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ドラゴンバスターズ08


「ということはこの村の東方にドラゴンが……」


「そういうことになりますわね」


「しかして狩った後どうするのでしょう……。こちらが狩っても鳥の国にドラゴンの遺体を横取りされないとも限りませんが……」


「問題はそれですわ」


「なら逆の発想は無いかい?」


「逆の発想って!? 花々!」


「つまりだ。ドラゴンを殺すのは鳥の国の軍隊に任せる。さっきのハーモニーが何とかしてくれるんだろう。炎剣騎士団とてそう容易くは瓦解するまい。であるならばドラゴンの狩りは鳥の国に任せて、その後ドラゴンを掠め取ればいいのでは?」


「まぁどちらにせよドラゴンという巨体の持ち運びが隠してできない以上、鳥の国の軍隊とは多少なりとも衝突は避けられないでしょうし……」


 うんざりとビアンカは言った。


「鳥の国との衝突はしたくないんじゃなかったの? ビアンカは……」


「それはあの場面に限っての話です。どちらにせよドラゴンの遺体が袋に隠してしまえるような代物ではない以上、どこかで鳥の国の軍隊と争うことは避けられません」


「なら花々の案を採用しようか。狩るのは鳥の国の軍隊に任せて結果だけを掠め取る」


「それしかありませんわね」


 ビアンカが納得する。


「ご主人様がそう仰るなら……」


「お兄ちゃんに従うよ!」


「ああ、あたしの意見を採用してくれて光栄の至りだよ旦那様」


 かしまし娘も納得したようだった。


「でもそれには鳥の国の軍隊を把握しなければなりませんわね」


「それならいいところにいい人間がいるじゃないか」


 そんな一義の言葉に、


「へ……?」


 ポカンとするビアンカ。


 そして一義たちの借りている大部屋にトントンとノックがされる。


 姫々が「はい……」と答えてノックに答える。


 宿のマスターが風呂が沸いたことを伝えてきて、そして去っていった。


「うん。ちょうどいい塩梅だね」


 と一義が言う。


「なにがちょうどいい塩梅なんだい?」


 問う花々に、


「裸のお付き合いって奴だよ」


 一義はウィンクするのだった。


 そうこうして一義率いる混成一個旅団は水着を持って宿の風呂場へと向かった。


 脱衣所にて一般服から水着に着替える一義たち。


「僕に裸を見せる痴女はハーレムから脱退させるから」


 という不文律故にハーレムたちはその裸体を一義に晒せないのだった。


「ビアンカは胸が大きいねぇ! どうやったらそんなに大きくなるの!?」


「胸が大きくても良いことはありませんわよ。男どもの欲望の的になるだけですから。それにかしまし娘の花々も巨乳じゃないですの」


「それはそうだけど!」


「むしろスレンダーな姫々にわたくしは憧れますわ」


「ご主人様が望まれるならわたくしはこのプロポーションを維持します……」


「モデル体型だね」


「花々……追い詰めないでください……」


「姫々、君はもっと自分に自信を持つべきだよ」


 そんなハーレムたちのやりとりに、


「ああ……もう……そういうやりとりは僕のいないところでしてよ……」


 うんざりと言った様子の一義。


「ご主人様の慰みになるためにわたくしたちはいれば……」


 モデル体型にパレオ付きのビキニを着た姫々に、


「お兄ちゃん! いつでも抱いていいからね」


 幼女体型にワンピースを着た音々に、


「あたしたちはそのためにいるのだから」


 ふくよかな巨乳を見せびらかすようなビキニの花々に、


「いつでもこの胸にて一義にご奉仕する準備は整っていましてよ?」


 ふくよかな巨乳をワンピースに無理矢理押し込めて、かえって強調してしまっているビアンカ。


「はあ……」


 と一義は疲労の溜め息をつくのだった。


 そして一義とハーレムたちが風呂場に入ると、


「…………!」


 先に風呂に入っていたハーモニーが驚愕した様子で一義たちを凝視していた。


「ああ……」


「裸の付き合いって!」


「そういうことだったのかい」


「なるほどですわ……」


 ハーレムたちは各々に納得する。


「…………! …………!」


 ハーモニーは起伏の少ない裸体のままザブンと湯に肩まで浸かるのだった。


「…………! …………!」


 湯あたりだけではなく恥ずかしさによるものだろう頬を朱に染めて狼狽えてしまうハーモニー。


 この宿の風呂場はいかような理由にか広く作られておりハーモニーに一義とハーレムたちが入ってもなお悠々としていた。


 一義はかしまし娘に体を洗ってもらった後、恥ずかしさとお湯加減に顔を真っ赤にして縮こまっているハーモニーのすぐ隣に入浴した。


 ハーモニーはスットントンの体の……主に胸と股間を手で隠して恥じらっていた。


 そんなハーモニーに、


「大丈夫だよ。女の子の裸なんて見飽きてるから。今更邪な気分なんて起こさない」


 安心させるとしては的外れなフォローをする一義。


「…………」


 無言のまま縮こまるハーモニー。


「そういう問題じゃないらしいよ」


 と花々がハーモニーの表情を見てフォローする。


「そうなの?」


 問う一義に、


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「じゃあどうしよっか? 僕も水着脱ごうか? そうじゃないとフェアじゃないもんね。裸のお付き合いをするなら……」


「それはお止めくださいご主人様……幼子に対しては性犯罪です……」


「お兄ちゃん! それはショッキング映像だよ!」


「ははは。旦那様のイチモツは凶悪だからな」


 そんなかしまし娘の言に、


「そうかなぁ? 可愛い息子だと思うんだけど……」


 納得いかないと一義だった。


「僕……水着脱がなくていい?」


 そんなすっとぼけた一義の問いに、


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「そ。じゃあそうさせてもらうね。ハーモニーもリラックスしていいんだよ? 僕に遠慮はいらない」


「…………」


 ハーモニーは桃色の瞳に被虐的な感情を乗せて一義を見る。


「花々……通訳よろしく」


 そう言う一義に、


「ええと、直訳するなら『無茶言うな』って目だね」


 簡潔に花々。


「そうなの?」


 問う一義に、


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「それにしてもすごいよね。その年で……って正確な年齢は知らないけど……その幼さで騎士団を持つなんて」


 そんな一義のおべんちゃらに、


「…………」


 ハーモニーはギュッと握った拳を見せつけて、その後三本の指を立てる。


「十三歳ってこと?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「十三歳で騎士団長……立身出世もいいところじゃないか」


「…………」


 真っ赤な顔をしたまま黙り込むハーモニー。


「本人は納得してないみたいだよ」


 花々が通訳してくれる。


「そうなの?」


 問う一義に、


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「じゃあ何で騎士団長になんてなったのさ」


「…………」


「不本意ながららしいね」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


「でも炎剣の魔術の使い手でしょ? 焦熱斬撃だっけ? それでドラゴンをやっつける! かっこいいと思うけどなぁ」


「…………」


「恐縮だけど不本意だってさ」


「そうなの?」


「…………」


 コクコクと頷くハーモニー。


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