対決
サターン
勇者ゼウスと互角の力をもつサターン。第二の月が消滅するきっかけとなった大量の宇宙線を浴びてしまい、強大な能力を手にし、闘うためだけの心を宿してしまった。その後も幾度となく強力な宇宙線を浴び、それを強さに変えてきたサターン。その破壊能力は、ゼウスと闘ったはるか昔のものとは比べるまでもないほど、増大していた。
宇宙と言えども、有限の広がり。いまやサターンを倒せるものがこの宇宙に存在するのだろうか。
勇者ゼウス
天空の神ゼウスをモデルに、月の神により造られたサイボーグ。戦闘能力に長け、サターンとも互角の闘いを演じた。しかし、長い間、山に自らを封印し続けたため、日々破壊能力を増大させてきたサターンと比べ、戦闘能力には明らかな差が生まれていた。このあと、サターンとの対決でその事を思い知ることとなる。
月の神
女神を奪われ、息子を奪われ、最愛の二人を取り戻すべく、ゼウスと地球から来た超能力者と共に、サターンに闘いを挑む。
四人の超能力者
月のエネルギーを超能力にかえ、親友ブルーの救出に向かう。しかし相手はあのサターン。彗星が太陽のエネルギーにより消滅してしまう前に、超合金クリスタルに眠る女神とブルーを助け出せるのか。
・・月では・・
『ゼウスよやってくれるか』
『わかりました。今は翔太達と力をあわせ、サターンを滅ぼし、レオン彗星の軌道を元に戻すことに全力を尽くします』
『うん、雷鳴の剣が手に入らぬ以上、女神の救出は無理だ。それにブルーのことも気になる』
『頼んだぞ勇者ゼウス、頼んだぞ翔太、駿、美咲、桃子』
『翔太達準備はいいか。今から超音波でバリアの効力を消す。そしたらレオン彗星まで瞬間移動だ!』
「よし、わかった。みんな行くぞ!駿、頼んだぞ」
「任せとけー!」
いよいよ対決だ、あのサターンと・・。
サターン、覚悟しておけよ!
『ところで、翔太達は空が飛べるのか?』
「はあっ、飛べるわけないだろ人間なんだから」
『そうか、ではワタシは先にレオン彗星に近づき、バリアを破壊する 。ワタシの合図で瞬間移動をしてくれ』
「わかった」
『練習しておけよ!空を飛ぶ・・』
そう言い残し、ゼウスは彗星に向かった。
練習しておけって、いったいどうやって練習するんだよ・・。
「アカ、うまくいくと思うか?」
『・・やるしかあるまい』
「そうだな」
『ゼウスは彗星のごく近くから、特殊な媒体を介し超音波をバリアにぶつける。あいつは仕事が早いぞ!みんなもさっそく準備してくれ』
「うん、わかった」
「ところでアカ、アカは本物のゼウスに会ったことあるのか?」
『昔、一度だけな』
「圧倒的な存在感なんだろうな。天空の神って」
『存在そのものが宇宙なんだよ』
「父であり、母であり、強さであり、自然であり・・」美咲お姉さんはポツリとそういった。
『その通りだ!』
『翔太、みんな聞こえるか』
「あっ、翔太君、ゼウスからよ」
「あー、なんか緊張するなあ」
「美咲お姉さんも、桃子ちゃんも、僕がついてるよ?!」
「駿くんもついてる!」
「二人とも余裕ね!頼りにしてるわ・・」
「男の子だもん!」
そうだよな駿。
「ゼウス、聞こえるぞ」
『これから超音波を照射する。いくぞー・・』
「わかった」
『よし、今だ!』
「駿、瞬間移動だ!」
「おう」
『頼んだぞ・・みんな』
・・レオン彗星・・
ゼウスの超音波でバリアが破壊されたレオン彗星。
『おのれー、ゼウスが復活したか!・・まあいい、所詮ワタシの相手ではない』
『翔太、駿・・』
『美咲、桃子・・』
「あっ、ゼウス、やったな!」
『まだまだ、第一関門だ』
『ゼウスよ、久しぶりだな』
その声と共に、またあの赤い目がこちらを見ている。
『サターン、今日はあの時の借りを返しに来た!』
『ほざくなゼウス・・』
その瞬間、激しいビームが僕達の足元を襲った。
「わあー!」
「大丈夫か、注意しろよ!」
『みんな、ワタシから離れて』
「ゼウス・・」
『心配するな・・。サターン、ワタシが相手だ』
『ふん、では行くぞ』
激しいビームが、今度はゼウスを襲う。
ゼウスはそれをヒラリとかわし、逆にサターンめがけて、電撃波をみまった。
ゼウスの攻撃をまともに受けたサターン・・しかし、びくともしない。
『なに、ワタシの攻撃をまともに受けて、なんともないのか!』
『どうしたゼウス、それだけか』
サターンは明らかにパワーアップしている。それはゼウスの想像をはるかに超えているものだ。
僕はその時不安をおぼえていた。ゼウスの顔が明らかに変わったのだ。自信から緊張へと・・。
『ゼウス、おまえの攻撃でびくともしないとは!』
月の神も、それは想像していなかった。このままでは、全員やられてしまう。
雷鳴の剣さえ手にすることが出来れば・・。
「くそー、ゼウスの攻撃が全然きかない!」
「翔太君、このままだとゼウスがやられちゃう・・」不安を隠せない桃子ちゃん。
よし、こうなったらサイコキネキスで!
僕は、テレパシーでゼウスに言った。
「僕がサターンの動きを止める。その隙に集中攻撃をかけてくれ」
『よし、頼む翔太』
僕は全パワーをサターンに向けた!
『うおー、何をした・・』
サターンの動きが止まった。
『ゼウス、今だ!』
そして、ゼウスの全力の攻撃。光、熱、風のフルパワー・・。そしてついにサターンを吹き飛ばした!
「やったわ!」
「やった!」
「いや、まだだ・・」
『思ったより手強いな。今度は容赦なく攻撃してくるぞ』
「何か手段はないのか」
『サターンのウイークポイントさえわかれば・・』
「・・そうだ透視だ。駿が透視すれば、サターンの弱点がわかるかも・・」
『うん、やってみるか』
「駿、サターンの弱点だ、探せるか?」
「そんなのやったことないけどな」
「駿、僕の身体を透視してみろ。弱点を探るんだ」
「やってみるよ。翔太の弱点、弱点・・」
僕の頭のてっぺんから、足の先まで、駿の透視の目が探る。
「あっ、わかった」
「なんだ僕の弱点は?」
「翔太、桃子ちゃんが好きでしょう!だから桃子ちゃんだ」
「こんなときに冗談はやめろ。僕の心をよんでどうするんだよ!身体の弱点だ・・」
「知ってるよ。ここだ!」
そう言って駿が指差したのは、僕の心臓。
「なぜそう言える?」
「だって、そこだけ光ってるもん!」
さすがだな駿。
『うまくいきそうだな』
『駿、今度サターンが現れたら、ワタシと翔太のサイコキネキスで、できるだけ長くサターンの動きを止める。その間に透視で弱点を見つけるんだ』
「うん、わかった!」
ん?サターンだ。やつが来る。注意しろよ!
『ううー、よくもやったな』赤い目が光っている。
『サターン、またのこのこと現れたか』
『うるさい!今度は容赦しない。覚悟するがいい』
『翔太、駿、いいか』
「うん」
『よしサイコキネキスだ!』
僕とゼウスは、強力なサイコキネシスで、サターンの動きを完全に止めた。
「駿!」
そして、駿はサターンの弱点を探り始めた。
駿、あまり時間はないぞ・・。
駿の透視はまだ続いている。そう簡単にはいかないのか。
それにしても駿のやつ、透視だけじゃなくひとの心もわかるのか・・?
「おい駿、まだなのか。そろそろ限界だぞ」
「わかってるよ!でもどこも光ってないんだ」
『ウイークポイントは無いというのか』
「ダメだゼウス、これ以上は・・」
『仕方ない、サターンの身体を思いきり吹き飛ばして、時間稼ぎだけでも・・翔太、ワン・ツー・スリー・でやつに一撃を加えるぞ!』
「よし」
『ワン・ツー・スリー・・』
二人のパワーで、サターンは再び遥か彼方へと消え去った。
『探せなかったか』
「もともとサターンには、弱点なんて無いのかしら」
「だけど、誰にでも弱点の一つぐらいありそうだけどな」
『翔太の場合は桃子だな!』とゼウス。
だまれ。ほら桃子ちゃん赤くなっちゃった。
『駿、サターンを透視していて何か気がつかなかったか?』
「何かって?」
『例えば翔太の時みたいに・・』
「んー・・そういえば、下ばかり気にしてたみたいだったけど」
「下?」
「うん、何か探してる感じで・・」
「探してる?そうだブルーのことじゃない。この彗星にいるのは私達と女神、そしてブルーだけよ」
「そうだよ桃子ちゃん!」
「ブルー、カードから出られたのかな?」
『いや、ブルーは二度目の封印だ。そう簡単には出られないさ』
「テレパシーで呼び掛けてみるよ」
「ブルー・・ブルー・・わかるか」
『みんなで呼び掛けよう。テレパシーが増幅する』
「ブルー・・ブルー」
『・・みんな・・』
「あっ、ブルーだ!こっちからだ・・」
ブルーのカードは、女神の眠るガラスケースに隠されるように落ちていた。
「ブルー・・」
「ブルー・・」
『うう・・みんな、来てくれたのかい』
『ブルー』
『勇者ゼウス、甦ったのか!』
「ブルー、サターンなんだけど、おまえあいつの弱点はわかるか?」
『弱点・・』
『サターンはワタシ達と闘ってるとき、ブルーのことをすごく気にしてたらしいんだ。思い当たることはないか』
『そういえばサターンのやつ、ボクにトドメをさすつもりならやれたはずなのにそうしなかった。最初はすごい怒りで、ボクを見たんだけど急に怒りがさめて・・』
「なぜかしらね。ブルーがサターンの嫌がるものを持っていたか、あるいは何かをしたのか・・」
『美咲の言うように、その辺に何かありそうだな』
「ブルーの何がサターンを躊躇させたんだ?・・」




