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ドラゴンバスターズ09


「じゃあなんでそんなに……それこそ騎士団を率いれるほど強くなったの?」


「…………」


「強くなりたくてなったわけじゃないってさ」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「もしかしてもっと平穏に生きたかったクチ?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「不本意に強力な魔術を覚えちゃったから不本意に祭り上げられて不本意ながらドラゴン退治に駆り出された……と」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「もしかしてドラゴン恐い?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「そっか。じゃあ僕と約束しよっか」


「…………」


「何を、とハーモニーは問うてるよ」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「もしハーモニーがピンチに陥ったら僕が何にもまして助けてあげる。だから何にも心配なんていらないよ」


 そう言って一義はハーモニーの頭を優しく撫でた。


「…………」


 撫でられるまま桃色の髪を撫でられて、しかしてハーモニーの瞳は問いかける。


「本当に、と言ってるよ」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「大丈夫。可愛い女の子を見捨てたりしないよ」


「…………」


「可愛いって言われたことに照れてるね」


「そうなの?」


「…………」


 ハーモニーは頷かずに顔を湯に沈めてプクプクと水面を泡立たせた。


「照れてるハーモニーも可愛いね」


 そう言ってハーモニーの頭を撫で続ける一義。


 ハーモニーの桃色の瞳は心地よさそうに揺れた。


 と、


「…………っ」


 ハーモニーは一義に抱きついて裸体を押し付けた。


「なぁに? 誘ってるの?」


「…………」


「というより旦那様の筋肉質な体が気に入ったみたいだよ」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「あはは。マッスルコントロールとかできるよ?」


 そう言って筋肉のこぶを自在に動かしてみせる一義。


 そんな一義の体に抱きついて顔を真っ赤にしながらも、ハーモニーは心地よさに瞳を揺らす。


「ところで炎剣騎士団はいつドラゴンのもとに向かう予定なんだい?」


「…………」


 ハーモニーは一義に抱きついたまま片手を解放して五本指を立ててみせる。


「朝の五時?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「そっか。早起きだね。……大変だ。騎士団長は」


「…………」


「諦観気味だね、ハーモニーは」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニーだった。


「どうでもいいですけどいつまで一義に抱きついているつもりですの? 炎剣は……」


 不愉快とビアンカ。


「…………」


 桃色の瞳に悲哀を乗せて一義から離れるハーモニー。


「ビアンカ、狭量なこと言わないの。ハーモニー、そっちが抱きしめてくれないならこっちからいくよ」


 そう言って一義はハーモニーを抱きしめ上げた。


 ザブンと水面が波立ち、ハーモニーは一義によって軽々と抱きしめられ、抱えられた。


「軽いねぇハーモニーは。こんなに軽くて可愛らしいのに炎剣騎士団の団長だもんなぁ。色々と付加価値がついて変な感じ」


 そう言って抱き上げたハーモニーの胸に耳を寄せる一義。


「…………! …………!」


 赤い顔をさらに朱に染めるハーモニーの心臓の鼓動を聞いて、


「ドキドキしてるね……ハーモニーは……」


 そう評する一義だった。


「…………! …………!」


 ハーモニーは真っ赤っかの顔で照れるのだった。


「大丈夫だよ。何も心配することは無い。例えハーモニーの炎剣の魔術がドラゴンに通じなくても僕たちが助けてあげるから」


 言って一義はギュっとハーモニーを抱きしめるのだった。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


 そして沈黙が落ちる。


 それから一義の抱擁から解放されたハーモニーは、顔を真っ赤にしたまま風呂からあがるのだった。


 スットントンの裸体を晒して、脱衣所まで小走りするハーモニー。


 そうやってハーモニーがいなくなると、一義は、


「さて……」


 と呟いた。


「それで……どうする?」


 そんな一義の問いに、


「「「「…………」」」」


 ハーレムたちはジト目で一義を見やるのだった。


「な、なにさその目は……」


「ご主人様……ハーモニーを可愛がってました……」


「そりゃ可愛いからね」


「お兄ちゃん……ツルペタなら音々がいるよ?」


「あの恥じらいが良いんじゃないか」


「旦那様……スットントンが好みかい?」


「ふくよかもスットントンもどっちもいけるさ」


「一義は幼女趣味ではないのですね?」


「可愛ければ年齢なんて気にならないね」


「それはつまり可愛ければハーモニーでも手を出すということですの!?」


「理論の飛躍だよ。愛でることが即ち手を出すことじゃないでしょ?」


「それは……そうですけども……」


 納得いかないとビアンカ。


 閑話休題。


「とりあえず明日の動向についてだけど……やっぱり五時に起きなきゃ駄目?」


 そう問う一義に、


「当然です……」


「当たり前じゃん!」


「当然だね」


「当然ですわね」


 あっさりと答えるハーレム。


「僕、朝弱いんだけど……」


「そんなこといってドラゴンを鳥の国に奪われたら面目が立ちませんわよ?」


 青い瞳をジト目にしてビアンカが言う。


「まぁ面目くらい潰れてもいいんだけどさ……」


「駄目です! ドラゴンが現れたのは霧の国側です! すなわち此度のドラゴンは霧の国の財産です!」


「そういうこだわりは好きじゃないなぁ」


 後頭部をガシガシと掻きながら一義。


「ともあれ朝五時……炎剣騎士団の後をつけて獲物をかっさらう。これしかありませんわ……!」


 水着に押し込められた胸をプルンと揺らして、青い髪を揺らしながら、ビアンカは風呂の中で勢いよく立ち上がりガッツポーズをするのだった。


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