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一年後04


「ヴァレンタインとウェンディは無詠唱魔術を覚えなくて良いからね!」


 音々は溌剌と言った。


 かたや防御魔術。


 かたや炎熱魔術。


 修めるにしても無詠唱である必要は無かった。


 そもそも音々が一節とは言え呪文を唱える身だ。


 ただその応用範囲は極めて広い。


 四大属性。


 五行生剋。


 シンボリック魔術なら大抵の現象は起こしてみせる。


 炎を操り。


 水を操り。


 風を操り。


 地を操り。


「開いた口が塞がらない」


 とはこの事だろう。


 単純な魔術の技量で言えば座学庵でもトップ。


 というより和の国でもそうはいない。


 剣。


 雷。


 氷。


 力。


 時には机上の空論さえ現実にしてしまう。


 イメージの体外投射。


 脳に詰まったデータを、肉体をハードにして、世界に出力する。


 呪文は一種の鍵だ。


 キーワード。


「どんな魔術を使うか?」


 脳の部屋にあらゆる現象が区別されて待機しており、


「どの部屋の鍵を開けるか?」


 そのための呪文だ。


 そしてそうあるからこそ多彩な魔術行使を可能とする。


「ライティング」


 ポッと光が灯った。


 ヴァレンタインだ。


「あう」


「おおー。やるね」


「ですわ」


 ハンカチの隅を噛みしめるベタなウェンディだった。


「トランスの使い分けは馴染んだかな?」


「その……あう……」


「何?」


「ポーッとしてると上手くいきます」


「あはは! その通り!」


 考えすぎはこの際悪手だ。


「理論の構築は!?」


「ぶっちゃけ要らないかな」


 小宇宙と大宇宙が混同できればそれでいい。


 先述したように、


「マジカルカウンター」


 の可能性も此処から生まれるのだが。


 今のところは兆候がない。


 精神は安定している。


 が、それでは片手落ちでもあるのだ。


「マジカルカウンターが出たら嫌だなぁ」


 音々の意見はそんなところ。


「それにしても」


 とは思う。


「お兄ちゃんのおかげだしね」


 クスッと笑う。


 実際にその通りだ。


 一義が望んで音々が居る。


 スットントンのペッタンコ。


 とても未熟だが、


「お兄ちゃんは選り好みしないし」


 それもどうだろう。


 ともあれ、


「お兄ちゃんを慰められればそれで良し」


 それもまた偽らざる感情。


「愛しい愛しいお兄ちゃん」


「音々先生?」


「何だろ?」


「トランス状態のついてですが」


「ああ、それは――」


 とりあえずは目の前のヴァレンタインとウェンディ相手だ。


 給料分は働かなければならない。


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