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ドラゴンバスターズ02


「またハーレムが増えてやがる……」


「あの燈色の美少女は誰だ?」


「新聞部のジンジャーだって」


「ああ、雷帝の妹……」


「なんでドラゴンバスターバスターのハーレムに入ってるの?」


「恨めしや」


「美少女を七人も連れているなんて極刑モノだろ……」


 そんな衆人環視の声を聞きながらも一義は飄々としていた。


 そうせざるを得なかった。


 ハーレムがどうとか……ドラゴンバスターバスターがどうとか……そんなことは言われ尽くしてきたのである。


 いい加減鈍感にもなろうというものである。


「ご主人様のことを知りもしないで勝手ばっかり……!」


 と姫々が憤る。


「お兄ちゃん! 嫉妬の対象だね!」


 と音々が失笑する。


「旦那様、大人気だね」


 と花々が苦笑する。


「なんだか私たちまで悪者になった気分です」


 とアイリーンが困る。


「まぁ十把一絡げなんて気にしないのが一番ですわ」


 とビアンカが切り捨てる。


「僕はハーレムの一員じゃないんだけどなぁ」


 とシャルロットは我関せず。


「皆さん一義を誤解してるんです」


 とジンジャーが憤慨する。


 ちなみにジンジャーは紙巻き煙草ならぬ薬術煙を吸っていた。


 クリスタルの効能を体外に排出するためである。


 基礎ではあるが魔術を扱えるようになったジンジャーはリハビリもかねて薬術煙を定期的に吸っているのだった。


 そして王立魔法学院の正門へと辿り着く一義たち。


 その正門で一義は見た。


 ロードランナーが引っ張るランナー車を。


「げ……!」


 と呻く一義。


 その気持ちは正しいものだったろう。


 なにせランナー車は王侯貴族だけが乗ることを許された車である。


 故に王侯貴族が王立魔法学院に来ているのか……あるいは迎えをよこしたのか……そう推察するのも無理なからぬことである。


 そしてランナー車は一義にとって鬼門にも等しいシンボルであった。


 王立魔法学院の正門にはピリピリと緊張感を露わにしている兵士たちが百人単位で立っていた。


 なにごとかと一義が思うより速く、


「失礼」


 と兵士の一人が一義たちに声をかけてきた。


 槍を持っているため少しだけ筋肉を緊張させる一義。


「その静謐なる青の髪……ドラゴンバスター……ビアンカ様と存じ上げますが……」


「へ? わたくしですの?」


 戸惑うビアンカに、コクリと頷く兵士。


 そして兵士は今度は一義に目を向けた。


「それから東夷……じゃない……エルフの御方はドラゴンバスターバスター……一義様であらせられますか?」


「そうですけど……」


「音々様はいらっしゃいますか?」


「はーい! 音々が音々だよ!」


 快活に音々。


「ビアンカ様……一義様……音々様……学院長がお呼びです。ご同行願います」


「それならわたくしも当然追従します」


「あたしだって旦那様についていくよ」


 姫々と花々がそう言う。


「じゃあ私も」


「僕はどうしよう?」


「私はどうしたらいいかな?」


 西方ハーレムがそう言った。


 一義はフルフルと首を振ると、


「アイリーンはジンジャーに魔術を教えておいて。シャルロットは……好きにしていいよ」


「じゃあ勝手にさせてもらうよ」


 屈託なくそう言うシャルロットだった。


「シェイクランスの本が図書館にあるよ。それでも読んでれば?」


「そうさせてもらおうかな。助言痛み入るよ一義」


「僕もシャルロットと同じくシェイクランスのファンだからね」


 ニッコリ笑う一義とシャルロット。


「「「「「「むう……」」」」」」


 と姫々と音々と花々とアイリーンとビアンカとジンジャーがふくれっ面になる。


 可愛らしい嫉妬である。


「はいはい。君たちが僕を好きなのはわかっているからこんなことで嫉妬しない。じゃあ兵士さん。僕らを案内してくれる?」


「了解しました。どうぞこちらへ」


 そうして槍を持った兵士に連れられて一義とかしまし娘とビアンカは学院長室に向かった。


 その途中で一義たちは数百人におよぶ武装した兵士たちを王立魔法学院内で見た。


「戦争でも起こすつもりですか?」


 そう問う一義に、


「いえ。万事に備えているだけです。和の国でいうところの備えあれば憂いなし……といったところですか」


 兵士はそう言ってくつくつと笑うのだった。


「まさか護衛対象が学院長ってわけでもないですよね?」


「ははっ。有り得ませんよ」


 そんな探り探りの話を兵士としている内に、学院長室につく一義たち。


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