表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
265/315

傷心者と小心者15


「ふい」


 座学庵の温泉に浸かる一義だった。


「えへへ」


「にゃ!」


「だぁね」


 かしまし娘も御機嫌だ。


 水着姿で一義と混浴できるのが嬉しいのだろう。


「結局何してんだって感じだけど」


「駄目だったら団子茶屋に戻りましょう」


 姫々が言った。


「別に金は生きる上で必要ないし!」


 音々ものっかる。


「旦那様の食費さえ稼げればあたしたちはどこでもいいんだよ?」


 花々でさえそんな有様。


「担当する生徒はどう?」


 魔術講師として呼ばれたためそこが本題には為るだろう。


「タバサ様とアーシュラ様は器用ですね。年単位で数えるならしっかりした魔術師になれるかと」


 銃を望むタバサ。


 矢を望むアーシュラ。


 そして無尽蔵の質量兵庫……姫々。


 相性は良いようだ。


「音々は少し不安!」


 感嘆符を付けて話す感想ではない。


 が、音々らしい。


 ヴァレンタイン。


 ウェンディ。


 どちらも魔術師の通念に従っている。


 だからこそ、


「魔術が難しい」


 との結論だろう。


「ザンティピーは既に使えるし」


「だね」


「イヴォンヌは?」


「それこそ年単位だね」


 苦笑。


「一息に呑まれたら鬼の意義がない」


「それもそっか」


 納得のいく話だ。


 ジトッとかしまし娘。


「そういうご主人様は?」


「お兄ちゃんは?」


「旦那様は?」


「ステファニー?」


 問う一義。


「です」


「だよ」


「だね」


 かしまし娘。


「こっちも年単位かな」


 斥力の想像が既に人外の領域だ。


「覚えるにしても年単位」


 その結論は一義もしかず。


「そもそも魔術を覚えてもなぁ」


『一銭の得にもならん』


 とまではいわないが、


「人格壊して楽しいかね?」


 そんな疑問も湧く。


「お兄ちゃんが言う?」


 音々の半眼。


「ですね」


 姫々の同調。


「夜は難儀であるからな」


 花々は笑い飛ばした。


「今日は花々と寝よっか」


「おう。恐縮だよ」


 ヒマワリの様に笑う花々だった。


「う~」


「うう」


 残り二人が恨めしげ。


「旦那様?」


「何でしょ?」


「ここで抱いても良いんだよ?」


「却下」


「どうして?」


「人目があるでしょ?」


 姫々と音々を指差す。


 チャプンと湯面が跳ねた。


「消せば良い」


「出来るけど」


「なら決まった」


「その手のことは禁止」


「旦那様は難儀だね」


「じゃなきゃこんな位置にいないよ」


 それもまた事実だった。


 水着姿のかしまし娘に取り憑かれ、


「我ながら何してんだか」


 そう自問せざるを得ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ