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思えばいと疾し17


「散れ! 衆人どもよ! 次なる体制の指示を待て!」


 武器を手に、脅しつけるネオコン兵。


 そこに、


「考え直しなさい!」


 大きな声が、聞こえた。


 衆人もネオコン兵も、そちらを見た。


 割烹着姿のヒロイン一同。


 なお、音々とザンティピーが、拡声役。


 魔術の万能性が、此処で活きる。


「将軍様を人質にとって脅しつける! それが正義の為すことですか!」


「武器を持って民衆を脅しつける! それが大道を歩む姿勢と言えますの!」


「本当に正しいのなら!」


「あう……何故正々堂々と話し合いに付かないのでしょうか!」


「後ろめたい事があるから卑怯な手を使うんです!」


 ザワザワ。


 自然……衆人環視の視線と思考が、引き寄せられる。


「やめよ反逆者ども! 将軍が殺されてもいいのか!」


 ネオコン兵の声は、しかし叫んで、尚小さかった。


「修羅起動」


 イヴォンヌは、あまり語るのが好きでないため、ネオコン兵を封じ込め、阻害する役目を買って出た。


 まさか第二第三の花々が、居るはずも無い。


 政治宣伝は、まだ続く。


「将軍様は和の国を豊かにするため執務に励んでおられました!」


「その骨折りを無視し、道理に合わぬからと封じ込める!」


「コレの何が正義か!」


「秩序は破壊と混沌から生まれますが、テロリズムで歴史が変動した例はありません!」


「国民の皆様方! もう一度思い出してくださいませ!」


「今まで尊敬していた、お侍様がはたして悪なのか!」


「国で一番偉いお侍様を人質として、正義を名乗る集団が正義なのか!」


「権力とは発言力! そもネオコンは発言力を持っているのでしょうか!」


「隷従するのは既に国民ではなく奴隷です! あなた方は奴隷ですか!」


 魔術によって拡大される声は、徐々に都民に熱を与えた。


「比較してください! 将軍様とネオコンの思想の、どちらを支持すべきか!」


「どちらを支持しても構わないのです! ですが選ばないことは奴隷の証!」


「王都民のあなた方は奴隷ですか!?」


 美女揃いの割烹着集団の声は、民衆を爆発させた。


「そうだ! 将軍様は俺たちの事を考えて統治してくれた!」


「私は病気を患ったときに薬を貰い申した!」


「親の仇を法で討ってくれた!」


「そもそもネオコンが、なんで専制主義の手段を取ってるんだ?」


「暴力と権力で支配しているのはネオコンの方だろう!」


「俺は暴力には屈しないぞ!」


「僕も!」


「私も!」


「某も!」


 枯れ野に、火を放つ。


 城の周りだけでは無い。


 王都全体に響いた声は、民衆を暴徒に変えた。


「自由は将軍様と共に有り!」


「お前らの語る自由は支配の前提だ!」


「エセ自由主義者め!」


「武器を持て!」


「戦うぞ!」


「俺たちの君主は俺たちが選ぶ!」


 都民が、津波となって、溢れかえる。


 数の暴力。


「うわぁ」


 とは、ヒロイン一同。


 アイドル性はあるが、


「ここまで流されやすい民衆が怖い」


 は確かにあった。


「ま、あとは勝手にやってくれるよ。あたしたちはイヴォンヌのフォローに回ろう」


 要するに、都内を徘徊する、ネオコン兵の掃討だ。


 まさか、アイドルたちが口だけではない……とはテロリストにとっても、信じ難い事実ではあろうが。


「修羅励起」


 拳一発。


 肋骨を折る。


「こう云うときは便利なんですけどねぇ」


「あう」


「将軍様は……顧客……」


「いい加減別の職を見つけなさいませ」


「…………」


「毒矢を使ってもいいのかなぁ……」


「どう思います音々?」


「姫々と同じ感想」


「ははは」


「一義先生は大丈夫でしょうか?」


「決着はついてるんじゃないかな」


 あっけらかん、と花々は言った。


「頭を潰せば、蛇とて死ぬさ」


 この場合は頭目か、と呟く。


「とりあえずネオコン兵の士気を挫くところから始めよう」


 そういうことになった。


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