危険だ!下がれ』

『いいんだ・・二人同時のフルパワーだ!』


「あっ、ブルー、ブルー!行っちゃダメだよ、ブルー」駿の叫びだ。


・・月では・・

ブルーよ、おまえは・・。

ワタシに闘う力さえあれば。

天空の神ゼウスよ、あなたの後継者はどこにいるのだ。

あの雷鳴の剣を操る後継者は・・。

不吉な予感がする。

ブルーよ、命だけは大切にしておくれ。


くそー、僕のサイコキネキスも力の限界だ。

アオ!ゼウス!


「おい、サターン、ブルーをいじめたら駿君が許さないぞ!」

「ブルー、ゼウス、頑張って・・」美咲お姉さんと桃子ちゃんは祈った。


『とどめだ!ゼウス』

危ない!サターンの目が・・そして、鋭い光がみたびゼウスに向かった・・。

『危ないゼウス!』

アオの叫びだ。

そして、ゼウスをかばうように、サターンからの鋭い光を、全身で受け止めた!


「あっ、アオー!」

『ブルー』

「ブルー」

みんなの目の前で、アオのカードは真ふたつに裂けた!

これがアオの最後なのか・・。


『アハハハ・・ワタシに逆らえば、みんなこうなるのだ』


・・月の神・・

ブルー、ブルー!

なんと言うことだ。ワタシの最愛の息子を。

サターンよ。ワタシも闘うぞ!

おまえを許すわけにはいかない。

ワタシの命にかえても、サターン、おまえを討つ。


・・地球では・・

「ねー見て!レオン彗星よ、キレイね」

「本当だ!あんなに長い尾を引いてる」

「宇宙ってすごいね。ロマンチック!」

「あんなほうき星、乗れたら最高ね。宇宙の果てまで連れていってくれそうよ」

「私、願い事しちゃおうかな」


太陽風に流され尾を引く彗星。この美しい光景の中に、激しい、命がけの闘いがくりひろげられていようとは、想像すら出来ない。正に命がけの・・。


ブルーは真ふたつに裂けた。僕達の目の前で。

「ブルー」

『ブルー』

「アオ、嘘だろう、アオー」


僕は悔しさと、悲しさと、怒りで身体中が燃え、そしてふるえていた。自分の命が尽きようとも、サターンを許しはしない!僕はサターンをにらみつけた。

『ん、地球人よ激しい力を感じるぞ、憎しみのな』

「うるさい、僕はおまえを許さない!」

『ほお、どう許さないんだ』

激しい、激しい、こんな思いは初めてだ。


『翔太、止めるんだ。おまえにかなう相手ではない!翔太・・』

「ゼウス、僕にだって止められない感情はあるんだ!やらせてくれ」

『ダメだ・・』


止めても無駄だゼウス。僕はサターンと闘う!


『ほお、いい度胸だ。だがそれだけでは、ワタシは倒せん』

「うるさい黙れ!・・」


僕は全神経をサターンに向けた!

そして、フルパワーの攻撃を放つ体勢に入った・・。

その時だ!僕の攻撃より一瞬早く、猛烈なエネルギーの塊が、サターンめがけて飛んで行った!

それをまともに受ける格好となったサターンのからだは、切り刻まれ、こっぱみじんに飛び散った!


『翔太、翔太なのか、いまの一撃は』信じられないといったゼウス。

「・・違う、僕じゃない」

『なんだと、じゃあ今の攻撃は・・』


何が起きたんだ?!

まだ信じられない。

あの最強のサターンが、たった一撃で・・。


僕はエネルギーの塊が飛んできた方向に目をやった。そこには、美咲お姉さんと桃子ちゃんのバリアで守られているはずの三人がいた。しかし、美咲お姉さんと桃子ちゃんが気を失って倒れている。

そして駿は・・。

怒りと悲しみに満ちたその小さな身体は、今もなお、激しさを押さえきれずにいた。

まさか・・駿が!


『駿なのか、いまのとてつもないパワーは?』

「どうやらそうみたいだ!」


親友のブルーを殺された憎しみが、大きな怒りとなり、それをサターンにぶつけたんだ!


『なんという破壊力だ。しかも、二人の作るバリアの中から・・』


・・月の神・・

信じられん。駿があのサターンを倒すとは!

まさか駿・・おまえが天空の神ゼウスの後継者なのか?!


駿の攻撃で、跡形もなく飛び散ったサターン。

しかし、僕は感じていた。

まだ生きている。

サターンは死んではいないと・・。




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