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アロバンダロルート

本当に 本当に 死んだんですか

突然だった

何の前触れもなく

いきなり

僕はその日から記憶がない

誰かが死んだ

誰が

僕は今日まで5年以降の記憶がない

なぜ

それは意を失うような生活をしていたころ

一人の人間にあった

それは偶然だった

近くにいたアホウドリに紐をつけてぶら下がった

死ぬ気だった

こんな村にはいたくなかった

思い出したくなかった

動きの遅いその鳥は飛び立つとあっという間に天高く舞い上がった

足に結んだ糸に自らもぶらを下げて飛んだ

1日 2日 3日 アホウドリは地に降りることなく飛び続けた

その間容赦なく風が体を揺さぶる

寒い 紐が痛い つらい 腹が減った

そんな時一筋の雨が額に当たる

すると鳥は躰を傾け地上に降りる

ビュー―-

と体に風が当たる

地に降りた瞬間僕は急いで綱を切る

なかなか切れない

手がかじかむ

力が出ない

必死でちぎれんばかりにひっかく

不意に繊維がばらけ始めた

プチプチプチと鈍く外れた

僕は少し生きている気がした

しかしこうしていてもどうしようもない

生きているだけで行動しなければ腹が減り死ぬ

しかしそこに見える植物は鬱蒼としていて

見慣れない物であった

その時がさがさと木が揺れ何かが落ちてきた

それはとても大きく

空が降って来るようで

不意避けるのも忘れてうずくまった。


村長がそれについて言ったのは意識がぼんやりとかすれこのまま死ぬのではと部屋の隅で入口ばかり見ていたころ

よく聞け

日頃の明るく強い言葉ずかいではなくどこか優しくそして厳しい感じがする声で俺に言うがその視線はどこか壁の当たり僕自身を見ているという感じではない

お前の家族はみな死んだ

誰にだぁ――――

俺はうずくまるのを辞めて立ち上がった

村長の胸ぐらをつかみ揺らす

それでも何も言わない

何一つ言わない

しかしふいに一言こんなことを言う

一つ約束しろ

「ぜってい幸せになれ

絶てい幸せになれ

それがお前に架す絶望だ」

それが守れるというのなら話す

俺はしばらく黙った

1時間 2時間 ズ―――と立ったまま見下ろしていた

いつの間にか日が暮れた


ああ

ああ幸せになってやるだから教えろ


人間だ

村長はボソッと言ってから家の外に出た

月明かりが漏れる入口

木の上に作られたこのうちで僕は

最もつらい何かを奪われ

それよりもつらい何かを渡された

俺には生きる希望もなくただ楽しめと

はははははははは

俺はその時久々に家の外に出た

森中を駆け回り

そこでたまたま崖の上にいる

アホウドリを見つけた

そのずんぐりとした鳥が酷く月光に照らされ白い身体が青々しく 美しく 神々しく

なぜか死のうと思った

なぜだろう





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